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私たちの活動

【エチオピア調査】干ばつと洪水の二重苦の中で

アフリカ事業担当の河合です。先日、気候変動により現在、干ばつや洪水による大きな被害を受けているアフリカの国、エチオピアへ調査に行ってきました。
2015年、エルニーニョ現象という異常気象が発生し、世界各地で洪水や干ばつによる被害が相次ぎました。エチオピアでも、2015年は通常2度ある雨季に雨がふらなかったことで干ばつ被害が広がった一方、2016年は豪雨による洪水が発生するなど、地域によってはその両方の影響を受け、1,020万人もの人々が緊急な食糧配給を必要としている深刻な状況です。私たちが訪問したオロミア州は干ばつと洪水の影響を最も受けた地域の一つで、各地で食糧配給が行われていました。

エチオピア
国連からの食糧配給を受ける女性

訪問地の一つである同州ミネツル村では、村の中を流れるミネ川沿いにコーヒー豆やマンゴーなど、多様な食物が栽培されていました。しかし、今年4月、豪雨によって川が氾濫し、川幅が15mから300mまで広がり、周囲の民家と畑、水汲み場が流されてしまいました。川沿いに住んでいた農家のトフィックさんは、この洪水で家と畑を失った一人です。「私の家と畑は4月の洪水で流されてしまいました。幸いにも地元の組合に新しい家を建ててもらいましたが、畑が流されたため、収入がゼロになってしまいました。現在は配給される食糧で生活しています」と話します。

エチオピア
トフィックさん(左)と子供たち

村に中にあった水汲み場も洪水で壊れてしまったため、近所の人々は不衛生な川の水を生活用水として使用しています。川の水を汲みに来ている大人や子供を何度も見ましたが、衛生知識が十分に浸透していないため、そのまま飲んでしまう子供もおり、トフィックさんの子供を含む、実に多くの人が感染症にかかった経験があるそうです。この国の3分の1の国民が一日の所得が1.9ドル(約200円)以下の貧困層であるのに対して、村の病院に行くと、なんと2,500円もかかるそうです。収入が途絶える中、更に生活が一層苦しくなっていく貧困の構造ができていることを感じました。

エチオピア
川へ水を汲みに来た姉妹。不衛生な水が生活水となっている

翌日訪れたチョレ村でも、水に関する問題を抱えていました。この2年間の雨量の減少とそれに付随する生活用水の減少のため、人々は毎日遠くまで歩いて水汲みに行かなければなりません。それも決して衛生的ではない水です。村長によると、この地域だけでも下痢により3人の子供が命を落としたとのことです。村に住むアベベさんは、「水が足りないため、私は毎日約4キロ先の川まで水を汲みに行き、重い水を背負って帰らなければなりません。水もきれいではないので感染症が心配です」と言います。

エチオピア
チョレ村に住むアベベさん

2週間の調査を終え、エチオピアには短期的な緊急支援だけでなく、災害に備えるインフラ整備など多くの支援ニーズがあると感じました。ピースウィンズ・ジャパンは現在、流された水汲み場などのインフラ整備事業などを検討していますが、長期的な視点で地域の防災力を高める事業にも取り組みたいと感じました。
報告:河合裕司(アフリカ事業担当)
※この事業は、平成28年度国際開発協力関係民間公益団体補助金(NGO事業補助金)や、皆さまのご寄付で実施しています。

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