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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2014.11.17

【スリランカ】日本の中山間地域の経験をスリランカへ

スリランカ 海外人道支援

少しずつ秋らしい季節が近づいた10月上旬、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)のスリランカ駐在スタッフ谷口が、現行事業のヒントを得るため、PWJの本部事務所がある神石高原町とその隣にある島根県の邑南町を訪問し、地元の農家や酪農家による農業ビジネスの取組みを視察しました。
現在、PWJが事業を行っているスリランカ・トリンコマレ県は、2009年まで約26年間続いた内戦の戦場となっていた場所です。内戦が終結し、住民が避難先から帰還した後も、田畑は荒れ地となり、飼育していた家畜も散り散りになるなど、農業・酪農業を主産業としている農村地域の人々は大きな打撃を受け、生活手段を失うことになりました。内戦終結から5年経った今、地域の復興が進みつつありますが、その一方で農業・酪農業は、収穫した稲や搾った牛乳を加工・販売する手立てがないため、他地域から買い付けに来る仲買人へそのまま安価で売り渡しているのが現状です。
PWJが今年3月から実施しているプロジェクトでは、こうした状況を改善できるように、地元の協同組合が中心となって、収穫物の加工と販売を行える仕組みづくりをサポートしています。具体的には、収穫した稲を貯蔵し精米する精米所や、搾乳した牛乳の集荷から販売まで行う牛乳回収センターの建設に加え、組合員が自分たちで施設を運営していけるようにビジネストレーナーを他地域から招いて研修の機会を提供しています。
今年7月に私が現地へ出張した際、組合理事のミーティングが開催され、彼ら自身で作成した事業計画を発表する様子を視察しました。ほとんどの組合員がビジネス経験を持たないため、慣れないながらも真剣に発表している様子が伝わってきました。組合員の一人は、「ビジネス研修で会計やビジネスの基礎を学んで、家計簿をつけ始めました。そうして、日々の無駄な出費が減ったのですよ」と嬉しいエピソードを披露してくれました。
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写真左:精米所運営の事業計画を発表する組合理事たち
写真右:牛乳回収センターの事業計画を発表する組合理事の女性たち
しかしながら、組合自らが事業計画を基に加工・販売施設の運営を行い、利益を出してビジネスを成功させることは、決して簡単なことではありません。貯蔵・加工品の品質管理や、今後増やしていく米粉やスイーツといった加工品の商品企画などの技術的な側面に加え、推進役となる組合の育成にはまだまだ補強が必要です。こうした中で、広島県神石高原町や、島根県邑南町といった日本の中山間地域の農業・酪農業の取組みと経験が、課題解決のヒントになるのでは、と考え今回の訪問を実施しました。
神石高原町では、町の中で最も人の集まる「道の駅」を視察しました。平日の朝にも関わらず、多くの買い物客で賑わう中、所狭しと並ぶ新鮮な野菜や農家の工夫が凝らされた加工品の数々を視察しました。それから、同町の特色のひとつである有機農業を先駆的に行っている農家を訪問しました。有機農業の魅力と、有機野菜の市場をどう拡大するか、つまり農家自らが有機野菜の良さを消費者に伝える「消費者教育」が重要であるという話を聞き、今後の事業に活かせるアイデアを多く得ることが出来ました。
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写真左:神石高原町の地元の方より「道の駅」の案内を受けるPWJ谷口
写真右:神石高原町の農業・加工業従事者の方と交流会を実施
島根県邑南町では、地元で起業して放牧酪農で採れる牛乳をブランド化し、加工品製造と販売を行う若手酪農家や、昔からある地元の知恵を使ってモチ米から自分の子どもが食べても安全な「おかき」を作る女性グループ、また農家有志で構成される組合による産直市の経営についての話を聞きました。また夜は地元の方々と交流会を行い、スリランカ事業についてご紹介しつつ、地元の幸をご馳走になりました。
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写真左:おかきを作る邑南町の女性グループから現在に至るまでの話を伺う
写真右:邑南町の地元の方々を対象に、PWJスリランカ事業について報告会を実施(NGO相談員の一環)
多くの方々との出会いがあり、出会いの数だけ、それぞれの方の熱い思いに触れた3日間でした。今回の視察を通じて、スタッフ谷口は「何よりも、生業に対するみなさんの誠実で真摯な姿勢に感銘を受けた。スリランカに帰ったら、現地スタッフに今回学んだことを話したい。それから、今度はスリランカの人々をここに連れてきたい」と話しました。
スリランカでは現在、9月末にオープンした牛乳回収センター兼直売所の運営と、来年の2月に始動する精米所の運営準備に向けた組合のサポートで忙しい毎日です。そうした中、今回の視察で出会った方々から聞いた言葉を私たちの糧として、今後の事業をより一層充実したものにしたいと考えています。
報告:内藤 みわ(事業部スリランカ担当)
*本事業は、外務省「NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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