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私たちの活動

【スリランカ】JICA青年海外協力隊による稲作事業視察

JICAの青年海外協力隊としてスリランカ南部のゴール県で活動中の中井俊介隊員が、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の活動地域であるトリンコマレ県に事業視察に来られました。中井隊員は体育隊員として小学校を巡回し、サッカーの指導をしています。現役大学生でもあり、卒業後の進路は国際協力の道ということで、NGOの海外駐在員として働くことについても熱心で、多くの質問を受けました。中井隊員がその時の様子をまとめられましたので掲載致します。
(以下、中井隊員の寄稿です)
私は2014年12月22日、23日の2日間、スリランカ東部トリンコマレ県にあるPWJのオフィスを訪問し、事業の説明を受けると共に、現場の活動を視察させていただきました。
現在、トリンコマレ県では2つのプロジェクトが実施されており、そのひとつは酪農家支援事業です。地域で酪農家組合を作り、各農家の牛乳をプロジェクトにより建てられた集荷所に運び、そこから一括して出荷、更には集荷所で加工し直売所にて販売しています。2つ目のプロジェクトは稲作農家支援事業で、組合による米の回収や精米所の運営が行われるというものです。これらのプロジェクトにより、農家は仲買人から搾取されることなく安定した収入が得られ、また酪農・農作物の地産地消やコミュニティ意識の高まりなどが期待されています。
私は今回、稲作事業の現場視察をさせていただきました。視察日には、今後導入が計画されている稲の乾燥機の製造工場と、それを実際に使用している他地域にある精米所の見学に行きました。一口に乾燥機といってもディーゼル油で稼動させるものと、もみ殻を燃やして稼動させるものの2種類があり、現在多くの先進国では小型な前者が主流です。しかし、スリランカでは近年燃料価格の高騰から後者が好まれており、このような面で途上国の現場ならではの一面が垣間見られました。
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写真左:乾燥機について業者と話し合うPWJエンジニアスタッフのランジット(左端)
写真右:もみ殻を燃やして乾燥機を稼働させる様子
今回は2日間という短期間の視察でありましたが、事業内容に加え、スリランカでNGOの職員として働くPWJの駐在員お二人のお仕事、仕事に対する姿勢の部分が特に印象に残っております。グローバル化が進む現在、日本でも将来グローバルに働きたいという思考を持った若者が増えてきていると感じています。そして、その多くが「グローバル」という言葉の背景に米国やヨーロッパの先進国、もしくはタイのバンコク、インドネシアのジャカルタなど中進国の都市にて、スーツを着たカウンターパートとオフィスで働くことをイメージしていると思います。それもひとつのグローバルな仕事のあり方です。
しかし、途上国の都市部から離れ、地域の伝統的な衣装を着たカウンターパートと、木々に囲まれ青空の下で仕事をするというのも、またひとつのグローバルな働き方です。この度、PWJのお二人の活動に同行し、そこには他にない「楽しみ」があると感じました。「楽しみ」とは、自分のものとは異なる文化、環境、人々との付き合いの中で生じる様々な困難それ自体を楽しむということ、そしてそこから生まれる人との繫がりを楽しむということです。駐在員お二人の明るく笑顔で仕事をされる姿が非常に印象に残っております。
日本では現在、NGO/NPOに対する社会的認知が低く、生涯を設計する仕事としては選択しにくいのが実状です。しかし、今回の視察を通じ、その仕事の楽しさ、やりがいを肌で感じることが出来ました。今後、NGO/NPOに対する社会的認知が高まり、このようなすばらしい働き方を選択しやすい社会になっていくことを願っております。
報告:谷口加奈(スリランカ駐在)
*本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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