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私たちの活動

【南スーダン】HAPPY手洗いデー

10月15日は世界手洗いの日(Global Handwashing Day)でした。日本を含む100か国で2億人以上の人びとが毎年この日を記念してイベントを行い、石鹸を使った手洗いの大切さを訴え、衛生理解の普及に努めています。子どもと学校を対象に始まったこの衛生教育活動は、今では国際機関・各国政府・NGO・企業・個人の参加によって規模と影響力を増しています。南スーダンでも、私たちPWJと提携団体が首都ジュバの国内避難民キャンプやジョングレイ州都ボーの小学校で手洗いイベントを行いました。生徒と先生だけでなく集落のリーダーや近隣住民も集め、長老と校長と協力して正しい手洗いの方法を見せました。生徒の代表グループは手洗いと公衆衛生に関する詩を朗読し、観衆を前に手洗いの動作を交えた劇を披露しました。

ボーでの世界手洗いの日イベントの様子
写真:ジョングレイ州都ボーでの世界手洗いの日イベントの様子

日本では手洗いは全世代に浸透したあまりにも当たり前の習慣です。こうした習慣は、家庭や学校そしてテレビCM等で繰り返し伝えられる衛生メッセージによって次世代へと継承され、維持されています。うがいもそうした習慣の一つですが、外国人の間ではうがいはあまり一般的ではないようで、海外でうがいをすると驚きの目で見つめられます。国によっては挨拶でキスをする習慣があるのと同じで、幼少期から何を見、教えられて育ったかが、手洗い・うがい等の衛生習慣の形成に繋がります。
南スーダンを含め多くの国で、貧困世帯には手洗い用の石鹸がありません。洗濯に掃除に皿洗いにとなんとも多目的に使われる各国共通の青い石鹸はよく見かけますが、これを手洗いに使っている世帯はまだ少ないようです。石鹸が手に入らない人々には、代わりに調理に使った炭などの灰を手洗いに使うよう支援機関は推奨しています。少なくとも食前と排泄後には石鹸か灰で手をきれいにすることが大切です。毎年、途上国では数百万の子どもが下痢と感染症で命を落としていますが、石鹸を使って手を洗う習慣が普及すれば、下痢で亡くなる幼児の数を半減させ、感染症による死者の数を4分の1にまで減らすことができると考えられています。5歳以下の死亡率を下げるというミレニアム開発目標2015の達成のためもあって、国際社会は予防接種よりも効果的かつ安価な対策である手洗い教育に力を入れているのです。

ジュバのグンボ避難民キャンプでのイベントの様子
写真:首都ジュバのグンボ避難民キャンプでのイベントの様子

PWJが衛生教育活動を行っているジュバの避難民キャンプには多くの高齢者も暮らしています。PWJはトイレを使うよう避難民の人びとに普及してまわっていますが、長い人生でトイレを使ったことがなく、野外で排泄することが習慣となっている高齢者の行動を変えることはなかなか難しいものです。トイレの穴に落ちてしまうのではないかという恐怖心や、妊娠中にトイレを使うと胎児が穴に落ちてしまうという迷信もあります。
手洗いやトイレの使用を普及する衛生教育の対象として国際社会が子供にスポットライトを当てているのは、子供が新しい考え方や習慣に適応しやすい上、子供から家族へとメッセージが波及しやすいからです。トイレと手洗い場を建設したボーの3つの学校では、衛生に関する研修を受けた教師と生徒の代表者を中心に衛生クラブを立ち上げました。今後も衛生クラブの活動を通して、全校生徒、生徒の家族、そして地域住民全体へと公衆衛生の知識を普及し、衛生行動の変化を目指す活動が続きます。
報告:清水貴子(南スーダン事業担当)
※本支援は、ジャパン・プラットフォームからの助成や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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