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2026年3月2日
コラム
寄付つき商品・サービスとは?企業への効果と導入手順を解説
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近年、社会課題への取り組みを自社の価値向上につなげる動きが広がっています。その手法の一つとして注目されているのが「寄付つき商品・サービス」です。

商品やサービスの売上の一部を寄付する仕組みは、消費者の共感を得ながら販売促進やブランド強化を期待できる施策といえます。

本記事では、寄付つき商品・サービスの仕組みやメリット、導入のポイントなどを分かりやすく解説します。

寄付つき商品・サービスとは

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寄付つき商品・サービスとは、商品やサービスの売上の一部が寄付される仕組みを指します。

「買うだけで社会貢献できる」という構造は消費者の共感を生み、企業にとっても社会貢献と販売を結び付ける方法として取り入れられています。

寄付つき商品・サービスの基本構造

寄付つき商品・サービスは、販売活動の中に社会貢献を組み込むものです。

対象となるのは物販に限らず、飲食、宿泊、イベントなどのサービスも広く含まれます。いずれの形態でも、寄付先や寄付の仕組みを明示し、透明性を確保することが求められます。

消費者は商品やサービスの購入を通じて社会的意義を感じられ、企業側も販売促進を軸に社会的価値を生み出せます。

商品ページやパッケージで寄付内容を示す例も多く、購入時の理解を助けています。

コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)との関連

寄付つき商品・サービスは、「コーズ・リレーテッド・マーケティング(Cause Related Marketing、CRM)」の手法の一つです。CRMは、企業が特定の社会課題を支援テーマとして掲げ、売上の一部を寄付することなどにより、社会貢献とマーケティング活動を同時に進める手法です。

CRMは消費者の共感を呼びやすく、特定のブランドに対する愛着・信頼を指すブランドロイヤルティや、顧客満足度の向上が期待できる点からも注目されています。

寄付方式の種類

寄付つき商品・サービスの寄付方式には、次の種類があります。

定額寄付型:商品やサービスごとに一定額を寄付
定率寄付型:売上または利用額の一定割合を寄付

自社の事業内容や支援テーマに応じて柔軟に設計でき、通年の取り組みとして実施する形式のほか、期間限定のキャンペーンとして展開する方法もあります。

他の寄付方法との違い

寄付つき商品・サービス以外にも、企業が社会貢献として寄付を行う方法はいくつかあります。

主な方式は次のとおりです。

企業寄付

企業が自社の資金から直接寄付する方法で、金銭だけでなく自社製品やサービスの提供も含まれます。企業側の判断で実施しやすく、使途の管理も明確に行えます。

従業員寄付

給与天引きや社内募金など、従業員が主体となって寄付する方法です。社員の社会課題への関心を高め、エンゲージメント向上にもつながります。

マッチングギフト

従業員寄付に対し、企業が同額や一定割合を上乗せして寄付する仕組みです。従業員の意欲を後押ししながら、企業としての社会貢献も同時に実現できます。

他の方法と比較して、寄付つき商品・サービスには次のような特徴があります。

消費者が手軽に社会貢献できる
購買の中で寄付が成立するため、追加の手続きが不要です。

対外的な訴求力が高い
顧客参加型であり、企業イメージの向上や新規顧客の獲得にもつながりやすくなります。

社会貢献と事業活動を同時に推進
社会的価値の創出と販売促進を一つの施策で進められます。

このように寄付つき商品・サービスは、消費者にとって参加しやすく、企業にとっても価値創出につながる取り組みといえます。

企業が寄付つき商品・サービスに取り組むメリット

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寄付つき商品・サービスを展開することで、企業はさまざまなメリットを得られます。

ここでは、主な効果を紹介します。

販売促進・マーケティング効果

寄付つき商品・サービスは、社会貢献と販売を結び付けることで商品に新たな価値が加わりやすい点が特徴です。購入が支援につながる仕組みは、共感消費が広がる中で購買意欲の向上にも寄与します。

また、寄付先の活動やテーマを商品情報の中で丁寧に示せば、購入体験にストーリー性が生まれます。社会への貢献を実感できることで、購買行動にも良い影響を与えます。

ブランド価値・企業イメージの向上

寄付つき商品・サービスの展開は、企業が社会的責任を重視している姿勢を示す取り組みとしても有効です。寄付先や寄付の仕組みを明確にし、成果を定期的に発信して透明性を確保することで、誠実に取り組んでいることが伝わりやすくなります。

