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近年のビジネス環境では、社会課題が山積するなか、企業による寄付の重要性が一層高まっています。また、ブランドイメージ向上やステークホルダーからの評価アップを目的に、社会貢献活動の一環として寄付を行う企業が増えています。
企業が寄付のメリットを最大化するには、自社に適した寄付先やプロジェクトを選ぶことが重要です。
本記事では、寄付先を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントと、認定NPO法人などへの寄付事例を紹介します。なかでも特に重要となる信頼性の見極め方については、より詳しく見ていきましょう。
寄付先選びで押さえるべきポイント

企業寄付の効果・メリットを最大化するには、寄付先選びの際に3つのポイントを重視することが大切です。ここでは、寄付先選びの考え方をわかりやすく解説します。
自社方針との整合性
企業寄付を事業推進や組織の成長に活かすためには、寄付先およびプロジェクトが自社の経営理念や寄付の目的と一致しているかを確認する必要があります。
また、たとえば「被災地支援」「子どもの貧困をなくす」「持続可能な街づくり」といった自社が取り組みたいテーマに資する寄付であることも大切な要素でしょう。
企業寄付の種類や考え方は、以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。
インパクトの大きさ
寄付をきっかけに自社の社会的価値やエンゲージメントを高めるには、社会課題の解決に大きなインパクトをもたらすプロジェクトや団体を選ぶことも大切です。
このポイントでは、自社が寄付する金銭・物品・人などのリソースによって「明確な成果」が得られるとともに、その取り組みおよび成果が「社会的注目度が高いもの」であるかどうかを確認していきます。

多額の寄付を集めていても実績が乏しいプロジェクトについては、寄付の有効性を慎重に判断する必要があります。また、SDGsやESG、CSRといった考え方に結びつけにくいプロジェクトの場合、ステークホルダーからの評価向上につながりにくいことがあり、寄付効果の最大化は期待しづらいでしょう。
SDGs・ESG・CSRの意味や重要性に関心がある方は、以下の記事をご覧ください。
➤企業の社会貢献はなぜ必要なのか? ESG・CSR・SDGsの違いと経営に効く理由
団体・組織の信頼性
寄付活動をステークホルダーから高く評価してもらうためには、寄付先となる団体が「信頼できること」も重要です。寄付金が想定された用途に使われていなかったり、寄付先のプロジェクトで不祥事が起きたりすれば、せっかくの寄付が自社のイメージ悪化につながってしまう可能性もあります。
では、団体の信頼性とは、どのように確認すればよいのでしょうか。
寄付先の信頼性をチェックするポイント

寄付先が信頼できるかどうかは、以下3つのポイントを確認することで判断しやすくなります。詳しく見ていきましょう。
①組織・運営の透明性
最初に確認したいのが、組織および活動実態に透明性があるかどうかです。
組織・団体のホームページが存在するのはもちろんのこと、そのなかに代表およびスタッフの名前・身分・肩書が明記されているかを確認しましょう。
また、なかには、形式的に存在するだけで活動実態がない団体もあります。こうした団体を避けるためには、「活動報告を定期的に発信していること」や、「会計年度末から6ヵ月以内に年次報告書を発行していること」なども確認したほうがよいでしょう。
②第三者評価
団体側の公開情報に続いて注目したいのが、第三者評価です。
たとえば、認定NPO法人は、特定非営利活動を行うことを主目的とした団体として所轄庁の認証を受けています。また、公益社団法人・公益財団法人は、一般社団・財団法人のうち、民間有識者からなる第三者委員会による公益性審査を経て認定を受けた団体です。
NPOを対象とした第三者認証制度として「グッドギビングマーク」があります。NPOへの寄付・支援における“安心の基準”をつくるために設計されたもので、コンプライアンスに詳しい有識者による検討委員会のほか、専門機関のアドバイスを踏まえ、厳格な審査項目が整備されています。2025年11月までに21団体が認証団体に選ばれました。

参考:支援者保護を目的とした第三者認証制度「グッドギビングマーク」の認証団体に選ばれました(特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)
このほかに、受賞歴や審査制助成金の獲得実績も、第三者評価の高さを示す重要な指標となります。場合によっては、助成金を得ながら大手企業と連携するケースもあるでしょう。

さらには、各種メディアで報道されていることも、社会的評価の高さや注目度を裏付ける要素となりそうです。
③数字からみる活動状況
団体が多くのステークホルダーから支援を受け、継続的に実績をあげている場合、公式サイトや活動報告書などに以下のような定量的データが掲載されていることがあります。
- ・一定以上の活動予算規模がある(例:年間1,000万円超)
- ・一定年数以上の活動実績がある(例:3年以上)
- ・一定以上の個人寄付者がいる(例:100人以上)
- ・収入に対する運営費の割合が高すぎない(例:3割以内) など
同一テーマで複数の候補団体がある場合、上記の数値指標を用いて実績を比較するのも有効でしょう。
企業寄付の事例集
企業寄付そのものや寄付先選びのイメージが湧かない場合は、実際の事例を参考にしてみましょう。各企業が寄付に至った経緯や動機を確認することで、自社の寄付方針やテーマ設定のヒントが得られます。
ここでは、企業からの寄付受け入れ実績が豊富な5つの団体を取り上げ、具体的な寄付事例を紹介します。
認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン

