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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

Emergency

緊急支援情報

2020.4.22

【新型コロナウイルス】東大病院に抗体検査器を寄贈。“偽陰性”を減らす確実な診断と“免疫パスポート”の確立に向けて

緊急支援情報

「抗体検査法の拡充に総力をあげて取り組む」—児玉龍彦医師

「ARROWS(アローズ)」は、新型コロナウイルス感染症診断における抗体検査に取り組む、東京大学医学部附属病院(以下東大病院、瀬戸泰之院長)に、抗体検査器と測定試薬一式を寄贈します。この寄贈にかかる費用全額1,000万円は、一般財団法人村上財団(本部:東京都渋谷区、創設者:村上世彰、代表理事:村上絢)による寄付により賄われました。

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)のなか、欧米では、感染からすでに回復しウイルスの免疫をもつ人を把握する目的で、「抗体検査」の実施が始まっています。コロナウイルスは軽症者も多く、気づかぬうちに抗体をもっている人が多数いるとされますが、こうした人を医学的に絞り込むことができれば、極端な外出規制の解除を判断する決め手にもなり、ひいては経済や医療現場の状況改善につながる可能性もあります。

日本でも「抗体検査法」の拡充が喫緊の課題となるなか、このたび村上財団の支援により寄贈する抗体検査器を通じて、多数の抗体検査が、比較的正確の定量性を持って可能となることが期待されます。新型コロナウイルスに対する2つの抗体(IgM、IgG)を、CLIA法(化学発光免疫測定法)を用いて検査することで、血液内の抗体量を精密に定量できます。日本の代表的臨床研究病院である東大病院検査部(部長矢冨裕)およびゲノム科学の研究機関である東大先端研がん・代謝プロジェクト(PL 児玉龍彦)が、協力して以下2点の研究を目指します。

1)PCRとIgM型抗体検査を合わせ、“偽陰性”を減らすことが可能かのデータを集める。
2)コロナウイルスIgG型抗体検査が高い値を示す患者のフォローを通じて、“免疫パスポート”と呼ばれる感染の早期終結、再感染率の低下が期待できるか検討する。


「iFlash 3000 :Chemiluminescence Immunoassay Analyzer」
(機器・試薬販売元 株式会社医学生物学研究所MBL)

東大病院では現在、緊急事態宣言のなかで制約を受けつつ急激に広がる感染対応に全力を尽くして医療に取り組んでおりますが、緊迫した状況が続きます。そこで、村上財団のご支援を受けて、今回の寄贈に至りました。なお、本検査は、医療に関する法律に定められた認可検査ではありません。大学内では「臨床研究」とされています。そこで臨床で、コロナウイルス と向き合っておられる実際の患者さんと医療従事者で測定し、それがどのような意味を持つのか、明らかにしようというまず第一歩を開始します。その結果を迅速に社会に還元していきたいと考えます。

◆検査器「iFlash 3000」について
本研究では、定性的でなく、定量的に多数の血液サンプルを検査できる機械が必須です。この目的に、中国、ヨーロッパで我が国のJSRライフサイエンス株式会社が開発した化学発光ビーズを用いた、安全な多数自動検査測定器が開発され、IgGおよびIgMの定量的測定が可能となっています。それを東大病院に設置し、先端研と共同で臨床応用の研究を行います。

-東京大学先端科学研究センター 児玉龍彦名誉教授からのメッセージ-
今回の抗体検査は、遺伝子の検出に依存するPCR診断法に加えて、ウイルスを認識するIgM抗体の検査から、診断法をより正確にし、潜んでいるウイルスを捕まえる方法を確立するものです。同時にウイルスを認識するIgG抗体濃度を測定し、それが高い人は、再感染する可能性が低いと予測されています。安全性を示す定量的な判断基準がないことは、特に医療従事者や外出制限のなかで働く人にとって大きな問題となっていますが、今回寄贈いただいた機器による定量性の高いアッセイ(分析・評価)を基にした検討が、安全性を示す定量的な判定基準を与えれば、大きな貢献になることが期待されます。

-村上財団創設者 村上世彰からのメッセージ-
このたび、東京大学の児玉龍彦先生より、抗体検査に関する機器購入支援のご依頼をいただき、欧米で開始が検討されているとのニュースを見ながら、「日本にも、絶対に、そしてすぐに必要だ」と強く感じていたため、新型コロナウイルス感染拡大の緊急支援で協働するピースウィンズ・ジャパンのARROWSを通じての支援を決めました。抗体検査に対しては様々な意見がありますが、こうした検査の実施による行動制限の緩和や、そのデータの分析が、世界が今後も新型コロナウイルスと向き合っていく中で、大きな助けになると信じています。日々、現場で戦う医療従事者をはじめとする関係者の皆様にとっても、こうした検査が、心理的・物理的な負担の軽減につながりますことを、心より願います。

-ARROWSリーダー 稲葉基高医師からのメッセージ-
「闘う相手の正体がわからない」 これが臨床の現場で対応する人間にとって最も恐ろしいことです。大規模な抗体検査が可能になれば我々が対峙しているウイルスの真の姿が見えてきます。
すでに中国や米国の企業などから抗体検査の迅速測定キットが提供されていますが、抗体測定の精度や有用性を実証するには、まだ道半ばの状況です。今回提供した機器を、臨床研究の最前線で挑戦し続けている皆さんに提供することが,医療の現場を,また日本全国の皆さんを支援することにつながると信じています。

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