ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対して海外国内問わず支援活動を行うNGOです。

特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパン
営業時間:平日9時-18時(支援受付窓口:平日9時〜17時)

NEWS

【お知らせ】『週刊新潮』9月12日発売号の記事について

2018.9.12

9月12日発売の『週刊新潮』に、当団体のピースワンコ・ジャパン事業に関する記事が掲載されました。記事は、私たちの保護犬の扱いを「虐待」と表現するなど、きわめて一方的で事実と異なる記述が多く、活動に疑念を生じさせようとする意図に満ちたものです。 十分な裏付けのない誹謗中傷に強く抗議するとともに、この記事で、本来無関係なはずの多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしたことを、心からお詫び申し上げます。

引き取りをストップすれば広島県だけで毎月100-150頭の犬が殺処分されるという状況のなか、それを阻止するため、私たちは県内で殺処分対象になったすべての犬の引き取りを2016年4月に始めました。16年度は1395頭、翌17年度は1816頭を保護し、銀行から資金を借り入れてまで、必死で日々の世話と里親さん探しに取り組んでいます。保護犬の命と健康を守るため、医療費だけでも年間1億円をかけて最善を尽くしています。

そうした私たちの活動に対し、今回の記事に限らず、さまざまな誹謗中傷をする人がいます。心ない行為によって活動が妨害されれば、引き取りができなくなり、最終的に命を落とすのは犬たちです。私たちはそれを黙って見過ごすことはできません。インターネット上の匿名での投稿や情報拡散を含め、特に悪影響が懸念されるものについては、やむを得ず法的措置をとっていますし、今後も厳しく対応する考えです。
以下、記事で指摘された点を中心に、私たちの活動や考え方について、あらためて説明させていただきます。

■現状と今後の見通し
現在、ピースワンコの保護施設には2500頭近くの犬がいます。全頭引き取りを始めてからの2年半で頭数が一気に増えました。2015年度の県内の犬の殺処分数が792頭だったことから、年間800-1000頭までは想定していましたが、それをはるかに上回る引き取りに対応せざるを得ませんでした。

飼育環境を少しでも改善するため、私たちは懸命に施設の拡充を進めています。この1年だけでも約2億円をかけて犬舎3棟を新たに建て、犬たちの居住スペースは1400平米増えました。現在、ドッグランを除いても1頭あたり畳1枚ほどのスペースを確保しています。世話をするスタッフも100人以上います。私たちはこれで十分とは考えず、常に拡充の努力を続けていますが、現状でも日本の保護施設のなかでは相対的に良い環境だと考えています。

感染症のリスクや保護犬のストレス、スタッフの業務負担などを考慮し、一般の方への公開は一部の犬舎に限っていますが、その他の犬舎でも、広島県動物愛護センターや神石高原町の関係者のほか、企業ボランティアの方々なども受け入れています。

    • スコラ犬舎
    • スコラ犬舎ワンコ
スコラ犬舎とそのワンコたち

 

「殺処分ゼロ」の継続はこの1、2年が勝負どころだと、私たちは考えています。年間の保護頭数がこれまでの半分程度に落ち着き、譲渡を逆に2倍程度にまで増やすことができれば、犬の出入りの数がほぼ均衡し、シェルターの状況は大幅に改善します。一方、もしこのまま自治体からの引き取りが減らず、譲渡数も伸びなければ、シェルターの運営は実務的にも資金的にも非常に厳しくなります。それは、助かるはずの命を「選別」しなければならなくなることを意味します。

幸い、昨年度は1800頭を超えた犬の保護数が、今年度はこれまでのところ年間1200頭ほどのペースに落ちています。まだ多いものの、捕獲が進んだことで野犬の繁殖が抑えられたためか、明るい兆しが見えてきました。新たな飼い主さんに迎えられる犬の数も年間540頭のペースにまで増えています。8月は、月間の数字としては過去最高の55頭を譲渡できました。みなさまのご支援を得て努力を続ければ、必ず状況は改善し、近いうちに飼育頭数が減少に転じると見込んでいます。

殺処分もやむなしと考えてあきらめるか、すべての命を救うためにベストを尽くすのか――。答えは明白です。決して生易しいことではありませんが、殺処分機を二度と稼働させないため、今後も歯を食いしばって努力を続ける覚悟です。

■犬舎内での犬の死亡について
私たちにとってのチャレンジは、保護する犬の大半が野犬だということです。野犬たちは、部屋の中で暮らしたことも、人に愛情を注がれたこともありません。スタッフが心を込めて世話をしようとしても、怯えたり攻撃的になったりします。そして、早朝など人の目が届かないときに、野犬どうしがけんかをしたり、弱い犬がいじめられたりして、残念なことに死に至るケースもありました。これは、犬の命を救うために日夜働いているピースワンコのスタッフにとって、なにより辛いことです。胸を痛め、辞めてしまったスタッフもいます。

