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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2014.3.26

【スリランカ】JICA海外青年協力隊員による酪農事業視察

スリランカ 海外人道支援

スリランカの首都コロンボから車で7時間離れたピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の活動地である東部州トリンコマレ県に居住し支援に携わる日本人は、片手で数えて指が余るほど少数です。そのうちのひとりであり、同県カンタレ郡で美容師隊員として若者のための職業訓練活動に携わる富加見(ふかみ)隊員が、PWJの事業視察に訪れ、その時の様子を今回寄稿くださいました。
(以下、富加見隊員の寄稿)
2014年2月20日、トリンコマレ県ムトゥール郡で行われているPWJの酪農事業を見学しました。JICA事業のために駐在している日本の畜産専門家と獣医師が、同事業の飼料の妥当性や飼育方法の問題点を見つけ、搾乳量を増加させるために助言をする視察に、私も同行しました。最初に訪ねたのはPWJが支援するコア・ファーマーの中でも模範的な酪農家で、餌場が非常に衛生的でした。飼料の種類と量、毎日の搾乳量もしっかりと記録されていました。しかし、満足な搾乳量が得られず利益が少ないとのことです。畜産専門家は、1日3回の餌を毎回変えるのではなく、3食とも同じものを与えた方が胃の負担が少ないとアドバイスされていました。

Srilanka
模範的なコア・ファーマー、衛生的な餌場

次に訪問したのは、搾乳量が少ない酪農家です。こちらでは、餌の配給量は一定しているものの、雄牛と雌牛が同じ餌場から食べているため、畜産専門家は個体別の摂取量がわからないと指摘されていました。また、粉末の飼料に関しては水に溶かして与える必要はなく、草に混ぜるだけでよいそうです。飼育されている乳牛が全体的に骨ばっており痩せている印象を受けましたが、獣医師によると、脂肪を蓄えるエネルギーが牛乳を生産するエネルギーに変わっているので問題ないとのことで、酪農家の方も安心した様子でした。

Srilanka
骨ばった牛

最後に訪ねた酪農家の牛は、広々とした牛舎で飼育されていました。搾乳量も豊富で順調に見えたのですが、糞を観察した獣医師は腸内環境が不安定かもしれないと心配されていました。さらにホルモンを投与されている可能性もあり、副作用を含む今後の経過を慎重に見守る必要があるとのことです。

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広々とした牛舎

~見学を終えて~
今回、PWJの酪農事業を見学させていただき、一番印象に残っているのは個々の酪農家が管理意識を持っていることでした。1日4リットルの搾乳量が損益の分岐点と認識し、現状をしっかり把握しているようです。その証拠に、日々の記録を基に積極的に質問する姿がどのコア・ファーマーからも見られました。
この姿勢は援助されることに慣れていては起こり得ません。PWJ事業を通して導入された、資材・機材・乳牛を「与える」のではなく「貸与」し、酪農組合が回収した資金により新たな乳牛を購入するという循環システムの顕著な成功例だと思います。
途上国では、気温や降水量によって酪農だけでなく生活の全てが左右されます。その中で、「根気よく」、「同じ視点で」、「多くの人を巻き込みながら」活動するのは、想像以上に難しいと身に染みて実感しています。
今後の課題として、酪農家による乳牛選別、乳牛の健康状態の管理、搾乳量の増加、搾乳後の品質管理などが挙げられていましたが、それらと並行して酪農家のモチベーション維持も必要ではないかと思いました。近い将来、ムトゥール郡で集荷した牛乳がブランド化され、商店に並び、それを美味しそうに口にする人々を目にした時に、彼らは自身の仕事を心から誇りに思えるのではないでしょうか。1日も早くその日が来ることを願っています。
報告:谷口加奈(スリランカ駐在)
*本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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