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2025年11月10日
第6回多機関連携災害時医療救助訓練を開催!

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ピースウィンズが運営する災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」は、災害支援現場での官民連携・多機関連携のハブとなることを目指し、多機関連携を主題とした災害想定訓練を主催しています。
第6回となる今年は、11月5日(水)~11月8日(土)の4日間、早川公園などを会場に実施しました。訓練の想定は「南海トラフを震源とする最大クラスの地震発生」空飛ぶ捜索医療団が出動し、フィールドホスピタルを展開するというシナリオのもと、各機関が連携しながら実践的な訓練を行いました。

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多機関連携
今回は空飛ぶ捜索医療団と愛媛県今治市が共催し、行政、大学、民間支援団体、企業などから合計48団体、約260名が参加しました。
愛媛県今治市と、空飛ぶ捜索医療団を運営する特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2021年に「災害等緊急時における支援協力に関する協定」を締結しています。行政との協働により、より現実的な環境での訓練実施が可能となり、地域防災力の向上にもつながる取り組みとなりました。
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訓練ハイライト:指揮本部長の異例の交代
今回の訓練では、参加者の緊張感を一気に高めるシナリオが組み込まれました。それが、活動途中での指揮本部長の急な交代です。
長期化する災害医療支援では、指揮官が健康問題や不測の事態で離脱する可能性は常にあります。訓練では、当初指揮を執っていた稲葉医師から、ロスター(登録隊員)である山田医師へと指揮権が引き継がれました。ロスターが本部長を務めるのは6回目の訓練でも初めてのケースでした。
大規模災害の現場では、特定の経験者に依存する組織は機能不全に陥りやすく、突発的な交代に耐えうる体制=「レジリエンス」が求められます。今回の交代劇は、まさにその力を測る試金石となり、チーム全員で指揮を担う組織的な成長が明確に示された瞬間となりました。
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企業サポーターの皆さまが訓練を見学
震災の発災6日目を想定して行った11月8日(土)の訓練には、「空飛ぶ捜索医療団コーポレートマンスリーサポーター」など、日頃から空飛ぶ捜索医療団の活動を支えてくださっている企業の皆さまに見学にお越しいただきました。
まず最初に、珠洲事務所現地統括の橋本が早川公園に展開したフィールドホスピタルをご案内。フィールドホスピタルには、指揮所、診療所、レントゲン室、運営本部、検査室、食堂、遺体安置所が設営され、能登半島地震でも実際に活用したシャワー室やお風呂も完備。隊員は被災地での支援を想定してテントで寝泊まりし、訓練中には100を超えるインジェクション(想定課題)が用意されました。
見学された皆さまからは、「100個以上におよぶ作り込まれたインジェクションに驚いた。混乱した現場の様子がリアルに再現され、緊迫感があった」「被災地で活動する隊員への入浴やシャワーの提供など、企業としてできる支援の可能性を感じた」といったご感想をうかがいました。
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また、日本初の民間災害医療支援船については、船長の杉本が案内を行いました。能登半島地震の際には、陸路が寸断された中で海上輸送によって物資を被災地へ届け、また断水の続く地域でスタッフへのシャワーや食事提供といった後方支援にも活用しました。
船にはヘリポートも備え、急病患者の搬送も可能です。見学された皆さまからは、「想像以上に大きな船で驚いた」「ヘリ、船、医療チームによる陸・海・空の連携を体感し、災害支援のスケールを実感した」との声も聞かれました。
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初の炊き出し連携訓練
今回初めての取り組みとして、ゼンショーホールディングス様と炊き出しの連携訓練を実施しました。同社は能登半島地震の直後から空飛ぶ捜索医療団と緊密に連携し、被災地での炊き出しを迅速に展開。温かい食事の提供を通じて、現場で活動する支援チームを力強く支えてくださいました。
その経験を踏まえ、「平時からの備え」の重要性を共有し、関係団体との協働体制を一層強化するため、今回の訓練にご参加いただきました。現場では、情報共有の流れや供給動線、役割分担などを実運用レベルで検証し、災害時の対応をより現実的に想定した訓練となりました。
牛丼を手にした隊員からは「温かいものを食べられて本当に嬉しい」「美味しい食事が活力になる」との声が上がり、食の支援が心身の回復に与える大きな力をあらためて実感しました。
今回のゼンショーホールディングス様との取り組みは、民間企業と支援団体の協働モデルを具現化し、災害時における食の提供をより機動的かつ確実なものにする重要な一歩となりました。
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多機関連携が生み出す協働の可能性
企業様とピースウィンズ代表の大西とのセッションでは、意見交換が活発に行われました。災害支援事業の立ち上げ期からサポートいただいている企業様から、新たに連携が始まった企業様までが一堂に会し、それぞれの立場から「企業ならではの災害支援のかたち」や「NGOと企業の協働」、「企業間コラボによる新たな支援の可能性」について意見を交わしました。
参加者からは「NGO/NPOの常識を変え、世界を変えていくという言葉に共感した」「ソーシャルイノベーションプラットフォームの一端を実感できた」との声が寄せられ、官民が一体となった支援の広がりを感じる時間となりました。

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企業・行政・NGOがそれぞれの強みを活かし連携することで、より迅速で実効性のある支援体制が構築されます。今回の訓練は、企業との協働に加えて行政(今治市)とも連携して実現したものであり、まさに多機関連携のモデルケースとなりました。

私たちはこれからも、様々な協働にチャレンジしながら、紛争や災害に対して出来ること、届けられる支援を拡げていきます。
ご関心をお持ちの企業ご担当者様はぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▶【メディア掲載】多機関連携災害時医療救助訓練の様子が取り上げられました
愛媛新聞(2025年11月6日)
「大災害に備え野外病院の設営方法確認 今治・宮窪で医療救助訓練」
NHK「ひめポン!」(2025年11月7日)
映像:【NHK】▽今治市で民間の災害医療支援船を使った医療救助訓練
(※04:13付近~)
記事:南海トラフ地震 船やヘリ活用の災害医療訓練 「フィールドホスピタル」も

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「空飛ぶ捜索医療団コーポレートマンスリーサポーター」に登録いただきますと、多機関合同訓練のご見学案内が可能です。
詳細は下記ページを参照ください。

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