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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2020.11.6

【スリランカ】実践!「オーガニック・ファーマーズ・マーケット」トレーニングの開催!(販売編)

スリランカ 海外人道支援

「また来週も…、いや…、これからもずっと!毎週自分たちで野菜を売りたい!」
と、参加した農家が口々に言い、そして買いに来た地元の人も「毎週やってほしい!」と、声を揃えて言いました。


ムトゥール郡事務所前での産直市:低学年の子どもたちも見学に来て、先生が大量に買ってくれました

 

有機農業は難しいし、作れたとしても地元での販売先がほとんどないから普及は無理だ…というのが、一般的なイメージでした。このため首都圏のコロンボにあるGood Marketという団体が発行しているオーガニック認証を取得して、首都圏で販売できるようにしようというのが当初の目標でした。

2019年9月から開始した「トリンコマリー県 帰還民再定住エリアを中心とした農業水利施設の整備による農地の復興と農業収入の多源化による収入向上支援事業」の3つの柱の中の1つである「有機農業の推進」プログラムでは、有機農法の手法や知識を学ぶ実践的なトレーニング、ビジネスマインドの涵養を促すビジネストレーニング、農機具の支援を行ってまいりました。

2020年のパンデミックにより、事業の中盤の3月中旬から4月中旬まで全国的な外出禁止令が布かれ、一時は事業の進行ができなくなる…と思いましたが、「食料供給の一助となる活動である」と、地元警察署からのご協力を得ることができ、外出禁止令の中、毎日「活動許可証」を発行していただき、どうにか活動を続けることができました。

外出禁止令の解除後も、大人数の集会は禁止されていたため、予定されていたトレーニングは時間を短縮し、少人数で複数回行う「青空フィールドトレーニング」となりました。中でも5~7月にかけて行ったビジネストレーニングでは、基本的な会計の知識を学びました。

 

トレーニングで、初めて分かった衝撃の事実…!


青空フィールド会計トレーニングの様子。このコミュニティは、タミル人、ムスリム、シンハラ人が仲良く暮らしているエリアで、シンハラ人の参加者はタミル語は聞けば理解できるが、読めないとのことで両方の言語の資料を使って説明

トレーニングの最初に出した例題:「日雇い労働者、コンポストの材料の購入などに6,400ルピー使いました。青唐辛子を売って、4,000ルピーの収入がありました。さて、儲かった?儲かってない?どっち?」

極々単純な計算で赤字とすぐわかります。しかしほとんどの農家は、少しでも収入あれば、それ以上の支出があっても、儲かった(Profitable)と考えたようです。

トレーナーもスタッフも、どこの農家も米を作れば作るほどマイナスになるリスクがあるのに米だけを作り続けるのは、これが原因なのかもしれないと気が付き、目からウロコでした。

トレーニングでは、簡単な帳簿(単式簿記:いわゆるお小遣い帳)の付け方を学び、参加した農家は皆、大きな衝撃を受けており、今までいかに損をしていたのか…。このトレーニング、もっと早く受けたかった!と、参加した農家全員が話し、トレーニング後、どの農家もしっかり帳簿をつけるようになっていました。


丁寧につけてくれている農家。儲かってる!と喜んで見せに来てくれました。

 


会計だけでなく、どんな農作業をしたかの活動記録も認証の取得に必要な項目

 

その後、トレーナーが、自分が外出禁止令の解除時間の数時間で、地元で野菜を買い付けて、路上販売で野菜を売り、大きな利益を得たという経験を農家に話してくれました。特にタミル人の農家は、昔からのカースト制度に基づく社会通念で、商人は農家より格下だという意識がどこかにあるのか、直接販売して利益を得るということを考えもしなかった様子です。通常、農家は、市場価格を知らないため、家まで買付けに来る仲買人が提示する二束三文の言い値で販売してしまうため、質より量を重視して化学肥料や殺虫剤を大量に使用して生産することになります。しかし、トレーナーからその利益率の高さを聞き、農家もやる気になり、実践販売トレーニングをそれぞれの地域で行ってみることになりました。

集まった農家は販売経験がないため、野菜や果物だけを持ち寄りました。販売時に必要となる、お釣りや袋、秤も持ってきてない、値段も決めてない、値札もない、売上を書く紙もペンも持ってきてない…という状況でした。慌てふためく農家の皆さん…、もちろんトレーナーは事前に予測し、すべて用意していました!開始前にトレーナーが、それぞれの農家に価格設定や販売方法の指導を行い、販売を開始。

 

開始時は、野菜をならべ、ニコリともせず座っていましたが、PWJのスタッフがチラシをまいて客引きをしたり、興味を示した人に声をかけたりするのに気が付いた農家が自発的に動いてくれるようになりました。その後は、自ら声を出して呼び込みを行ったり、有機栽培の説明をしたり、自らチラシを配りに回ったりと、皆、生き生き笑顔で自分が育てた野菜の販売を楽しんでいました。

 


地元の新鮮な有機野菜の優位性を訴求するチラシをシンハラ語とタミル語で準備(写真はタミル語版)

野菜だけでなく、トレーニングで習ったコンポストや液肥なども一緒に売る農家

結果、朝8:30ごろから販売し、11時ごろにはおおよそ完売。その後、トレーナーとの振り返りを行いました。振り返りでは、実際に販売してみて気が付いたことや、学んだこと、アイデアなどを皆で共有しました。有機野菜のニーズのポテンシャルにも気が付き、利益率も高く、有機野菜の説明を誇らしげにする農家は、ますます有機野菜に自信を持ったように見え、参加者全員が来週もやりたい!と口々に言ってくれました。

 


クッチャベリ郡事務所の前での産直市、突然のストライキで人通りがまばらでしたが、それでも多くの人が買ってくれました

 

日本では一般的になった産直市は、トリンコマリー県ではあまり浸透しておらず、売る側も買う側も楽しい!と感じてくれたようで、地元の自治体の開発担当者からのサポートを受け、毎週開催することに決まりました。

 


周りに街も何もないパダビシリプラ郡事務所前も、郡事務所の人や通りがかりの人が皆立ち止まって買ってくれました。(パダビシリプラ郡は、飲料水に水質課題のある地域が多く、健康意識も高いため、他のエリアよりもより活況でした)

 

スリランカ事業では、トリンコマリー県内の地元自治体と協力し、再定住区域における有機農業の推進を通じて、農家の収入源の多元化を図り、地元経済の活性化の支援を行ってまいります。

ピースウィンズ・ジャパンは引き続き、支援が届きにくい人々に目を向け、活動を続けてまいります。本事業は外務省の日本NGO連携無償資金協力からの助成金とサポーターの皆様からの寄付金を得て支援を行っております。皆さまからのご協力、またスリランカの農業の復興に寄与できるようなお話等もございましたら、是非ご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

 

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