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私たちの活動

【ケニア】野外排泄の習慣に挑む~行動を変える体験型衛生改善~【後半】

場が温まったところで、「トリガリング」の重要なセッションを実施していきます。まず、セッション①
で実施するのは、村の地図を地面に作る作業です。木の棒や石で地図を描き、保健衛生に関わるもの(学校、クリニック、給水施設の場所、川、森林、自分たちの家、トイレ、トイレのない人たちは、どこでトイレをしているか)を、住民みんなで色と絵で示していきます。これにより、住民は、村の保健衛生に関する施設がいかに不足しているか、またどれだけ外で排せつをしている人が多いかを、自ら自覚するようになります。


住民で村の地図を作る

セッション②では、住民たちに作成してもらった地図をもとに、実際に人々が野外排泄をしている場所へ行き、住民と一緒に排泄物を探します。そして、いくつかの排泄物を「トリガリング」会場まで持っていき、住民に実物を見せます。反応は様々ですが、その匂いに嫌悪感を示したり、恥ずかしさからクスクス笑ったり、場合によっては、吐いてしまう住民もいます。排泄物は村の至るところに散乱しているため、この反応は、私にはとても意外でした。排泄物を目の当たりにした住民の反応で、どれだけ住民が、いかに今まで無意識に野外排泄をしていたかが理解できます。


村の中にあった排泄物を拾う様子。これを住民に見せます

セッション③では、購入したばかりの食パンとボトルに入ったミネラルウォーターを、住民の有志に、一口食べ、飲んでもらいます。次に、その食べかけを、セッション②で持ってきた排泄物の隣に置きます。そして最後に、住民にそれを食べるかどうかを聞きます。すると、食パンとミネラルウォーターは排泄物に直接触れていないにもかかわらず、住民は決して食べようとしません。なぜかと聞くと、「排泄物に留まっているハエなどが、横に置いてある食べ物や飲み物にも留まっている。ハエが留まった食べ物や飲み物は汚染されているため、病気になる」からだそうです。ここで、住民は知識としては野外排泄がもたらす被害は知っていたが、いかに日常生活では無頓着になっていたかを、実感します。


どこからともなくハエがやってきて、排泄物とパンに交互に留まります

そして、セッション④では、野外排泄に帰するコレラなどの病気になると、どのくらいの医療費がかかるのか、みんなで診療代や交通費、薬代を計算します。これを予防するだけで、どれだけ家計が助かるかということから、衛生改善が彼らの生活にもたらすメリットを住民たちは認識し始めます。


みんなで診療代や交通費、薬代を計算します

以上のセッションを通して、住民たちは自分たちの暮らす村の衛生状況を把握、野外排せつが引き起こす病気のリスクを実感し、そして心から「何とかしゃなきゃ」と思うようになっていきます。実は、従来の衛生改善の活動は、口頭での話とポスターなどの絵を使って行うことがよくありましたが、それだけではメッセージが一方通行となり、衛生改善の必要性が「実感」されないまま終わりになることも多いのが課題でした。対して、これらのセッションでは、野外排せつがもたらす問題を、住民自らが、五感のすべてを使って体験し、「実感」することが出来ます。実際に、このセッションが終わるころには、住民たちから「トイレを自分たちで増やそう!」という声が上がり始め、数か月経つ現在、住民たちの自助努力により、徐々にですが村に3つしかなかったトイレが増え、人々の野外排せつが減りつつあります。


トリガリングのまとめのセッション。衛生改善の方法について議論しています

これからもPWJは、難民と地元住民の住むカロベエイ地域において、野外排せつに起因する病気を少しでも減らすため、衛生環境の改善のために、住民たちの自助努力を大切にしながら、支援を行っていきます、皆さまからの益々のご支援をどうぞ宜しくお願いいたします。

※本事業は、ジャパン・プラットフォーム、UNHCRからの助成金や、皆さまのご寄付により実施しています。

在カクマ事業調整員 原口珠代

 
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