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人道支援のプロフェッショナルとして ~安全管理研修の受講~

 人道支援NGOという言葉から、どのような世界を想像しますか。紛争地域から逃れてきた難民の救援活動に従事するNGO職員の男性が描かれた『すべては愛の為に(邦題)』という映画をご存知でしょうか。また、『風に立つライオン』も南スーダンの内戦から逃れ負傷した人々への医療支援を描いた映画でした。そこで描かれる緊急人道支援の現場は大変過酷な環境です。上記作品に描かれているように、紛争影響下の人道支援というと、危険を顧みないイメージを持たれている方もいるかもしれません。
 映画などでは人道支援要員は武装勢力に捕まったり、命の危機にさらされますが、現実は大きく違います。多くの人道支援要員は、日々治安や社会情勢に関する情報を集め、事件や事故に巻き込まれないようにしています。事件や事故の結果、活動に支障が出て困るのは、とりもなおさず、現地の方たちだからです。安全管理対策を万全に行うことは、人道支援をプロフェッショナルとして行う者の責務です。今回は、そんな私たちが安全管理対策の一環として受けるセキュリティ研修をご紹介します。
 昨年11月、南スーダンの首都ジュバで、現地スタッフのアムレが、国際連合安全保安局および国際連合南スーダン派遣団が主催する3日間のセキュリティ研修を受講しました。内容は、まずは座学にて、国連のセキュリティ対策(実際に有事がおこった際どのような伝達網をとるか、連絡がつかない場合の緊急の判断は?などの説明)を基礎として学びます。次に、争いに巻き込まれないようにするため、南スーダン特有の社会慣習について学び、そして地雷・不発弾・即席爆発装置の特徴について理解を深めます。更には、実践的なものとして、無線機の使い方およびコミュニケーション方法、心肺停止の人への応急処置方法、万が一人質に取られた際の連絡手法や心構えを学びます。そして最後の一日は、これら座学で学んだことを総括すべく、シナリオを使用した模擬訓練を行います。そこでは、人道支援者として危害を与えるものに対応する力、そして時には交渉力も試されます。こうした模擬訓練を受けることで、座学で学んだことが何倍にもなって身に着くわけです。研修を終えて帰ってきたばかりのアムレは、「実に論理的で実用的な、我々にとって大変重要なプログラムでした。実際に、人質や危険な目にあった場合はどのような心持でいればよいのかを知るよい機会になりました。」と興奮交じり語ってくれました。

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国連主催のセキュリティ研修に参加したアムレ。チームメンバーに対し、タイヤがパンクした際の、交換の仕方を実演しながら説明している様子

 私たちはこうした安全管理研修を必ず受講します。実際に危険な目にあった時の対処方法も重要ですが、まずはなによりも、そうした状況に遭遇しないことが重要です。南スーダンチームはウガンダの首都カンパラに駐在する日本人スタッフと南スーダンに駐在する外国人スタッフで構成されていますが、現場に入っているチームと会議を行うたびに、活動地である首都ジュバの治安状況を確認し、また有事の際の連絡手段、退避経路を確認します。様々な必要とされる手段を取りながら、そこに支援を必要としている人たちがいる限り、私たちは活動を続けるのです。

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