記事では、このような状況を「殺処分より酷い虐待」と非難していますが、事実と異なります。もちろん、「過密状態で犬がかわいそうだ」との批判はありますし、野犬化した犬たちを1頭ずつ隔離するという理想的な状態でないことは、私たちも認めざるを得ません。しかし、それは、殺処分を防ぐためにすべての犬を引き取ってきた結果、やむを得ず生じている状況です。

「野犬は殺処分されても仕方がない」とか、「引き取りを制限するべきだ」などというご意見もあり、そうすれば私たち自身が楽になるのはわかっています。しかし、野犬も飼い犬と同じ、命ある生き物です。引き取りを止めた瞬間に犬たちが残らずガス室に送られ、その尊い命を奪われることがわかっている以上、たとえ現状が100点満点でなくても最善を尽くすことが、私たちの使命だと考えています。猫なら、避妊・去勢手術をしてから元いた場所に戻すTNRという方法で収容頭数を抑えることもできますが、犬の場合は法律上それが許されず、施設で保護するしかありません。

まだ万全とはいえませんが、犬舎の増築によって一時期より過密状態がやわらぎ、犬どうしの殺傷事故も減りました。通常の犬舎に加え、新たに用地を確保して、攻撃性の強い野犬を1頭ずつ個別管理できる特別なシェルターも作りました。そこで丁寧に世話をするうちに、人に馴れ、譲渡が可能なまでに穏やかな性格になった犬もいます。

■避妊・去勢手術と施設内での出産について
これまでもご説明してきましたが、私たちは、生き物本来の機能をなるべく大切にしたいと考え、すべての保護犬に一律に避妊・去勢をするという方針はとっていません。特に子犬の成長過程に影響する可能性がありますし、そもそも手術に耐えられないほど健康状態が悪い犬、避妊・去勢によりホルモンバランスが崩れて心身に影響が出る犬もいるからです。

飼育頭数が急増したのに伴い、一頭一頭の健康状態や様子に留意しながら、きちんと飼育管理をするために必要だと判断した場合には避妊・去勢を進めています。これまでに約540頭の犬が不妊手術を済ませています。また、譲渡先の飼い主にもしっかりと繁殖制限の必要性を伝えており、追跡調査の結果、譲渡後の繁殖もほぼないことを確認しています。
施設内での交配を防げず、出産に至ったケースもゼロではありませんが、私たちは生まれてきた子犬を責任をもって飼養し、譲渡先を探しています。

■食事や医療ケアについて
記事では、広島県神石高原町のスコラ高原にあるシェルターの状況について、「フードも1日1回」「犬がケガをしても処置さえできない」などと批判しています。
食事については、それぞれの犬の年齢や体格などに応じて適したフードの種類・量・回数などを見きわめ、給餌しています。また、日々の健康状態によっても量や与え方を変えるなど、きめ細かく対応しています。

また、スコラ高原のシェルターには週に2回、獣医師が足を運び、診察・治療やワクチンの接種、薬の処方などを行っています。シェルター内でも手術を含む適切な処置ができるようにしていますし、近隣の動物病院に処置をお願いする場合は、個々のケースの医療費に上限を設けず、全体では年間1億円以上の医療費をかけて保護犬のケアに最善を尽くしています。

■「『殺処分ゼロ』の美名で集金」批判について
当団体が広島県神石高原町へのふるさと納税などを利用して活動資金を調達していることについて、記事では「『殺処分ゼロ』の美名で10億円集金」などと批判し、あたかも事業の目的がお金集めであるかのような印象を与えています。しかし、これもまったくの的外れです。

2500頭近い保護犬の医療費や食費、施設の光熱費、備品代、スタッフの人件費といった日常的な運営経費に加え、犬舎や譲渡センターの建設・改修費など、事業には合わせて年間10億円近い費用がかかっています。そのすべてをご寄付だけでまかなうことは難しいのが現状です。特に昨年度は、犬の急増に対応した犬舎の増築で支出が予算を1億3000万円オーバーし、銀行から融資を受けて必要な資金をなんとか確保しました。

■日本の殺処分の現状を変えるために
なぜ、そこまでやるのか。
日本では、まだ多くの人があまり考えずに犬や猫を飼い、捨てて、税金でほぼ毎日殺処分機を動かし、毎年何万頭もの命を奪っています。私たちはこの異常な状態を変えたいと思っています。

これまで長年変わらなかった意識を変えるのは、非常に難しいことです。それでも、譲渡の仕組みづくりや啓発活動等も含め、いろいろな方法を試行錯誤することで、欧州の動物福祉先進国と同じように、やがて日本の捨て犬が劇的に減る、その希望を実現したいと思います。
支持してくださる多くの方々とともに、殺処分機の最後の1台を止めるまで活動を続けます。今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

ページのトップへ戻る