こうした活動への積極的な姿勢は、顧客だけでなく、取引先や従業員などさまざまなステークホルダーからの評価にも影響します。自社サイトやCSRレポートで継続的に情報を公開することが、企業の姿勢を伝える上で効果的です。

SDGsへの貢献とESG評価

寄付つき商品・サービスは、SDGs(持続可能な開発目標)との関係性が高い取り組みです。寄付先の活動や支援テーマによっては、17の目標すべてに関わる可能性がありますが、特に次の目標との結び付きが強いといえます。

目標12「つくる責任 つかう責任」
消費行動を通じた社会貢献につながります。

目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
企業と非営利団体が協働して価値を生み出す仕組みとして有効です。

参考:「持続可能な開発目標(SDGs)」(外務省)

また、寄付つき商品・サービスは、ESG(環境・社会・企業統治への配慮)評価における「社会(S)」の取り組みにも位置付けられます。企業が事業を通じて社会的価値を示す姿勢は、ステークホルダーへの説明責任を果たす上で欠かせません。寄付内容の開示は透明性の向上にもつながります。SDGsやESGについては以下もご参照ください。

企業の社会貢献はなぜ必要なのか? ESG・CSR・SDGsの違いと経営に効く理由

顧客・従業員エンゲージメントの強化

寄付つき商品・サービスは、顧客や従業員との関係性を深めるきっかけにもなります。購入が寄付につながる仕組みは企業の価値観を示し、消費者との共感形成に役立ちます。

また、従業員にとって自社の事業が社会的な意義を持つと感じられることは、仕事への誇りやモチベーションの向上につながります。このような意識の高まりは、企業文化の醸成や離職防止にも影響します。

寄付つき商品・サービスのデメリットと対策

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寄付つき商品・サービスには多くの利点がある一方で、注意すべき点もあります。

以下で、想定される課題と対策を紹介します。

取り組む際のリスクと課題

寄付つき商品・サービスには、実施にあたり留意すべき点がいくつかあります。主な内容は次のとおりです。

透明性への疑念

寄付先や寄付の仕組みが不明確な場合、消費者の不信感につながります。寄付への向き合い方が不十分だと受け取られると、批判を招く可能性もあります。

コスト負担と利益率の低下

寄付額の設定だけでなく、制度設計や顧客向けのPRの準備、寄付先との調整など、導入には一定の業務コストが発生します。寄付によって利益率が下がる懸念もあります。

「見せかけの社会貢献」と受け取られるリスク

支援内容や寄付先が企業姿勢と一致していない場合など、実態を伴わない形式的な取り組みと受け取られ、企業イメージの低下を招く恐れがあります。

運用負担の増加

寄付先との連携・調整や寄付額の集計・報告など、導入後の実務負担が増える点にも注意が必要です。マーケティング、商品企画、広報、経理、法務など、関係部署との連携体制も必要になります。

リスクと課題への対策

これらのリスクや課題に対応するためには、次の点を押さえると効果的です。

寄付先や仕組みの明確化

自社サイトの商品ページなどに寄付先や寄付の仕組みを明記し、支援内容も併せて紹介すると、消費者の理解と信頼につながります。寄付方式(定額か定率か)を事前に示し、可能な範囲で実施後の寄付額も開示すれば、透明性をさらに高められます。

寄付先との連携強化

寄付先となる団体と情報共有を密に行い、進捗や成果を確認することで、双方にとって有益な協働関係を築けます。信頼できる団体との連携は、寄付活動の妥当性を裏付ける要素にもなります。

社内体制の整備

商品企画、マーケティング、広報、経理、法務などの関係部署と連携し、運用フローや役割分担を明確にすると、継続的に実施しやすくなります。

成果の報告

寄付の成果を定期的に発信し透明性を確保することは、信頼性の向上に寄与します。年次報告書やCSRレポートでの報告に加え、自社サイトでの開示も有効です。

リスクや課題を事前に把握し、信頼性の高い運用体制を整えれば、寄付つき商品・サービスを持続可能な社会貢献活動として定着させられます。

寄付つき商品・サービスの具体的な事例

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寄付つき商品・サービスは、企業の業態に応じて多様な形で展開されています。

ここでは、商品購入による寄付、サービス利用による寄付、企業参加型プログラムの3つに分けて紹介します。

寄付つき商品の事例

日本コカ・コーラ株式会社「い・ろ・は・す」

ミネラルウォーター「い・ろ・は・す」は、軽量で扱いやすい容器を採用し、現在は100%リサイクルペットボトルへと移行しています。飲み終わった後には薄くたためる設計となっており、環境配慮と売り上げの一部を寄付する寄付スキームを組み合わせた点が特徴です。水源保全プロジェクトを通じ、日本各地の水源を守る森づくりの活動を支援しています。

