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私たちの活動

避難生活の長期化に対応し、より手厚い支援を

2006年5月の騒乱をうけてピースウィンズ・ジャパン(PWJ)と国際平和協力センター(IPAC)が協力して続けている国内避難民支援の活動から、2つの話題をご紹介します。国内避難民のストレス・トラウマの調査と、東ティモール赤十字(CVTL)との共同キャンプ支援です。いずれも、長期化する避難生活の苦痛を少しでも和らげることを目指しています。

■ストレスを把握し支援に生かす
避難生活の現状をより正確に把握するため、PWJ/IPACは東ティモール全土の避難民を対象に、ストレスや心の傷(トラウマ)の調査をしています。1年以上もの間、安全やプライバシー、衣食住が十分に確保されないままキャンプ生活を続けてきた人びとの心理状態を調べ、結果を今後の支援活動や学校教育に役立てることがねらいです。

コモロキャンプで暮らす国内避難民

コモロキャンプで暮らす国内避難民(C)PWJ/IPAC

カノッサ・ハス・ララン避難民キャンプの子ども

カノッサ・ハス・ララン避難民キャンプの子ども
(C)PWJ/IPAC

調査対象は主に子どもを持つ成人。6月にディリ市内の6カ所、7月には東部バウカウ地区・ビケケ地区など3カ所の避難民キャンプや周辺集落で計約1000枚の調査票を配り、現在その回収と集計を行っています。調査の際は、キャンプのリーダーに調査の意図と必要性を説明し、協力を求めました。
質問は、騒乱時や避難生活の状況を尋ねるものと、ストレスやトラウマの度合いを探るものに大きく分けられます。ストレスに関する質問では、「つらく恐ろしかった出来事が繰り返し思い出される」「生き残ったことを申し訳なく思う」「目が覚めても生活状況が変わっていないことにがっかりする」などの項目にどの程度当てはまるかを、4段階で回答してもらいました。また、子どもについても、騒乱の3カ月後と現在を比べて食欲や生活の様子などにどのような変化が見られるかを、親に答えてもらいました。調査票の作成にあたっては、大阪大学大学院人間科学研究科の中村安秀教授に協力・助言をいただきました。

子どものストレスを探る調査票

子どものストレスを探る調査票
(C)PWJ/IPAC Seiko TOYAMA

回収した一部の調査票からは、「住居も家財も仕事もすべて失ってしまった」「安全が確保できる場所がほしかった」など、騒乱時の切実な状況がかいま見えました。今後、集計を進め、避難民支援や教育支援に携わっている国際NGO、地元のNGO、国際機関などとも結果を共有する予定です。
■仮設住宅への移動も支援
PWJ/IPACはディリ市内での避難民キャンプ支援を、この5月からCVTLとも共同で行っています。CVTLのスタッフがキャンプでのニーズ調査をもとに配布物資のリストをつくり、それをもとにPWJ/IPACが物資を調達して、共同で配布しています。支援の対象は、それまでPWJ/IPACが担当していた4キャンプに、CVTLが支援していた10キャンプを加え、計14キャンプ、1234人に広がりました。

PWJ/IPACのスタッフ(右の2人)と東ティモール赤十字スタッフ

PWJ/IPACのスタッフ(右の2人)と東ティモール赤十字スタッフ
(C)PWJ/IPAC Seiko TOYAMA

現場ではいま、テントから仮設住宅への避難民の移動が始まっています。ディリ市内でキャンプ生活を送っている避難民は約2万人といわれますが、騒乱から1年たち、耐用期間が2-3カ月といわれるキャンプのテントは、熱や風雨でぼろぼろになりました。2006年暮れにはノルウェーのNGOが市内に5つの仮設住宅を建設しましたが、安全対策が不十分だったことなどから避難民が怖がって移動せず、ほぼ半年が経ってもほとんどが空っぽのままでした。そこで、NGO、国際機関、政府が協力し、移動をスムーズに進めるための対策に乗り出しています。

ビニールシートなどで補強された避難民キャンプのテント

ビニールシートなどで補強された避難民キャンプのテント
(C)PWJ/IPAC Seiko TOYAMA

PWJ/IPACもこの動きに合わせて活動しています。避難民のなかには「仮設住宅に移ってからも物資の配布が受けられるか不安」「これまで他の家族と共同で使っていた台所用品などが新たに必要になる」などの理由で移動をためらっている人も少なくないことが分かったため、配布物資の選定にあたっても、それらのニーズにこたえられるようCVTLと調整しています。
※PWJの東ティモール国内避難民支援事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の協力を得て進めています。

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