ピースウィンズ・ジャパンは1996年の設立から、国際人道支援、災害緊急支援、保護犬事業をはじめとするさまざまな領域で支援実績を積み重ねてきた認定NPO法人です。設立から29周年を迎え、累計支援国は41の国と地域に及んでいます。近年は地方創生事業や子ども事業、保護猫事業などにも力を入れています。
・日本たばこ産業株式会社(JT)
日本たばこ産業株式会社(JT)は、「自然や社会と人の暮らしはつながっており、自然や社会が持続可能であってはじめて、人の暮らしや企業の活動も持続可能となる」という考えのもと、包摂的かつ持続可能な地域社会の発展への貢献を目的とした「コミュニティインベストメント」を行っています。重点領域の1つに位置付けている「災害分野」の取り組みとして、ピースウィンズとの間で、人命捜索救助隊の育成支援および災害発生時の被災地支援活動に関する協定を2016年から締結しています。
有事のときはもちろん、平時の訓練も支援することで、いざというときの速やかな被災地支援をサポートしたいという想いから、継続的な寄付を実施されています。災害発生直後から迅速に現地入りして調査・支援にあたる、ピースウィンズの高い機動性はこうした支援に支えられています。
参考:災害に備えた人命捜索救助隊の育成や、多機関連携型の緊急医療体制強化等、災害発生時の被災地支援活動に関する協定を更新(日本たばこ産業株式会社)
・ゼンショーホールディングス
ゼンショーホールディングスの企業理念は、「食を通じて、人類社会の安定と発展に責任をおい、世界から飢餓と貧困を撲滅する」です。企業こそ社会課題解決の主体であるという強い信念から、ピースウィンズに対して、国際人道支援や国内外の災害支援といった幅広い事業を寄付で支援しています。
2024年には、災害支援活動を法人として継続的に支援する「空飛ぶ捜索医療団コーポレートマンスリーサポーター」にも登録。2024年に発生した能登半島地震の支援などを通じて、「有事の際の機動力・即応力に優れ、信頼できるパートナー」と実感したことが、登録の決め手になりました。
能登半島地震の被災地では、「食」の分野を得意とする同社とピースウィンズが連携し、「すき家」のキッチンカーが炊き出し支援で活躍しました。

参考:ゼンショーホールディングス様がコーポレートマンスリーサポーターに登録!(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン)
特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
むすびえは、こども食堂と、こども食堂を支援する企業・団体とをつなぐ認定NPO法人です。こども食堂を支える各地の中間支援団体の支援や、物資・資金支援の仲介、こども食堂への理解促進などの活動を行っています。
・イオン株式会社
イオン株式会社は、経営理念に「地域社会への貢献」を掲げ、各地に店舗を持つ強みを生かして地域の交流拠点となるコミュニティづくりなどに取り組んでいます。新型コロナウイルスの感染が広がった2020年、経済的な事情で十分な食事をとれない子どもたちの存在が顕在化し、「むすびえ」を通じて子ども食堂を支援することを決めました。
この時発足した「イオン 子ども食堂応援団」は、イオンの店舗を拠点に、こども食堂をより広く知ってもらうための啓発活動場所の提供や、募金活動などを実施しています。
参考:地域社会とともに未来を育む挑戦 〜イオン株式会社〜(認定NPO法人むすびえ)
国境なき医師団
国境なき医師団(MSF)とは、人種・宗教・政治思想にかかわらず、命の危機に瀕するすべての人々に公平に医療と人道支援を提供する国際医療援助団体です。災害や紛争地における救急医療や栄養失調の治療、感染症対策などを世界各地で展開しています。
・株式会社シグマ
株式会社シグマは、「写真は豊かな文化と幸福の追求に根ざす」という理念を掲げ、カメラや関連機器の製造・販売を手がける企業です。その理念のもと、国境なき医師団による現地での写真・映像を使った証言活動に共感し、20年以上にわたって寄付活動を継続しています。
寄付の主軸は、法人向けの継続的な活動支援プログラム「MSFコーポレートサポーター」です。また、国境なき医師団が制作する啓発映像への機材協力や、売上の一部寄付などの取り組みも行っています。
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
WWFは、自然環境の悪化を食い止め、人が自然と調和して生きられる未来を目指す環境保全団体です。世界の生物多様性の確保や、自然資源の持続可能な利用の確立を目指しています。WWFジャパンは日本事務局であり、日本の事業活動や消費によって影響を受ける場所を活動の場としています。
・ソニーグループ
ソニーグループは「感動に満ちた世界を創り、次世代へつなぐ」を掲げ、環境負荷ゼロを目指す計画「Road to Zero」を推進しています。環境目標達成のため、WWFジャパンと2021年から、気候変動や生物多様性保全の分野で協働する「コーポレート・パートナーシップ契約」を結んでいます。継続的な寄付に加えて、東南アジアなどで取り組む森林保全活動、温室効果ガスの排出削減などに共に取り組んでいます。
参考:気候変動分野・森林保全を通じた生物多様性保全分野における3年間のパートナーシップ(WWFジャパン)
まとめ
企業寄付の効果を最大化するためには、信頼できる寄付先を選ぶことが大切です。また、自社方針との整合性やインパクトの大きさなども、おさえておきたいポイントでしょう。寄付先の選定のイメージをつかむために、各団体や企業の寄付事例を参考にするのも一つです。
ピースウィンズ・ジャパンでは、ご紹介した事例以外にも多くの企業・団体と連携しています。その他の事例集やお問い合わせはこちらをご覧ください。





