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私たちの活動

【東ティモール】レテフォホ郡におけるコーヒー品質管理体制強化による生産者支援及び支援地域の拡大

peace winds JAPAN ピースウィンズ・ジャパン

2017年6月から2018年3月にかけて、特定非営利活動法人(認定NPO)ピースウィンズ・ジャパンはエルメラ県レテフォホ郡にてひろしま国際センター草の根国際協力助成金事業を実施しました。

  • 大工のバラさん
  • 目ぼしい産業がほとんど確立されていない東ティモールにおいて、コーヒーは外貨を獲得し得る数少ない産業のひとつです。
    ピースウィンズは2003年よりコーヒー生産者の支援を通じて人々の収入向上、そして生活向上をサポートしてきましたが、本事業では主に次のような活動を行いました。

1. コーヒー生産者自身による、品質管理活動の育成
① 品質管理担当者への技術指導
② 指導を受けた品質管理担当者が、各生産者グループメンバーへ技術指導
2. 新規加入した生産者グループへの技術指導、ならびに資材供与

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1. コーヒー生産者自身による、品質管理活動の育成
まず、レテフォホのコーヒー生産者グループ(既存の40グループ)より、メンバー25名を“品質管理担当者”として選出しました。そして、講師として派遣されたコーヒーの専門家が、アシスタントの東ティモール人とともにワークショップや実習を通じて品質管理担当者に研修を行いました。
品質管理担当者は、各生産者が行う「一次加工」と呼ばれる作業を、どのような点に注意してモニタリングし指導したらよいのかを学びます。この一次加工プロセスとは、収穫したコーヒーの実を選別し(熟したものだけ選ぶ)、脱肉し(実をはがす)、浮豆除去し(水に浮かぶ質の悪い豆を取り除く)、発酵し、水洗いし、乾燥させる一連の作業を指します。
品質管理者は1~2グループを対象として各生産者の作業のモニタリングにあたり、講師が準備した品質管理マニュアルを参照しながら、モニタリングシートに記録をつけて講師に報告をしました。
この品質管理者の活動を、講師と講師アシスタントが各集落をまわってモニタリングし、うまくいかない点について相談に応じたりアドバイスをしたりしました。講師の帰国後も講師アシスタントがモニタリングを継続しており、この講師アシスタントが講師の指導内容を確実に理解しているということが当事業の大きな鍵となります。
今回の講師の研修内容は、既にピースウィンズで指導してきたことも多く目新しいものは少ないですが、これまで生産者が何となくぼんやり理解していたことを改めて確認し、学び直すよい機会となりました。
これまでのように外部からの指導に頼るだけでなく、今後は品質管理者や各グループのリーダーを中心とする、生産者グループ内から品質をコントロールするイニシアチブの芽を育てることが当事業の目標のひとつです。

  • aftereq活動のモニタリング始動
  • townnow品質管理者の育成

2. 新規加入した生産者グループへの技術指導、ならびに資材供与
ピースウィンズのコーヒー事業への新規加入を希望していた5グループに対し、ブルーシート、バケツ、乾燥棚(アフリカンベッドとも呼ばれる)などコーヒーの加工に必要な資材を供与し、同時に品質管理の方法を指導しました。これで5グループのメンバー・計62世帯に支援を拡大することができました。
東ティモールでは、生産者が収穫したコーヒーの実を企業が安い価格で買い取るのが主流になっていますが、ピースウィンズのコーヒー事業では生産者が一次加工を行い、加工が済んでパーチメントという状態になったコーヒー豆を購入します。そのため、コーヒーの実のまま買い取る場合に比べて高い価格で買い取り、生産者の収入を上げることができるのです。
ブルーシートはコーヒーの乾燥過程で、またバケツはコーヒーの発酵過程で使用します。どちらもコーヒー生産者が行う一次加工過程で必須となる資材ですが、首都から悪路を3時間のレテフォホでは入手が難しく、またこれまで事業に参加していなかった生産者には経済的にも購入が容易ではないため、本事業で供与することによって、生産者は新しいスタートラインに立つことが可能になります。
乾燥棚は地上から50センチくらいの高さがあり、棚に広げたコーヒー豆に上下から風が当たるので、より均一に乾燥することができます。この乾燥過程はコーヒーの品質を大きく左右するもので、品質を重視する海外のバイヤーの要望に応えるためにとても重要なプロセスです。
さらに新規加入の5グループに加え、既存の40グループ(計45グループ)にコーヒーの脱肉機を提供しました。古い脱肉機を使用しているために、コーヒー豆に傷がついてしまうことが散見されたためです。

  • aftereqコーヒーの選別作業
  • townnow品質管理者トレーニング

3. 事業を終えて
ワークショップに参加した生産者グループのリーダーは、「コーヒー生産国である東ティモールの中でも、レテフォホのコーヒーの品質は高く評価され誇りに思っている。しかしながらコーヒーの老木化や品質の不安定さに困難も感じているので、今後も継続して努力を続けていきたい」と語っていました。
講師アシスタントは、「コーヒー産業への支援が始まって以来、生産者たちの生活は徐々にであるが確実に良くなっており、家屋を修繕したり、子供たちの教育費を捻出できるようになってきた。一方、世界のバイヤーから評価されるためには生産者に対して更なるキャパシティビルディングが必要であると感じるので、継続してモニタリング・指導を続けていきたい」と語りました。
必要な資材が揃い、技術指導を受け、品質管理・品質向上のために何をすべきか理解はできた。今後は指導内容を忠実に実施できているか、できていないのであればその阻害要因は何か、生産者たちがいつの日か他の生産者に指導ができるようになるところまで成長してほしいと願いつつ、ピースウィンズでは引き続きサポートを続けていきます。

  • aftereq広島県内のカフェにて東ティモール紹介
  • townnow周囲の風景

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