ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害、貧困などの脅威にさらされている人びとに対して海外国内問わず支援活動を行うNGOです。

特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパン
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シリアの現地活動ルポ

シリアの現地活動ルポ

「ありがとう、シリアを忘れないでくれて」危機から8年 現地では支援が不足しています

2018.6.27

NGOで働いていると「なぜ国際協力の道を選んだの?」と聞かれることがあります。その質問に対して私は、幼い頃にテレビで見た故ダイアナ妃の存在が大きかったと答えています。一国を代表する身分でありながら地雷廃絶のため実際に現場に足を運び、被害者に勇気と希望を与える彼女の姿を見て、「いつか自分も現地で人々を支えられる存在になりたい」と感じていました。

そう決意した私が、初めて途上国を訪れたのは大学生の頃です。社会調査を目的にシリアに渡航した私は、現地の人々と様々な形で交流することで、将来への不安、自由への渇望、民族どうしの格差から感じる悲しみや怒りを抱えつつ、それでも優しく希望をもって生きる姿に、胸が締め付けられたのを覚えています。学生だった私は、現場で働くことで人々に寄り添い、共に痛みを感じ、生きる希望を探す力になりたいという思いをより一層強くしました。

シリア難民家族を訪問する筆者
シリア難民家族を訪問する筆者

 

国際協力の現場で働きたいという志のもと、アフリカなど様々な現場で活動していた私に1つの転機が訪れました。それは2011年3月に勃発したシリア危機です。私は学生ボランティアとして、ヨルダンにいるシリア難民の家庭や負傷者のケアセンターを訪問する機会を得ました。悲惨な状況を想定していた私の考えとは裏腹に、そこで出会った人々はどんなに過酷な状況でも、危機の前に訪れたときと変わらず、互いに思いやりを忘れず助け合っていました。そんなシリアの人々の姿を見て、今度は自分がシリアの人々の力になりたいと決意し、中東で支援を行うPWJへの就職を希望しました。

そして今年、シリア危機が勃発してから8年目を迎えました。国連によると、シリアでは今なお1,310万人が人道的支援を必要とし、うち560万人は複数回におよぶ避難、戦闘、基礎サービスや物資の不足により、特に困窮した状況に置かれています。

現地では空爆やミサイル砲撃による戦闘が日常化し、人々は恐怖と不安を感じながら、生活を送っています。戦闘に巻き込まれて負傷する人、命を落とす人も日々絶えず、そうした悲しみや苦しみは連鎖的に人々の心を蝕んでいます。7年間にも及ぶ戦闘に多くの住民は疲弊し、変わり果てた故郷の姿、失った家族や友人の存在、先の見えない避難生活に、絶望と悲しみ、葛藤を抱えているのが今のシリアです。そしてそのような状況だからこそ、かつて自分たちが穏やかに暮らした故郷の地に帰ることを望む人々は年々増えています。

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「砲撃に巻き込まれて、足を失った。病院では治療することができず、痛みを耐えるほかなかった。足を失ったことで、職を失い、家族に頼らざるを得ず、私の人生は壊された。」

これはPWJの支援を受けた、ある青年の言葉です。彼は松葉杖をつきながら、懸命に訴えかけていました。この男性のように、戦闘に巻き込まれ負傷し、障がい者としての生活をおくる人々は、少なくありません。

PWJは現地の提携団体と協力し、2017年1月からシリア国内で4つの支援をおこなっています。日々の食べ物や飲み物にさえ困っている避難民と帰還民への食糧配布と給水支援では、これまで14,830世帯を支援しました。また冬には気温が氷点下まで下がるシリアで、冬を越すために1,850世帯の子どもに冬服を配布しました。そして今年の春からは、個別住居の修繕支援をはじめました。食べ物や飲み物のみならず住む場所を提供することで、安心して生活できるよう努めています。

給水支援を行う提携団体スタッフ支援物資を持ち帰る様子(写真左)給水支援を行う提携団体スタッフ (写真右)支援物資を持ち帰る様子

食糧と冬服の配布支援では、地域の人々にも協力してもらうことで、裨益者の自尊心向上や、避難先地域の住民との関係改善にも役立ったことを、人々の声から感じることができました。

「自分たちも支援を届ける側になれて、嬉しい。」
「冬服を届けてくれてありがとう。これで堂々と歩くことができます。いままで貧しい姿で恥ずかしかったから。」

国が違っても、そこに住む人々は私たちと同じひとりひとりの人間です。ひとりひとりの声に耳を傾け続け、寄り添った支援こそ、人々に生きる希望を与えると強く思います。

「ありがとう、シリアを忘れないでくれて。」

提携団体スタッフから、繰り返し言われた言葉です。この言葉に、私自身、何度も救われ励まされてきました。戦闘で日常を奪われ続けている人々は、国際社会から自分たちの存在が忘れ去られてしまうかもしれない、という恐怖とも闘わなくてはなりません。日頃から関心を持つこと、そこに住むひとりひとりに思いを馳せることこそ、難しくも最も影響力のある支援ではないかと感じています。

PWJは中東、アフリカ、アジア、日本など計15ヵ国で活動をしています。日頃ご支援をいただいている皆様には重ねてのお願いとなりますが、引き続き、活動にお力添えいただけますようお願い申し上げます。

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