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ピースウィンズは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

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2022.10.12

【ウクライナ危機】カメラマンが見たウクライナ避難民の「今」

ウクライナ 海外人道支援

ロシアによるウクライナへの侵攻開始から半年以上が経過しました。ピースウィンズは、ウクライナの隣国モルドバで、戦禍を逃れてきた避難民の方々への支援を続けています。
今回は、支援の最前線に赴くピースウィンズのカメラマン近藤史門が見た、避難所での人々の暮らしと、避難民を支え続けるモルドバの人々の今をレポートします。
 
避難所で4月から暮らすターニャちゃんの紙のピアノ
避難所開所当初から支援を続けてきたシネマ避難所に暮らすオデーサ市出身のエレナさん。「子どもが3人いて、名前はアーニャ、ターニャ、イヴァーニャ。覚えやすいでしょう!」と笑顔で教えてくれました。部屋の中には家具、布団、衣服、おもちゃ、少しの家電に食料などが置かれ、そこはすでにアパートの一室のよう。避難所と言われなければ、彼らが避難民であることも忘れてしまいそうです。
 

 
ここで暮らす避難民の多くは、多少なりともより良い生活ができると言われるポーランドやドイツなど第三国への移動はしないと決断し、少しでも故郷に近いここモルドバで戦争が終わるのを待つ覚悟でいます。避難中とはいえ、一時的な滞在にはならないことは覚悟の上。そこには既に彼女らの “生活” が築かれつつありました。
長女ターニャちゃんの机の上に目をやると、そこには紙に書かれたピアノが。お母さんに聞くと「ターニャはミュージシャンなの。ピアノが好きだから。今も練習したいのだけど、ここにはピアノはないから」と。「だから今はこれが君のピアノなの?」とターニャちゃんに聞くと、彼女は少し戸惑いながら恥ずかしそうにはにかみました。きっと本当は本物のピアノで練習したいのだけど、今はこんな紙のピアノしかないから恥ずかしかったのかもしれません。
 

 
「今まで通りの暮らし」をここに再現することはできないかもしれませんが、避難民の誰もが、少しでもこの避難所生活の中に「いつもの暮らし」を作ろうと邁進しています。それがきっと彼ら彼女らの心を安定させ、前を向く力になっているのだろうと感じました。
ちなみに、ターニャに出会った3日後、ピースウィンズはシネマ避難所に1台の電子ピアノを贈呈。一番にそのピアノに触れたターニャが、少し目に涙を浮かべながら鍵盤を叩いたのは、また別のお話です。
 

 
キーウからきた世話焼きなラリーサおばあちゃん
シネマ避難所に暮らしているラリーサさんはウクライナ首都のキーウからやってきました。シネマ避難所ではちょっとした有名人のおばあちゃん。気難しい性格もあり他の避難民からは少し煙たがられることもあるようですが、とにかくお節介焼きで根が優しいラリーサさんは、いつもピースウィンズスタッフを気遣ってくれます。
 

 
彼女が暮らしているのは避難所の大部屋内。パーティションで区切られた空間で彼女は1人で暮らしています。近くを歩いていたカメラマンの私は呼び止められ「せっかくだから見ていきないさいな」とお部屋を見せてもらいました。
 

 
中にはベッドの他に棚やインテリアが置かれていて、一時的にここに住んでいるというよりは、長らくここに居た様子がうかがえました。
「ここにいれば暖かい。この避難所を見つけれてよかった。」とラリーサさんは話しますが、一人ぼっちでの避難所生活はどことなく寂しそうでした。
 

 
過去に頭を怪我したせいで色々な記憶が曖昧だという彼女。枕元に置かれた聖母マリアとイエスキリストの絵画、その横にある子猫の置物が今の彼女のなぐさめだと言います。
「私たちは、国は違うけれども、神の下では兄弟姉妹だ」と言って、この日は私たちにキャンディーをくれたラリーサさんでした。
 

支え続けるモルドバの人々 迫る厳しい冬
「(開戦以降たくさんの支援を受けてきた中で)先の見える支援をしてくれるピースウィンズは、我々の最も重要なパートナーです」と話してくれた、モルドバの首都キシナウ市のイオン・チェバン市長とボリス・ギルカ局長。
ウクライナからの避難民が押し寄せてきていた開戦直後に比べて流入は落ち着きましたが、今もキシナウ市に残る避難民への生活支援まで、その場しのぎでなく「次に何ができるか」を考えることのできる “継続支援” をしてくれるパートナーは貴重だと話し、私たちに感謝を述べてくださいました。
 

 
一方で「これから厳しい冬がやってくる。モルドバ共和国そのものですら、この戦況で燃料確保の見通しが不透明な中、避難民への暖房器具や防寒用品の確保が目下の大きな課題です」と心配も口にされました。
「恐ろしいのは、これから戦況がどうなるのか未知数だということです」
開戦から半年以上経過し、口には出さないまでも行政や現場で奮闘する避難所の運営職員への負担も計り知れません。今後どうなるのか見通しの立たない中、それでもなお目の前にいる避難民を支えるためには、この危機を風化させない継続支援が何よりも重要です。
 
ピースウィンズ・ジャパンは、今後もウクライナの人々、そして彼らを支え続けるモルドバの人々と共に支援を続けてまいります。引き続き皆様からのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
 

 
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