参考:環境への取り組み(日本コカ・コーラ株式会社)

オイシックス・ラ・大地株式会社『EAT and SEND』

食品宅配サービス「Oisix」などを運営する同社は、2011年から『EAT and SEND』プロジェクトを展開しています。対象商品の売上の一部は認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンへ寄付され、ウクライナ支援、能登半島地震支援などに活用されています。

参考:EAT and SEND(オイシックス・ラ・大地株式会社)

寄付つき商品や会員募金でひろがる輪 オイシックス様のご支援

株式会社ユナイテッドアローズ『united LOVE project』

セレクトショップを軸に事業展開する同社は、2010年からチャリティープロジェクト『united LOVE project』を実施しています。国内外ブランドとのコラボレーション商品を販売し、その収益の一部をピースウィンズ・ジャパンが運営する「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」へ寄付し、災害支援に役立てています。

参考:Sustainability News(株式会社ユナイテッドアローズ)

国内災害支援における長年のパートナーシップ:ユナイテッドアローズ様

寄付つきサービスの事例

・株式会社USEN「ヒトサラ」

グルメサイト「ヒトサラ」では2013年から、飲食店予約という日常的な行動を世界の給食支援につなげる取り組みを実施しています。予約を通じて、開発途上国の子どもの食支援などを行う認定NPO法人TABLE FOR TWO Internationalへ寄付され、外食の機会を社会貢献へと広げています。

参考:お店を予約して子どもたちに給食を届けよう。(株式会社USEN)

企業参加型プログラムの事例

認定NPO法人国連WFP協会『レッドカップキャンペーン』

2011年から実施されている同キャンペーンは、複数の企業が参加できる寄付プログラムとして広く知られています。対象商品の売上の一部を世界の学校給食支援に充てる仕組みで、企業が商品販売を通じて国際的な食料支援に参加できる取り組みです。

参考:レッドカップキャンペーン(認定NPO法人国連WFP協会)

寄付つき商品・サービスの実施ステップ

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寄付つき商品・サービスは、段階を踏んで設計すると円滑に導入できます。

準備から実施までの流れを5つのステップで紹介します。

ステップ1:テーマ設定と目的の整理

まず、寄付を通じて支援したい社会課題や自社事業との関連性を明確にします。

社会貢献の強化、売上促進、ブランド価値向上などの目的を関係部署間で共有しておくと、優先すべき観点がそろい、判断基準も定まりやすくなります。

ステップ2:寄付先の選定

企業理念や事業領域と親和性のある団体を検討します。

特に、活動実績や情報公開の姿勢、寄付金の使途を確認できるかといった点は、信頼性を判断する上で重要です。

必要に応じて複数の候補団体と対話し、連携方法を調整します。

ステップ3:商品・サービスの選定と寄付設計

どの商品・サービスの売上を寄付対象にするかを決め、定額・定率などの寄付方式を設計します。

利益率とのバランスや運用可能な範囲を踏まえ、無理のない寄付額を設定することがポイントです。

限定商品や期間限定キャンペーンなど、事業形態に合わせた方法も検討できます。

ステップ4:社内体制の構築

寄付つき商品・サービスの運用には、商品企画、マーケティング、広報、経理、法務など関係部署が連携できる体制が重要です。

寄付額の算定や情報公開の手順、リスク管理などを事前に整理し、継続的に運用できる基盤を整えます。

ステップ5:情報発信と成果の共有

支援テーマや寄付先の活動内容、寄付方式を、自社サイトの商品ページなどで明確に伝えます。

実施後は、可能な範囲で寄付額や支援先の活動成果を公開し、取り組みの透明性を示すことで、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。

まとめ

寄付つき商品・サービスは、日常の購買行動を社会貢献へと結び付ける有効な仕組みです。販売促進やブランド価値の向上など事業面での効果をもたらすだけでなく、SDGsやESGの観点からも取り組む意義があります。

自社の理念や事業に合ったテーマを定め、寄付方式や社内体制を丁寧に整えることで、継続的な社会貢献施策として根付かせられます。

ピースウィンズ・ジャパンでは、さまざまな形で企業との連携を進めています。寄付つき商品・サービスを含むこれまでの連携事例やお問い合わせについては、以下をご覧ください。

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