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私たちの活動

【3回連続ルポ】小さな命の危機 原発被災犬の保護事業(2/3)

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、被災者ならびに被災犬の生活の回復に向けた対策をパートナー団体・NPO法人ジャパンドッグスタンダード (JDS)を通じて実施しています。
3回連続ルポとして、パートナー団体JDS理事長 岸さんによる活動の進捗状況を報告しています。
▼過去のレポートはこちらから

3.11 被災犬に安全な住環境を

そのような状況の中、今度は累積放射線量の増加に伴う「計画的避難地域」という区画が制定され、福島県飯舘村を中心とした地域で現居住区外へ無期限で退避しなければならないという事態となりました。
警戒区域内に取り残された犬たちの悲惨な現状を見続けてきたJDSスタッフには、「避難住民の受け入れ先でペットの受け入れ態勢を整えるということが十分に出来ないことは明白、しいてはまたあの悲惨な状況を繰り返して、拡大することになる」という懸念が拡がりました。
早速現地でのヒアリングを行い、情報を集めてみると、やはり「自分たちは避難できても避難先へは犬は連れていけない」「ペットの行き先が決まらないと自分たちが避難出来ない」など、当初の我々の懸念が的中した形の回答が多数寄せられました。
そこで飯舘村役場に出向き、「住民の方の避難に際してペットの保護・管理活動で協力したい」と申し出たところ、「今のところは岐阜の施設で受け入れをすることになっているのでご心配には及びません」との回答がありました。

ドッグビオ那須高原の設立

しかしながら、今まで福島各地で保護情報を集めていた私たちには、飯館村の犬の飼育頭数だけでも数百頭は存在するであろうということは容易に想像がつきました。
私たちの経験上、その頭数を一箇所に集結させて管理の徹底が出来ているといった保護施設は目にしたことがなく、犬の健康を維持する上では伝染病の蔓延に対する配慮等を考えると非常なリスクと困難が伴うことは明白でした。
また岐阜の地はここからあまりにも遠く、「自分のペットの行方を見守りたい」という気持ちが避難民の方々にあり、愛犬を託して避難するという決断がつかない住民が多数いるであろうことは、発災当初から活動をしてきた私たちにとっては容易に想像がつきました。
自分たちが助けられる犬と飼い主が必ずいるはずだ。こうなったら犬の保護施設(シェルター)をこの福島の地から極力近い地域に先に作ってしまって「いつでも受け入れますよ」という姿勢で待ち構えるしか、計画的避難地域の犬の保護をして地域住民の避難を促進する方法はない、と決断しました。
当時は原発被害がどこまで拡がるのか想像がつきにくかったため、「せっかく避難して再避難を余儀なくされる地域では困る」ということと、「避難住民が預かった犬たちに会いにこられるように」との配慮、私たちの活動拠点が首都圏であるとの地理的条件等から、福島との中間地点にあたる栃木県内、特に東北自動車道沿線地域が良いと判断しました。
またどのくらいの被災犬が発生するのかのはっきりとした目処もつかなかったため、最大100頭程度の犬の飼育管理を行なっても近隣住民とのトラブルにならないことや、多頭数の健康管理が徹底できる等を条件に立地の選定を行い、栃木県那須塩原市戸田にある「わんわんガーデン跡地」に2011年5月下旬「ドッグビオ那須高原」を設置しました。
シェルターの最大のテーマは入所犬の「安全・安心・快適」です。
「ドッグビオ」の名前は「広く犬と人との共生を考える」というテーマから名付けました。
動物取り扱い業に長く従事して、蓄積した経験が最大限に生きた場面でした。

dogbio.jpg

ドッグビオ那須高原
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