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私たちの活動

【ウクライナ危機】「皆が一緒に暮らせる平和が欲しい」国境地帯レポート

ピースウィンズ・ジャパンはウクライナ危機対応のため、ポーランドにスタッフを派遣し、ウクライナ現地提携団体と調整の上でニーズが高い物資支援の調整を行っています。

現在ウクライナの提携団体からは、医薬品・燃料・避難のための交通手段・食料のニーズがあげられています。私たちはまず、ウクライナの首都キエフにある約20の病院・クリニックに、点滴・医薬品・ガーゼなどの医療物資を支援し、また母子ケアを提供する医療施設への支援に向けて食料や医療物資の調達を行っております。

3月2日午前3時に出発したポーランドのワルシャワからウクライナとの国境フレベンネまでの道325kmは平坦かつ早朝で空いており、問題なく近くまで到着できました。直前で現地警察のチェックポイントがあり、ウクライナから避難してくる人を迎える車両であれば通行可能とのことでした。現地警察には「日本のNGOでウクライナ支援のために来ている」、「日本への報告のため映像を撮りたい」と伝えると快諾いただきました。

国境から出た道沿いに支援ブースが並んでおり、避難民の人々はブースにある支援物資を受け取ったり、女性や子ども用の休養所に入ったり、無料のSIMカードを受け取ったりしていました。無料バスも運行しており、目的地に向かうためにまずは国境地帯から出られるよう手配されていました。反面、避難してくる人が少ない国境地点は、ウクライナ側の紛争状況が悪いのではないか、というような情報もありました。

現地で支援活動をしている国際NGOカリタスのハリナさんは「支援ブースには医療物資、食料、おやつ、温かい飲み物、タオルなどが棚に並べられており、自由に取っていくことができます。支援ブースは24時間対応しています」と話します。「この国境の状態が落ち着いて、支援の必要ががあまりなくなれば、混乱のある他の国境地点へ移動するかもしれません。その調整は政府が行っています」とのことでした。

ウクライナ北部のチェルニゴフから国境まで避難してきたというシングルマザーのナタリアさんと、娘のアナンダさんは、ロシア軍を見てすぐに車に乗って逃げてきたそうです。荷物が全くないということでカリタスのブースで物資を受け取り、温かい飲み物の提供を受けていました。ポーランドに知り合いがいるわけでもないがとりあえず逃げてきたとのことで、国境を通るのに2日かかったと言っていました。「これからどうするのか、わからない」と疲れた様子で語っていました。

避難者を迎えに来たというご家族もいました。現在お二人はポーランド国内スルプルクで働いており、ウクライナのマリウポリにいた6人の家族(おばあちゃん、子ども2人、親戚)を迎えに来たということでした。もっと早く国境を通過できるのではないかと思って待っていたそうですが、まだウクライナのご家族は入国できないということで、ずっと国境を見つめたまま待っていました。このインタビューは日本へ持ち帰るものなので伝えたいことはありますかと聞くと、「皆が一緒に暮らせる平和が欲しい」と語っていました。

国境から50kmほど離れた町のザモシチに移動したところでは、避難民は2日間休むことができるようになっており、その間に物資や情報を受け取ったり、行き先を調整したりしているようでした。私たちがいる間にも一般市民の人たちが必要だろうと思えるものを続々と持ち込んでいました。また車の提供もありました。
ザモシチ市役所の関係者マレクさんは、ウクライナのルボフへ、提携都市としてウクライナ警察の力を借りて物資を輸送しているということでした。行った先の人々が地下で暮らしている写真を私たちに見せてくれました。
毛布、医療、食料など必要な物資の詳細を教えてくださり、「日本の皆さんには資金の援助をお願いしたい。現場が買いたいものを買えるようにしてくださったら一番良い」と語っていました。

ザモシチ市で出会ったご家族は女性2人と子ども3人で避難されていました。ウクライナのルーツクから歩いて国境まで来て5時間かかって入国し、ザモシチまでバスで来たということでした。ボランティアが小学生ぐらいの子どもにぬいぐるみを渡そうとすると、その子が「家にあるからいりません」と言っていて皆胸を詰まらせていました。
お母さんも「爆撃の音がひどく、子どもをこわがらせてしまっていてどうしよう」と話しながら泣き出していました。そして「必要なものはないです」と言った後に思い直して「眠りに良いというバレリアナというハーブをください」とお願いしていました。その後、ザモシチ在住の老齢のご夫婦のうちに家族でお世話になることが決まったということで、老夫婦とともに去っていきました。

調査活動中、定食屋さんでお昼を食べていると、隣の席はお母さんと娘2人でした。彼女たちはウクライナからの人たちだったようで食事も無料で提供されていました。私たちが支払いをしようとするとウクライナ避難民と思われたようで「助けたいから食事代はいらない」とお店の人に言われましたが、もちろんお支払いしました。このように、国境でも近隣の都市でも無償のボランティアサポートがあふれていました。ポーランドの人々の自発的な支援に感動し、かつ尊敬の念が絶えません。ピースウィンズとして、国境付近での支援活動のみならず、ウクライナ国内で避難されている多くの方々にご支援が届けられるように支援活動を進めてまいります。

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