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私たちの活動

人びとの健康を支える診療所を整備

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は2006年より南スーダン共和国ジョングレイ州で帰還民を対象とした水・衛生分野の支援を続けており、加えて今年は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して、アユッド郡に診療所と小学校の建設を行っています。
アユッド郡ジェッチは、アユッド市街から約50キロ北に位置する、人口約1万4千人の地域です。住民が受診できる医療施設は、風土病であるカラアザール病*患者向けに他NGOが2010年に設立した診療所1ヶ所のみですが、その診療所はトタン屋根で防水シートを使った仮設の建物で、医療施設に求められる衛生レベルを満たすにはほど遠い状態です。
カラアザール病の治療には17日間にわたって治療薬を接種する必要があり、遠方からの患者には入院施設が不可欠ですが、入院施設も劣悪な環境です。また、ジェッチには他に医療施設がないことから、同診療所はカラアザール病患者だけではなく、様々な病気の患者も訪れており、この地域の住民にとっては欠かすことができない重要な施設となっています。
1_支援開始前の診療所rs2_支援開始前の施術室rs
支援開始前の診療所
PWJは、こうした状況に鑑み、住民が安全かつ衛生的に医療を受けられるよう、同診療所に新棟を建設することにしました。
PWJが事業を行っているジョングレイ州の土壌は、「黒綿土」と呼ばれています。この黒綿土は、雨季になり雨が降るとたちまち粘り気のある泥となってしまい、車両の通行がほとんどできなくなってしまいます。
そのため、隣国ウガンダから調達した資材を運ぶ車両は、4月から徐々に降り始めた雨によってぬかるんだ道路で何日も立ち往生してしまいました。診療所建設は、まさに迫り来る雨季との戦いでした。
さらに、アユッド市街からジェッチまでの道も、雨による道路状況の悪化のために大型車両での資材運搬ができず、小型車両で何往復もしながら資材を運ぶことになるなど、資材到着が予定より大幅に遅れてしまいました。
3_泥濘にはまる資材運搬車両rs4_泥濘にはまった資材運搬車両救助風景rs
写真左:ぬかるみにはまった資材運搬車両、写真右:救助の様子
また、雨季になるとアユッド市街とジェッチ間の道路が寸断されてしまうため、建設の完了が遅れたらスタッフたちが戻って来れなくなるという事態に陥る危険もありました。
そこでスタッフは、資材到着の遅れを取り戻すため、昼夜を問わず、一丸となって建設作業に当たりました。こうした過酷な環境での作業でしたが、誰一人文句一つ言わずに完成までこぎつけられたのは、住民が直面している厳しい状況を少しでも改善できれば、というスタッフたちの強い想いと、建設作業中に周辺住民がスタッフにミルクを差し入れてくれるなどの気遣いという心の支えがあったことに他なりません。
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写真左:左官作業を監督するPWJスタッフ、写真右:住民からの牛乳の差し入れ
こうして、ジェッチの診療所は無事完成し、5月26日、アユッド郡郡長や酋長などの立会いの下、引渡し式を行いました。この引渡し式は、就任後、初めて同地域を訪問する郡長と住民たちが意思疎通を図る重要な機会ともなりました。
7_郡長訪問に感謝して牛を捧げる住民達rs8_現地酋長による謝辞rs
写真左:郡長訪問に感謝して牛を捧げる住民達、写真右:現地酋長による謝辞
9_完成したジェッチ診療所全景rs
完成したジェッチ診療所全景
PWJは、今後も、ジョングレイ州の人びとの生活改善に寄与していきたいと思います。
報告者:齊藤 大作(南スーダン駐在)
*通称、黒熱病。サシチョウバエに刺されることで感染し、感染後、数ヶ月から数年たってから、発熱、肝臓や脾臓の腫大、貧血といった症状が出て、放置すれば死に至る

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