ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2015.5.10

【南スーダン】復興の陰で –グンボ国内避難民キャンプに暮らす女性の話-

南スーダン 海外人道支援

ケニアの首都ナイロビから飛行機で1時間半。首都ジュバの上空に差し掛かると、かつては目立った建物も少なく、ほぼ平坦な印象でした。しかし、今回出張で訪れたジュバは全く違っていました。大地にどっしりとそびえる岩山のふもとまで、びっしり建物で埋め尽くされているのです。
コンクリートの堅牢な建物はもちろん、ガラス張りの近代的なビルも建設されていました。舗装道路にはソーラーの街灯が整然と並び、海外からの投資家が開店したホテルやレストランもなかなかの盛況ぶりで、通りに立ち並ぶキオスクなど大小の商店が経済活動の活気を物語っていました。これがたった1年半前に内紛に荒れた南スーダンか、と目を疑うほどでした。
今回、1年半ぶりに訪れた南スーダンで、首都ジュバの郊外にあるグンボ国内避難民キャンプを訪れました。このキャンプは、元々教会が所有する土地だったのですが、そこに人々が助けを求めて逃げ込み、現在は教会の敷地の一角が1,200人ほどの国内避難民が暮らすキャンプとなっています。
この場所で、衛生普及員としてピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の衛生普及活動に携わってくれている女性たちにインタビューをしました。9人の女性に話を聞いたところ、彼女たちは全員母子世帯であることがわかりました。女性たちの夫は内戦に兵士として参加し、すでに戦死したか、あるいは安否不明とのことでした。
インタビューに応じてくれた女性の中で最も若い女性でも子供が3人いて、ほかの女性たちは7人から10人も子どもがいました。このようにたくさんの子どもたちを連れて、水も食料もないままに7日以上歩いてこのキャンプに辿り着いたと言います。中には、戦闘に巻き込まれたり、あるいはキャンプに辿り着く途中で健康を損ねたりといった事情で、子どもを亡くした女性もいました。こうした状況はインタビューに答えてくれた女性たちに限ったことではなく、このキャンプで暮らしている人々はほとんど皆、母子世帯だそうです。

グンボ国内避難民キャンプで衛生普及員として活動する女性たち
グンボ国内避難民キャンプで衛生普及員として活動する女性たち

彼女たち衛生普及員の日当は30ポンド(約620円)。キャンプでは物資の配給がありますが、各家庭が必要とするものを購入するためにも、現金収入は貴重です。しかし、それでも十分な食料が手に入るわけではなく、時には雑草を集めて食べているのだと聞かされました。
「ほら、これを食べているの」、と手元に生えている雑草をちぎって見せてくれました。「こんな風にやわらかいところを採って炒めて…」と調理法まで説明してくれましたが、もちろん美味しい物ではありません。小さな子供たちは嫌がって食べてくれない、と女性たちはこぼしていました。ちょうどその時、近くを何人かの女性たちが丸く膨らんだビニール袋を提げて通りかかり、インタビューに応じていた女性が「ほら、ああやってこの草を集めているのよ」と教えてくれました。

キャンプの住民が炒めて食べているという雑草
キャンプの住民が炒めて食べているという雑草

お金のほかに困っていることについて尋ねると、「病気。たとえばコレラ」という答えが返ってきました。このキャンプの周辺地域では、昨年の雨季にコレラが流行し、死者も出ました。これから厳しい雨期に入ることを考えると、多くの子どもを抱えてキャンプで暮らす女性たちの不安は募るばかりです。
「もし故郷の村が安全だと確認できたら、子供たちを連れて村へ帰りますか?」という質問に対しては、全員が揃って「No!」との答えでした。「ここでは少なくとも子供たちが学校に通えている。学校では朝ごはんも食べさせてくれる。故郷に帰っても学校がない。だからといって子供をここに置いて帰るわけにはいかない」と。
キャンプの周囲にはフェンスが張り巡らされており、外部からの侵入を防ぐことができるので、キャンプ内は夜間でも安全だと言います。衣、食、住、平和、教育、どれも最低限以下かもしれないけれども、このキャンプにいればこうしたものがある程度得られて、とにかく生きていらます。自力で子供を育てなければならない母親たちにしてみれば、どれ一つをとっても手放すことはできないでしょう。
内紛勃発から一年半。首都は再整備が進み、経済は順調に復興の途にありますが、内紛によって壊された市民の生活を元に戻すには、まだまだ長い時間がかかるのかもしれません。
報告:現地駐在員(南スーダン事業担当)
※この事業は、ジャパン・プラットフォームの助成や、皆さまのご寄付で実施しています。

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