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私たちの活動

シエラレオネ支援の現場から~入国のための"タフな交渉"

日本からみて、地球の裏側にある西アフリカ。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が支援を続けるシエラレオネに入るには、いくつかのルートがありますが、日本からの直行便はもちろんなく、どのルートを使っても、それなりの課題がついて回ります。今回は、隣国ギニアに空路で入った後、陸路で国境を越えるルートを使いましたが、やはり、アフリカならではの事態が待ち構えていました。

シエラレオネシエラレオネ

写真左:元気いっぱいの現地の子どもたち
写真右:アフリカのタクシー(これはシエラレオネのもの)
(C)Peace Winds Japan

フランスのパリを経由し、ギニアの首都コナクリの空港に到着したのは、夜の9時。シエラレオネの首都フリータウンへ向かうフライトには、結局、1週間先じゃないと乗れないとわかり、予約していたホテルへタクシーで向かうことにしました。アフリカの大地を踏むのは1年ぶり。あまり懐かしさはないのですが、タクシーの料金交渉を始めたとたん、「アフリカに帰ってきたなぁ」という思いがこみ上げてきました。

しかし、タフな交渉は、この後でした。

コナクリからシエラレオネの首都フリータウンまでは、結局、タクシーを利用して陸路移動することにしました。このタクシーを予約するだけで、1日かかってしまったのです。

シエラレオネ

アフリカの大地を走る
(C)Peace Winds Japan

シエラレオネとギニアは隣同士の国なので、乗り合いタクシーを利用して行き来する現地の人たちがいます。シエラレオネから移住してきた人が、家族に会いに行ったり、商売に行ったりと、普通に交流しています。そのため、乗り合いタクシーが、1日に数台行き来しています。私たちは、セキュリティー(安全確保)と移動の効率のため、8人乗りの乗り合いタクシー1台を貸し切ろうとしました。しかし、通常、貸し切りで利用するお客さんがいないため、料金設定がありません。乗り合いで利用する場合の料金は(1人当たり)10ドルあまり(これに荷物の積込料が加算されます)。ところがドライバーは「貸し切るんだから高いだろう」と、300ドルという、ありえない金額を出してきました。そこで、こちらは、通常料金と乗車人数8人を掛け合わせ、「100ドルくらいでいけるはずだ」と切り返します。

「いやだめだ」、「これ以上はだめ」、「いやこちらもこれ以上はまけられん」という交渉が延々と続きます。周りにもどんどん人が集まり、「それは安い」「それは高すぎる」「日本人なんだから、もっと出せ」などと、勝手に加勢したり、ヤジを飛ばしたり。

こんなやりとりが3時間近くも続き、最終的には200ドルに落ち着いたのですが、交渉に時間がかかった結果、その日に出発することができなくなりました。

シエラレオネ

立ち往生の不安がいつも…
(C)Peace Winds Japan

出発は翌朝。これまで、コナクリから陸路でシエラレオネに入ったスタッフはいなかったため、フリータウンまでどれくらい時間がかかるのかも、検問や国境を無事に抜けられるのかかりませんでした。暗くなるまでに到着できるか、やきもちしながらのタクシーの旅は、以外にもスムーズで、約6時間後、フリータウンのPWJ事務所に到着しました。

シエラレオネ
シエラレオネ

写真左:ところが以外に道は快適(これもシエラレオネ国内)
写真右:シエラレオネの首都フリータウンに到着
(C)Peace Winds Japan

6時間タクシーに乗るための、タフな3時間の交渉。交渉次第で何でもできるというのはアフリカの強みかもしれませんが、そのたびにパワーを使うのは大変です。しかも、現地に詳しいものがいうには、「角免さん、もっと値切れたよ」…。アフリカの深さを感じたひと時でした。

報告:角免昌俊(シエラレオネ駐在)

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