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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2013.12.11

復興の先へ

スリランカ 海外人道支援

ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)は、2011年3月からスリランカ北東部のトリンコマレ県で、主に稲作用の貯水池修復を通した農家の生計向上支援、および改良種乳牛の適切な飼育方法普及を通じた酪農家の生計向上支援のため、3か年の事業を行っています。
残りの事業が数か月となった2013年11月、事業の進捗や成果を確認し、今後の事業展開の可能性を見極めるため、秋深まる広島県のPWJ本部から、常夏のトリンコマレへ出張に赴きました。現地では、現行(第3期)事業の視察と併せて、第1期に機材を供与した牛乳加工場や、第2期に修復を行った貯水池にも足を運び、PWJの支援が終了し、1年、2年が経過した後も、施設が適切に維持管理され、有効に活用されている状況をつぶさに見ることができました。
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写真左:第2期に修復した貯水池。1年を経て堤防の強度が増し、今年はさらなる貯水量が見込まれる
写真右:第3期に修復中の貯水池で、堤防の強度を高めるため、側面に芝を植えている受益者の農民
PWJがトリンコマレでの活動を開始したのは、2009年で、当初は国内避難民(IDP)キャンプでの食糧支援や帰還先での仮設住宅建設といった緊急支援から始まり、緊急フェーズを脱した後は、生計向上支援を通した元IDPの再定住促進のような復興支援へと、人々のニーズに合わせて事業内容を移行してきました。
たとえば、現行事業の2本柱のひとつである酪農家支援では、第1期の2011年には、小規模酪農家を対象に酪農分野の研修や、公営の牛乳加工場へ機材の供与を行い、続く第2期からは、酪農家組合を通じて改良種の乳牛と牛舎用資材一式を酪農家に供与し、回転資金(リボルビングファンド)という仕組みを使って供与品総額の半額を毎月少しずつ組合に返済させる事業を開始しました。リボルビングファンドを少しずつ蓄積することで組合が自己資金を蓄え、改良種乳牛の適切な環境での飼育に関する普及活動を継続・発展できるように考え出された仕組みです。このように、持続可能性、自立発展性といった要素を事業に織り込むことで、PWJの支援終了後も、組合の自助努力により活動が継続・発展していくことを目指しています。
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写真左:第1期に供与した牛乳回収車は現在も公営の牛乳加工場で活躍中
写真右:改良種乳牛を牛舎で育てる受益者。従来種の牛を放牧酪農するよりも、搾乳量が大幅に増えた。
しかしながら、援助機関が去った後も住民に自立的に事業を継続してもらうというのは、決して容易なことではありません。
スリランカには、2004年の大津波の直後、そして2009年まで続いた内戦の終了直後に、諸外国から多数の援助機関やNGOが流入し、大規模な援助活動を展開しました。特にトリンコマレのように内戦で深刻な影響を受けた地域の住民は、大量の援助を受け続けるうちに、援助に依存するようになり、自助努力することを忘れてしまっています。一般に「援助慣れ」と呼ばれるこのような現象は、スリランカに限らず世界中で見られますが、これは、援助を行う側の、他ならぬ私たちが作り出してしまったものであり、その解決を図ることは私たちの責務であるということを、私たちは心に留めておかねばなりません。
PWJの事業には、トリンコマレの人々の自助努力を促し、援助依存から脱却させるための工夫が施されています。PWJは事業を行う際、まず住民たちを組合として組織化し、中心となって組織を引っ張っていけるリーダーを彼ら自身で選んでもらいます。そして、常にそのリーダーを通じて組合に働きかけ、私たちはいわば黒子のように陰で彼らの活動を支えます。こうすることで、援助機関に頼らない自立的な組織運営を促し、彼らに、この事業は、自分たちが責任をもって進めていくべき活動であることを自覚してもらいます。このように黒子役に徹しながらも、頻繁にモニタリングへ赴き、問題があれば一緒に考え、解決し、受益者たちが自ら率先してこの活動を続けていくように、PWJは出来うる限り、あらゆる面で彼らを支える努力をしています。
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写真左:モニタリング中、堤防への芝敷き作業中の受益者の質問を受けてアドバイスをするPWJスタッフ
写真右:農民組合の運営委員と、今までの事業の成果や今後の事業について協議を行っている

活動開始から約5年が経過し、「復興」から「開発」の段階へと移行しつつあるトリンコマレにおいて、現行の3か年事業が終了する来年3月以降は、復興の先にある持続的発展を目指し、トリンコマレの農家、酪農家、政府機関、NGOだけでなく、民間セクターをも巻き込んで、自立発展的な事業を実施していきたいとPWJは考えています。住民の意見を聞きながら事業案を検討したり、スリランカだけでなく日本で、協働で事業を実施しうる企業に話を聞いたりと、PWJは従来の枠組みにとらわれない、新しい支援の形を模索しています。幸いなことに、PWJが過去3年間に事業を行った地域では、意欲のある住民組合が着実に育っています。PWJはこれからも彼らの声に真摯に耳を傾け、パートナーとして、共にトリンコマレの復興の先へと歩んでいきたいと思います。
報告:船山 静夏(事業部スリランカ担当)
*本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」による資金や寄付金などにより実施しています。

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