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私たちの活動

【ケニア】キャンプ内での難民の人々の仕事について

今年4月17日から封切された映画「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」という映画を皆さんはご存知でしょうか?この映画は、南スーダンとの国境近くにあるケニア北西部の「カクマ難民キャンプ」へ辿り着いたスーダン(※)の兄弟姉妹が、移住したアメリカで多くの試練を受けながら第二の人生を送る物語です。この映画の舞台となったカクマ難民キャンプは1992年に設立されました。2013年12月に発生した南スーダンの内紛により、新たに4万人以上の人々がカクマキャンプへ逃れて来たため、現在では南スーダンとソマリアからの難民を中心に約18万人が暮らしています。

南スーダン
カクマキャンプ

キャンプ内では、難民の人々がいろいろな仕事で我々のようなNGOの活動を手伝ってくれていますが、その中でも重要な仕事として通訳の仕事があります。キャンプへ辿り着く人々はさまざまな事情によって、いろいろな国々から流れ着き、話す言葉は同じ国の出身でも部族によって違うこともあるため、通訳は数多くの言語に対応できなければいけません。南スーダン人難民の通訳を勤めている男性ダニエルは、11年前にキャンプに到着しました。現在の年齢は20代前半というところでしょうか。キャンプ内の学校を卒業後、平日は通訳として国連事務所で勤務し、土曜日はキャンプ内の学校で先生として働いています。

南スーダン
カクマキャンプを視察するPWJ職員と案内する通訳スタッフ

2013年12月に発生した南スーダンの紛争は、国内を二分するヌエル族とディンカ族の対立によるもので、大統領は南スーダン最大の民族ディンカ族の出身、前副大統領は2番目に大きいヌエル族の出身でした。 この2人の対立が民族間への戦闘へと発展していき、その結果、多くの難民が流出し、その一部の人々がカクマキャンプに流れ着いたのです。
通訳のダニエルは、ディンカ族の出身です。難民キャンプで通訳を必要とする人は彼と同じディンカ族の人ばかりではありません。時には、対立しているヌエル族の人々の通訳を頼まれることもあります。そのような時、「仕事だから『通訳をしてほしい』と言われれば僕は精いっぱいやる」という思いになるそうです。私は彼の返事を予想していましたが、彼の心の中に残る複雑な気持ちが顔に出た一瞬を見逃すことはできませんでした。私が彼の立場だったらどう思うのだろうか。おそらく私も彼と同じように「仕事」と割り切って通訳をすると思いますが、民族対立という心の中のわだかまりはなかなか消えるものではないと思います。
映画「グッド・ライ」のように新天地で第二の人生を歩むことができる難民はごくわずかです。 命からがら祖国から逃げてこなければいけなかった事情はさまざまですが、知らない国の難民キャンプで少しでも落ち着いた生活ができるよう、ピースウインズ・ジャパンは今年中に380軒の簡易住宅を建設し、2013年12月以降にカクマ難民キャンプへ辿り着いた南スーダン難民の人々に住居を提供していく予定です。

南スーダン
簡易住宅の建設の様子

(※)この映画では、スーダンが南北に分断される前の1983年以降の設定になっています。
報告:谷本明美 (カクマキャンプ駐在員)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成や、皆さまのご寄付で実施しています。

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