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私たちの活動

【ウガンダ】特別な支援が必要な人々(Persons with Specific Needs: PSNs)の受け入れと支援の流れ:その1

 緊急人道支援が必要になった時に、多くの場合は国際機関によって支援する組織が分野ごとに分かれ、お互いと調整することで支援の効率性を図っています。その分野は「クラスター」または「セクター」と呼ばれています。分野ごとに活動するNGOなどの組織は「パートナー」と称しています。

2018年1月以降ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、UNHCRのシェルター分野(セクター)事業実施パートナー(IP:Implementing Partner)として主に住居支援の活動を実施してきました。現在はアルア県インヴェピ難民居住地区とライノ難民居住地区において、新たに到着した難民の中でも特に特別な支援が必要な人びと(Persons with Specific Needs: PSNs)に対する住居とトイレの建設支援や公共施設の修理、そして国境の「コレクションポイント」と呼ばれる一次集合場所における支援を行っています。
今回は、このUNHCRの事業を基に、難民がウガンダにたどり着いてからの一連の受け入れプロセスと、他セクターやパートナーと連携して行うPWJの具体的な活動の流れをご紹介します。

南スーダンから逃げた難民は、 国境の受け入れセンターへ到着すると、まず国際移住機関(IOM)により一次登録され、コレクションポイントへ移送されます。ここで難民は正式な登録手続きを経て、簡単な健康診断を受け、温かい食事を支給されます。その後、レセプションセンターへと移送され、難民居住地区内の転居先が決まるまで数日にわたり集合テント(over-night shelters)で寝泊まりします。

トランジット・センターでは、まず社会的弱者であるPSNの特定と登録から始まります。これはプロテクション(保護)分野で活動する団体が担い、対象者の脆弱性に合わせて分類コードが付与されます(例えば、障がい者、高齢者、18歳未満の子どもだけの世帯、女性が世帯主、など)。この分類による脆弱性に従い、必要とされる支援が提供されます。そしてこの間に、様々な分野で支援が必要な人をその分野のパートナーに照会したり、PSNを移住させるための土地・区画が選択されたりして、必要材料の要請、シェルター(住居)やトイレなど衛生施設の建設が転居の前に行われます。これはUNHCRと首相府(Office of the Prime Minister : OPM)の管理の下、プロテクション(保護)、WASH(水・衛生)、シェルター(住居)、ヘルス(保健医療)パートナーとの連携や協力によって行われています。

PSN用の一時的なシェルター(temporary shelter)の支援の場合、プロテクションパートナーのリーダーは脆弱性のカテゴリーと家族の規模を記したPSNリストを提供し、それを以ってPWJは、UNHCRから与えられた標準業務手順書(Standard Operating Procedures: SOP)に基づきながら各世帯当たりの必要材料を算出します。材料のリストは普段建設ポール(柱)、プラスチックシートや竹あるいはUNHCR倉庫で竹が入手できない場合は竹を代替する小さいポールからなっています。建設が始まる前に材料の要請はPWJとUNHCRとの間の合意書に則ってUNHCRへ承認のために送られます。

承認を得た後、PWJはシェルター建設のために難民とホストコミュニティからなる労働力を集めます。シェルターはOPMによって指定された難民居住地区の中の区画で建設されます。区画のサイズは30×30メートルまたは50×50メートルです。シェルター建設は、普通はプロテクションパートナーに引き渡される1~2日前に、できるだけ早く完成します。完成したシェルターはPSNへ入居のために引き渡される前にUNHCR、OPM、プロテクションとシェルターのパートナーによる合同評価が実施されます。

こうしてPWJは、南スーダンから難民の新規流入が収まらない中で、特別な支援が必要な人々の一時的な住居整備に貢献していますが、このシェルターは文字通り一時的なものであり、故郷に帰る目途が立たない人々に対しては、もう少し丈夫で安全な住居の建設が必要になってきます。
次回は、シェルター支援が現在直面している課題についてご紹介します。お楽しみに!

ニェロ・イノセント
プロジェクト・オフィサー

* This publication has been produced with the assistance of the Office of the United Nations High Commissioner for Refugees (UNHCR). The contents of this publication are the sole responsibility of Peace Winds Japan and can in no way be taken to reflect the views of UNHCR.

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