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私たちの活動

【パキスタン】「せめてこの子に履かせる靴下を」困窮する被災地の家族

ピースウィンズは先月、モンスーンによる洪水の被害を受けたパキスタンにスタッフを派遣しました。
現地の人々との対話を通して、見えてきた被害の実情。
カメラマンによるレポートをお届けします。
 

 
どんなに頑張っても今の収入は1日200ルピー(120円)。
支援がなくなれば家族は困窮する。

 
洪水による甚大な被害を受けた、ダドゥ郡ザファルアバード村。
撮影のため村を回っていた最中に1人のお母さんに声をかけられました。
「チャイを作るから飲んで行きなさいな」というこの女性、8人の子どもを育てる大家族の母親でした。
 
「この家も被害を受けたんじゃないですか?」と聞くと、
「被害も何も、ようやく村に戻ってきた時、ここにはほとんど何も残っていなかったのよ。今あるこの家は新しく建て直したの。」
と衝撃の一言。確かに奥の建物はおそらく倒壊を免れたと思われますが、キッチンのあるスペースの壁はいかにもレンガを積み上げただけの簡素なもの。目地もなく、もたれかかれば倒れてしまいそうでした。
 

 
本来は家族で農家を営んでいたというこのご家族も、農地は未だ使用できる状態ではなく、そもそも種籾もないため直近の種まきの時季は既に逃してしまいました。
現金収入がゼロになった今、どうにか少しでも収入を作らなければと町からお菓子や日用品を仕入れてきて小さな商店を始めたそうです。家の奥には商品が無造作に置かれています。
 
しかし1日の売り上げはせいぜい200ルピー(120円程度)。11人で暮らすこの家族が十分に暮らしていくため「せめて1日1000ルピー、できれば1500ルピーは売りたいけど…」お母さんも無謀なことだと心の底では実感していますが、何もしなければただ困窮するだけです。
 
「今の私たちは支援がなくなれば生活できなくなる」
沈痛な表情で訴えるその顔が、今も頭を離れません。
 

 
日中30℃のパキスタンでも朝には息が白くなる。
「せめてこの子に履かせる靴下をもらえないか」

 

 
被災地には未だに多くのテントが立ち並び、家族がベッドを共有しながら肩を寄せ合い生活をしていました。テントの前で笑顔を見せているのはムスカンちゃん(6歳)とその弟です。ピースウィンズは彼らの家族にも食料、衛生用品、蚊帳などの支援を実施しました。衛生用品を入れて渡した手提げは、品質が良いからと今でも大事なものを入れておいたり、どこか行く時に使ったりしているのだそうです。
 

 
一見暑そうに見えるパキスタン、しかし聞いてみると「朝晩はとっても寒いの」と子どもたちは口を揃えます。この季節、日中は30度近くまで気温は上がりますが、実は朝晩5度前後まで下がることも珍しくないそうで、朝には息が白くなります。テント生活に被災者の方々は大きなストレスを抱えていました。
「洪水で服も布団も流されてしまった。せめてこの子に履かす靴下をもらえませんか」と必死に私に詰め寄る母親もいました。
 

 
既に降り始めて半年近く経過した洪水被害。しかし現場ではまるで発災数日後のようなニーズが今もなお続いていました。決して地元行政や現地団体、国際社会が動いていないわけではありません。被害の範囲と被災者の数がはるかにそれを上回っているのです。
 
引き続きピースウィンズは、パキスタン洪水の被害に遭われた人びとを支援していきます。
みなさまのあたたかいご支援が力になります。ご協力どうぞよろしくお願いいたします。
 
 

日本人スタッフが現場から解説 「通常ではない」支援の状況とは

 

 

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