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【ウクライナ危機】国内避難民(IDP)の声 ~インタビュー第1弾~

2022年11月、ピースウィンズのスタッフがウクライナ西部のリヴィウを訪問し、国内避難民(注1)の方々から直接お話を聞くことができました。その様子を2回にわたりお伝えします。
 
第1回目は、避難所“Svitlo Mrii”(夢の光)で生活するイリーナさんのお話です。遠い日本ではなかなか聞くことのできない避難民の方の声を、ぜひお聞きください。
 
イリーナさん
「ヘルソン(ウクライナ南部)(注2)から避難してきて、始めの頃はアパートを借りていましたが、経済的にとても続きませんでした。困っていたところ、知り合いの神父さんからこの避難所のことを聞いたのです。避難所では、ボランティアの一員として、駅に着いたばかりの避難民の皆さんを車で避難所まで運んだり、一般市民の方々から提供された服や支援物資を集めたりしています。」
 


イリーナさん:地下シェルターにて

 
「避難民として登録するとウクライナ政府から月々2,000フリヴニャ(約50米ドル)の現金給付が受けられますが、これだけではとても足りません。
 
「例えば衛生用品などは、日常的に継続して必要なものですが、支援物資で全員分まかなえることはほとんどありません。避難所としては、どうやって避難民に必要な内容や個数を確
保していったらいいか、常に頭を悩ませています。」
 


衛生キットの中身

 


食料配布キットの中身

 
(将来設計のようなものはあるか、この先どうするつもりか、と聞かれて)
「しばらくはここ(リヴィウ)に留まろうと思っています。夫がよく『きみがいなかったら、ここにいる避難民の人たちは行き場がなかったよ』と言ってくれるのですが、今は仕事を探すことよりも、この避難所で少しでも多く皆さんの役に立てるように時間を使いたいと思っています。」
 
インタビューの最中に空襲警報(注3)が発令され、イリーナさんもピースウィンズのスタッフも地下のシェルター(注4)に避難しました。シェルターの中で、子ども達に目をやりながらイリーナさんは「今、厳しい状況におかれている私たちに対して手を差し伸べてくれる世界中の方々に感謝しています」と語ってくれました。
 
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ピースウィンズ・ジャパンは、イリーナさんの暮らす避難所があるウクライナ西部リヴィウに暮らす国内避難民を対象とする支援事業を開始しました。ニーズの高い避難所において、国内避難民を対象に、食糧キット、衛生用品キット、心理カウンセリング、法律相談、そして避難所用の簡易医療機器(血圧計や車椅子など)を提供する予定です。現在は、ウクライナの提携NGOのRight to Protection(R2P)と共に、リヴィウの避難所を訪問し、最終的な支援対象施設の絞り込みと配布物資の調達を行っています。
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(注1):国連を始め、人道支援業界の用語では国内に残っている避難民は Internally Displaced Personsとして、国境を越えた難民(refugees)とは区別して呼びます。必要とする支援の内容が異なることが多いので、細かいターゲティングは、適切な支援を調整する際に役立っています。
(注2):ウクライナ南部へルソン州の州都。3月上旬からロシア軍に占領され、9月末にはロシア領に違法併合されましたが、11月半ばにウクライナ軍によって奪還されました。
(注3):スマホ用のアプリがあり、現在地を入力しておくとミサイル警報が発せられます。街の屋外拡声器や駅の構内放送からも一斉警報が発せられます。
(注4):対ミサイルに作られたものはむしろ少数派で、大抵は地下貯蔵庫を転用したものが多いです。滞在用にはできていないので、毛布やマットレスを持ち込んで大勢がひしめき合うこともあります。他方で、あまりに警報が頻発すること、また、高層住宅の崩壊などの場合には、地下シェルターにいても命の保証がないことから、毎回は地下シェルターに入らない、という人も多いです。

 
 

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