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私たちの活動

【ウクライナ危機】橋渡し役としての医師の仕事

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、ウクライナの隣国モルドバの避難所に仮設診療所を4月に設置し、避難民への医療支援活動を継続しています。
長嶋友希(ながしま ともき)医師は、「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”」の登録派遣(ロスター)として、約4ヵ月間、仮設診療所で活動しています。ウクライナから避難してきた人々と、どのように関わってきたのか、お話しいただきました
なお、専門的な内容を含むインタビュー全文は、こちらをご覧ください。
https://arrows.red/journal/20220823/

 


仮設診療所での医療支援の様子

 
モルドバに来てみて、治安は悪くなく、こちらに来て危険を感じたことはほとんどありません。街並みは、ソ連時代の影響が見受けられます。日々の仕事や暮らしの中で、私たちの馴染みある欧米文化との違いを感じることもあります。

例えば、医療用語の使い方です。
診察時、ウクライナ避難民の患者さんが、ロシア語で「オステオコンデローシス(osteochondrosis)の既往がある」と言われることがあります。この医学用語を日本語に直訳すると「骨軟骨症」となるのですが、実際に患者さんが意味するのは「脊椎症」のことでした。
このような齟齬を解決するために、通訳者とも共通理解を図り、正確に理解できるように努めていました。

患者さんがウクライナ国内で処方された薬に相当する薬を、モルドバで探すのにも苦労しました。また、日本では医師の処方箋が必要な薬であっても、こちらでは自分で購入することができ、時には自己判断で薬を変えていたり、自己流の治療を行なっていたりします。それらは医学的には正しいとはいえないことも多いです。これまでの処方が適切ではない場合、その処方はできるだけ避け、なぜその薬ではいけないのかを説明し、正しく理解してもらえるよう、丁寧にコミュニケーションをとっていきました。
 


仮設診療所での医療支援の様子

 
こちらに来て、嬉しかったこともありました。4ヵ月も滞在していると、以前に診察した避難民の方から街中で声をかけられたり、わざわざ英語で感謝の言葉をかけてくれたりすることもあり、感動しました。また、今年の6月にモルドバの医師会から功労賞もいただきました。
 


モルドバ医師会による授与式の様子

 
今後は、臨床とは別の形で医療を提供したいと思います。 この8月から、ウクライナ国内で爆撃を受けた病院の再建プロジェクトに関わることになり、必要な医療機器の導入を支援します。

すでに決められた枠組みの中で仕事をするのではなく、現場に飛び込み、医療サービスを一から形作っていく経験は、医師として学ぶことがとても大きいと思います。
今後もしばらくこちらで働くつもりです。

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PWJは、ウクライナ避難民の方々が、少しでも健康で安心した避難生活を過ごせるように、支援活動を継続してまいります。

本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成および個人・法人の皆様からのご寄付により実施しています。引き続き皆様からのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
https://global.peace-winds.org/support/ukraine

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