【 連携事例紹介 】
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ピースウィンズでは、西アフリカのブルキナファソにおける肝炎対策として、現在、①検査機器を現地の国立研究所に寄贈し、現地NGO・患者団体の運営する肝炎治療センターなどで活用してもらえるよう整備すること、②現地に医師らを派遣してニーズ調査を行うことに取り組んでいます。
その先には、現地ニーズ調査をふまえて、現地のNGOや行政などとも協力しながら、2030年までに国連SDGs・WHOが目標とするウイルス性肝炎の「排除(エリミネーション)」にむけた、様々な対策の支援に取り組みたいと考えています。
その準備の一環として、先日、臨床検査薬の研究・開発にとりくむ日本の企業を訪問し、お話をうかがいました。お邪魔したのは、創業以来70年以上、臨床検査を中心にヘルスケア事業に取り組んでこられた富士レビオ株式会社(本社・東京都)です。同じH.U.グループの株式会社エスアールエルなどとともに、臨床検査の分野等で医療を支えている、日本を代表する企業のひとつです。
現在のアフリカ諸国において、B型肝炎ウイルスの最大の感染経路の一つが「母子感染」(出産時のお母さんから子どもへの感染)です。この感染を防ぐには、妊婦健診などにより、ウイルスの量が多く、子どもに感染させてしまう可能性の強い妊婦さんを見つけ、ご本人には治療を受けてもらい、ウイルス量を減らすとともに、生まれた直後の赤ちゃんにはワクチンを接種することが必要です。
富士レビオ株式会社では、熊本大学、パスツール研究所とともに、この母子感染防止に役立つ簡易検査キット「B型肝炎コア関連抗原の簡易検査キット」の研究・開発を行っています。
ピースウィンズの肝炎事業のアドバイザーを務めていただいている島川祐輔医師も、共同研究者の一人です。この日は、富士レビオ株式会社様の本社にて、島川先生にも同席いただき、研究開発本部の皆様から、実際に「簡易検査キット」も使わせていただいて、詳しいご説明をいただきました。
特に難しい操作は必要なく、新型コロナウイルスの抗原検査キットのような比較的簡単な作業で、30分ほどで、治療の必要性が分かります。PCRのような高価な検査機器は不要ですし、電気すら使わないため、ブルキナファソの農村などでも、検査を行ったその場で、すぐに、妊婦さんに結果を伝えることができます。今後の肝炎対策支援事業の展開において大変有効なツールになる可能性があります。お話をうかがって、大変、心強く感じました。
日本には、長く「国民病」と言われた肝炎とたたかってきた歴史があり、様々な経験や技術があります。医療界、患者・当事者団体、行政、企業、NGOなど、それぞれの得意分野をいかしながら、“オールジャパン”の取り組みで、アフリカをはじめ途上国における肝炎対策の前進に、貢献していきたいと考えています。
アフリカにおける肝炎対策支援のためのクラウドファンディングを実施しています。ぜひご協力をよろしくお願いいたします。