ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2012.3.15

大統領選挙とPWJの活動

東ティモール 海外人道支援

東ティモール共和国の第3回大統領選挙を3月17日(土)に控え、選挙キャンペーン最終日の3月14日には、最大野党フレテリン(Fretilin)の選挙演説が ディリ市内で行われ、興奮した人々でごった返していました。
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(3月14日、タシトルにて。フレテリン選挙演説。)

17日の投票時間は早朝7時から午後3時までで、有権者は17歳以上の東ティモール人、約63万人です。投票のため、PWJ 東ティモール 事務所のスタッフ2名も、投票日前の週の後半にはアタウロ島、オイクシへそれぞれ帰省します。
今般の大統領選挙は当初14名の候補者によって争われる予定でした。しかし女性候補者1名(Angela Freitas氏)が出馬の前提条件とされる支持者3,000名を確保することができず、また、もう1名の候補者であるFrancisco Savier do Amaral氏は3月6日の午前に逝去したため、最終的な候補者は12名となりました。
なおFrancisco氏は、1974年フレテリンの創設者兼初代議長であり、1975年インドネシアの本土侵略開始前にポルトガルからの東ティモール共和国の独立を宣言し、初代大統領となった人物です。その後、フレテリンの前身であるティ モール社会民主協会(ASDT)の名をそのまま残し、新党としてASDTを再結成された有力者でもありました。
さて、こうした紆余曲折を経て、現在12名が立候補する大統領選の投票が週末に迫っていますが、その12名の立候補者とは一体誰か。選挙情勢はどのように見られているのか。
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(3月14日タシトルにて。フレテリンその2。)
まずは、立候補者を紹介します。
1.Jose.Ramos Horta(ジョゼ・ラモス・ホルタ)・・現職大統領。2012年1月末に大統領選立候補表明。(無所属)
2.Taur Matan Ruak(タウル・マタン・ルアク)・・独立前はFalintil(民族解放軍)副司令官。昨年の九月まで国防軍司令官、大統領選出馬のため辞職。(無所属)
3.Francisco Guterres Lu olo(フランシスコ・グテレス・ル・オロ)・・フレテリン(Frente Revolucionaria Do Timor-Leste Indepenente)党首。(フレテリン)
4.Fernando Lasama de Araujo(フェルナンド・ラサマ・デ・アラウジョ)・・連立与党のひとつである民主党の党首、国会議長。(民主党)
5.Manuel Tilman(マニュエル・ティルマン)・・野党コタの党首。(Kota党)
6.Rogerio Tiago de Fatima Lobato(ロジェリオ・ティアゴ・デ・ファティマ・ロバト)・・フレテリン政権時の内務大臣。(無所属)
7.Maria Seo Lopes da Silva(マリア・セウ・ロペス・ダ・シルバ)(無所属)
8.Angelita Maria Francisca Pires(アンジェリタ・マリア・フランシスカ・ピレス)(無所属)
9.Francisco Gomes(フランシスコ・ゴメス)・・2011年結成の新党PLPA(Partido Liberta Povo Ai-leba)=アイレバ人民解放党の党首。
10.Jose Luis Guterres(ジョセ・ルイス・グテレス)・・現連立政権下の副首相。FRETILIN MUDANSA党の党首。
11.Abilio da Conceicao Abarantes de Araujo (アビリオ・ダ・コンセイサオ・アバランテス・デ・アラウジョ)・・インドネシア占領時代のフレテリン海外代表部リーダー。(Partido Nasional Trabalista党)
12.Lucas da Costa(ルーカス・ダ・コスタ)・・民主党国会議員。学者。ディリ大学、平和大学創設に関わる。(民主党)
この12名によるレースの中で有力視されているのが、1.~4.までの立候補者です。この4名の中から大統領が選ばれることは間違いない と言われていますが、いずれか一人が過半数以上を得票する見込みは低く、決選投票になるのは必至との意見が大勢を占めています。
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(3月14日タシトルにて。フレテリンその3。)
こうした政治動向から翻ってPWJ東ティモール事業を振り返ってみますと、PWJが緊急からコミュニティ開発へと支援の方向性をシフトした2003年以降も、実に政治不安の中でのオペレーションの舵取りを迫られたということがわかります。2002年に念願の独立を遂げた東ティモールですが、独立以降も政治的混乱は続き、 1999年より同国を支援するPWJも、 様々な困難に直面してきました。
2006年には当時の駐在スタッフが国外退避する事態となり、2008年の大統領襲撃事件が発生した際には 非常事態宣言が出され、コーヒーの収穫地であるレテフォホに移動できない、という事態にも見舞われました。そうした厳しい局面においても、PWJは決して事業を止めることなく、現在まで継続してきました。そうして積み重ねた活動の成果は、実績として如実に数値に反映されています。10名の生産者から始まったレテフォホでのPWJによるコーヒー生産者支援も、 2012年現在は500名を 超えるまでに発展しています。
PWJが安定的に活動できることと、東ティモールの政治面での平和は当然、相関関係にあります。 政治的に安定してきた現在の東ティモールでの活動は、外出禁止令などの物理的制約の緩和や、通信事情・インフラの改善により、混乱の時代と比べて格段に容易になりました。
他方で治安が改善し、ティモールの支援ニーズが緊急支援から長期的な発展を見据えた開発へと移行する今、より質を重視した援助が求められています。人材育成や第一次産業の発展は、当国に とってとりわけ重要な課題とみなされており、これらの課題解決を支援する援助機関は、様々な経済的・社会的要因を加味・検証し、精緻な計画をもって支援活動に臨むことが求められています。
PWJの支援は、まだまだ多くの課題、改善点を抱えるものの、東ティモール国家の開発優先課題に直結したその活動に、スタッフ一同使命感を持って日々業務に取り組んでおります。小さなオフィスで小さなコーヒー豆たちと向き合いながら。
長くなりましたが、こうして、独立から現在に至るまでの東ティモールの変遷、それに伴うPWJ活動を振り返る中で、現在の平和こそ、過去の混乱に疲弊した市民、為政者、そして国際社会の切望するものであると改めて実感します。
今年で独立10周年を迎える東ティモー ルで行われる3月の大統領選挙と6月予定の国会議員選挙。
5月20日のLoron Independencia:独立記念日を挟んで行われる、この2つの選挙が平和理に実施されることを、東ティモールに縁あって滞在する一NGO職員、一日本人として願わずにはいられません。

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