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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2013.10.22

持続的な組合運営のために~酪農家支援を通して~

スリランカ 海外人道支援

ピースウィンズ・ジャパン(以下、ピースウィンズ)は、スリランカ東部のトリンコマレ県にて、30年近くに及んだ内戦終了直後から、元避難民の故郷への帰還と再定住を支援しています。2011年3月に開始したコミュニティ生計支援事業は、3年目を迎えています。
故郷に戻った帰還民が避難前の生活を取り戻すには、安定した生計を立てられることが必要で、そのための活動の一つとして、ピースウィンズは5つの村の酪農組合と協力しています。ピースウィンズは良質な交配種の乳牛や牛舎の資材などを組合に提供し、各村の組合から選ばれた計20名の小規模酪農家「コア・ファーマー」が、組合を通してこれらを貸与されました。コア・ファーマーは、この牛から搾った牛乳を売って収入を得ることができます。
コア・ファーマーは、受け取った牛の価格の半額を所属する酪農組合へ返済し、この資金を活用して、組合は牛を購入し、別の小規模酪農家を支援することになっています。つまり、ピースウィンズの酪農組合支援をきっかけに、組合が小規模農家の支援を長期的に行っていくことがねらいです。
スリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパン スリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパン
写真左:妊娠した牛を受け取ったコア・ファーマー  写真右:搾乳用に配布されたミルク缶
スリランカ政府畜産局の協力のもと、毎月獣医によるコア・ファーマーを対象とした牛の飼育研修も実施しています。ここトリンコマレ県を含む3県からなる東部州は、スリランカ全国の約3割の牛を有する地域です。しかし、牛乳の生産量は少なく、他地域を下回っています。その理由のひとつとして、トリンコマレでは昔ながらの放牧で在来種の牛を育てており、多くの在来種牛は1日に1~2リットルしか搾乳できていないことがあります。そこで、スリランカ政府は、在来種よりも乳量の多い交配種の牛を、牛舎で飼料を与えて飼育する集中的飼育方法を実践することで搾乳量を上げることを奨励しています。本事業はこの政府の方針に沿うもので、研修では交配種の牛の飼育方法や飼料の与え方、また病気の予防・対応や妊娠時期や方法などを総合的に学んでもらいます。
スリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパンスリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパン
写真左:講義をする畜産局の獣医  写真右:質問をするコア・ファーマー
本事業は、酪農組合の能力強化も目的としています。組合の役割と責任を明確にし、会計処理など組合の運営能力を向上するための研修も行います。ピースウィンズがやがてトリンコマレ県で行う支援活動を終了した後も現地の人びとが安定した生計を維持できるよう、彼らが主体的に、かつ継続的に運営していけるような仕組み作りを支援したいと考えています。
この長期的な仕組み作りを実現するため、今期事業では、乳製品製造の研修も行いました。単に牛乳の生産量を増やすだけではなく、それを加工する技術を身に付け、販売することにより、一層の収入向上が見込めます。研修では、各家庭にある調理機具で作れるアイスクリーム、ヨーグルト、カード(水牛のミルクから作るヨーグルトの一種)、ギー(牛乳脂肪の調理用油脂)、パンニ(チーズの一種、カレーと一緒に食べることが多い)などの作り方を習得しました。
スリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパンスリランカ支援 ピースウィンズ・ジャパン
写真左:牛乳を火にかけて下準備  写真右:ヨーグルトをカップに入れる
研修参加者からは、パンニ、カードなどは比較的簡単に作れるので、ぜひ自宅で作りたいという積極的な意見が多数出ました。また、商品として売るために衛生面で気をつける点や、販売価格の設定の仕方など、調理方法以外についての講義もあり、とても参考になったとの意見もありました。
研修後、自宅で数種類の製品を作ってみた参加者が上手くいかなかった点について、研修を担当した畜産局の講師に連絡し、アドバイスをもらったとの知らせがありました。研修で学んだことがさっそく実践されたことはもちろん、この研修をきっかけに畜産局スタッフと研修参加者との関係作りができたことは、事業終了後も畜産局と酪農家が連携して、組合活動を継続していくことを期待するピースウィンズとしてうれしいことです。
残り半年の事業期間も、引き続き、酪農家の支援を続けていくとともに、持続可能な仕組み作りを目指していきます。
報告:栗本圭(スリランカ駐在)
*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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