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私たちの活動

相馬の伝統行事、「野馬追」を盛り上げて地域再生を

この10月20日、福島県南相馬市原町区で開催される相馬野馬追振興秋季競馬大会に、かつて競馬場を駆け抜けていた馬が、新たな飼い主とともに出場します。「馬は家族」と飼い主のだれもが口にする土地柄。そこから、伝統の相馬野馬追(そうまのまおい)はじめ、馬にまつわる行事を盛り上げ、震災と原発事故で揺れる地域の再興につなげようという支援が生まれました。

2013年野馬追の様子 相馬野馬追振興秋季競馬大会
2013年野馬追の様子(写真は平岡氏提供)

今回の秋季競馬に出場を予定しているのは、相馬市今田=宇多郷騎馬会=の鈴木栄治さん(62歳)と愛馬マウントカイドウ。マウントカイドウはかつて兵庫県の園田競馬場で活躍していました。
相馬野馬追振興秋季競馬大会
相馬野馬追は、浜通り北部(旧相馬氏領。藩政下では中村藩)の相馬中村神社、相馬太田神社、相馬小高神社の三妙見神社に仕える騎馬武者が参加して行われる伝統行事ですが、震災により出馬頭数は例年の5分の1までに激減しました。地震、津波の被害や、放射能による居住制限が大きく影響し、この地域で飼われていた馬の頭数も激減しました。こうした事情に加え、競走馬生活を終えた馬の行き先について相談を受けたこともあり、地域再興への貢献ならびに動物愛護の観点から、ピースウィンズ・ジャパンは2013年7月、引退した競争馬を、希望する住民に無償で貸与する取り組みを開始しました。
元々は自分の馬で相馬野馬追に参加することが「誇り」だったものの、近年は借りた馬で出場する人も増え、「行事の雰囲気に萎縮する馬もいるし、借りた馬だと乗りこなすのは難しい」と鈴木さんらはいいます。新たに飼い主となったのは、鈴木さんはじめ6人。いずれも飼養経験があり、家の近くに厩舎がありますが、鈴木さんは「この馬のために」と厩舎を新設しました。
南相馬市原町区=中ノ郷騎馬会=の平岡英林さん(49歳)は、震災で経営していた飲食店が半壊。本年11月にやっと店を再建予定です。厳しい状況のなか、「馬がいると生活に張りが出る。やり直そうという気になる」と愛馬ルーツオブゴールドとの生活に喜びをかみしめています。
相馬野馬追振興秋季競馬大会
平岡さんとルーツオブゴールド。知人宅にある厩舎に毎週通って馬の世話をしています。

訓練が間に合った人たちは、7月27日~29日の相馬野馬追に早々に参加。神旗争奪戦などで好成績を収めました。鈴木さんは今年の参加は見送り、来年を照準に、今回の秋季競馬で“デビュー”を飾ります。
ピースウィンズ・ジャパンは、被災したコミュニティの再生に向け、今後も多様な支援に取り組んでいきます。
▼関連リンク
東北(東日本大震災支援)のこれまでの活動報告

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