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ウガンダの現地活動ルポ

ウガンダの現地活動ルポ

【ウガンダ】特別な支援を必要とする人たち

2017.10.22

お年寄りや障がい者、妊婦さん、親とはぐれた子どもたち、シングルマザー。南スーダンからウガンダに逃げてきた難民たちの中でも、このような身体および身体能力、健康、家族構成などにより特別な支援が必要な人たちがいます。

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が活動するウガンダ・ビディビディ難民居住地区の難民は、国連UNHCRから提供された資材を使って、自分たちで家を建てます。当初はビニールシートと木を組み立てただけの小屋ばかりでしたが、最近は土ブロック壁に草ぶきの屋根の家が見られるようになりました。また彼らはトイレも敷地内に作りますが、冒頭のような、自力で家やトイレを建てることができない人たちもいます。

彼らを、「Persons with Special Needs(PSN):特別な支援を必要とする人たち」と位置づけています。

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【写真説明】ポリオで足が不自由になった男性/80代の女性

難民居住地区は厳しい環境です。地面は起伏が激しく、岩や石がごろごろしています。実際、ポリオで左足が不自由になった30代の男性は避難直後、「トイレに行く途中につまずき、足に大怪我を負った。杖があっても歩くのが怖い」と話していました。また、15歳の孫と逃げてきたという80代の女性のテント内をのぞかせてもらうと、3畳ほどのスペースに薄いシートが敷かれているだけ。コンクリートのような硬さです。「眠れますか」と尋ねると、足や腰を押さえながら、「体中が痛くて自由に動けない」と顔をゆがめていました。PWJは2017年2月から、こうした難民の中でもより弱い立場の人たちにトイレを個別で建てる事業にも取り組み、これまで約600基が完成しました。建設作業には難民を雇用しています。このトイレの建設には1基35000円ほどかかりますが、PWJが支援に関わる地区では計約3000基を必要としています。

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【写真説明】完成したPSNトイレ/製作段階のトイレの床板(スラブ)

一方、「PSN」とみなされなかった世帯との不公平感が生まれないよう、気遣いも必要です。私たちの選定基準の中には「お年寄りと障がい者を優先すること」とありますが、かといって、お役所的な対応では現実から遠ざかってしまいます。

実は、こんなことがありました。60歳以上のおじいさんとおばあさんが住んでいる世帯を訪問した時のこと。基準としては「お年寄り世帯」になりますが、おじいさんはとても元気で、家の周囲は雨水が入って来ないよう石が積まれ、きれいに補強されていました。「昔は家を建てる仕事をしていたからね、このくらい朝飯前だよ」と自慢げでした。一方、HIVに感染し寝たきりになっている女性は、優先される基準には入りませんが、医療支援も受けておらず、トイレを作るどころか日々の生活もひとりでは非常に難しい状態です。更に、難民の8割以上は女性と子どもなので、シングルマザー世帯というのは珍しくなく、むしろ大多数です。小さな子どもを何人も抱えた女性がトイレを自分で建てるということはとても大変なことです。すべてのPSN世帯を支援できれば良いのですが、予算も限られており、難しい判断に迫られることがしばしばあります。

ともに事業に取り組む現地スタッフのアレックス(下写真の右端)は、自身も脚に軽い障がいがあり、特に熱意をもって取り組んでいます。「この人よりもあの人の方が支援に値する、なんてことを、私たちに決める権利はありません。それでも、限られたリソースを、より支援を必要としている人に届けることが私たちの仕事です。そのためには、一軒一軒訪問し、生活されている様子を見て、難民の方のお話をじっくり聞く以外にありません」と話しています。時間はかかりますが、一人ひとりの声にしっかりと耳を傾け、ケースバイケースで柔軟に対応していくことが求められています。

ウガンダの難民居住地区でニーズ調査をするPWJスタッフたち

ウガンダ事業駐在員 竹中奈津子

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