【南スーダン】新たにアッパーナイル州での活動を開始しました
2006年から活動している南スーダン共和国では、2022年4月から新たに北部アッパーナイル州での活動を開始しました。
スーダン共和国とエチオピア連邦民主共和国と国境を接するアッパーナイル州では、近年、降雨の影響や洪水被害が報告され、国連によれば2021年5月の洪水により約12万6,000人が被災し、多くの人々は同州の国内避難民（IDP）キャンプで避難生活を送っています。国内で5番目に多い21万9,012人の国内避難民が避難生活を送っている同地域では、川やため池など安全でない水に依存する世帯の割合は66％と国内で最も高く、近年の洪水の影響で給水所やトイレや水浴び場などが壊れ、給水衛生支援が急ぎ必要です。そこで、ピースウィンズは、アッパーナイル州にある国内避難民キャンプで新たな給水衛生支援を開始しました。
アッパーナイル州へは、ピースウィンズの南スーダン事務所がある首都ジュバから飛行機で向かいます。活動を行っているメルートIDPキャンプには約33,000人の人々が避難生活を送っています。
蓋のない容器に水を汲む人々
このキャンプでは、蛇口やパイプが壊れて機能していない給水所が多く、近くを流れるナイル川などから水を汲む人も少なくなく、水を汲むために2,3時間を費やす住民もいました。この状況を改善するために、ピースウィンズは給水所を整備し、給水容器の配付を行いました。
配付する給水容器を運ぶ住民とピースウィンズスタッフ
給水容器を受け取った女性
安全に使える水浴び場や清潔なトイレもなく、人々は屋外で水浴びをしたり、排泄したりせざるを得ない状況にありました。トイレがあっても、トイレ穴に排泄物があふれて使えない状態でした。これらは不衛生な環境をつくるだけでなく、一人で行動する女性や子どもなどが不意に暴力にあう危険性もあります。そのため、現在使用されていないトイレを取り壊し、新しい水浴び場やトイレを設置しました。設置した水浴び場やトイレは、床を高くして大雨の際に浸水しないように設計しています。また、近所の複数世帯で共有して使用することで、使用する住民が自ら清掃などの責任感を持てるように工夫しました。
メルートIDPキャンプ内に建設した仮設共用トイレ
さらに、人口が密集するキャンプでは新型コロナウイルス感染症のリスクが依然あることから、人々が自ら感染予防や衛生的な環境づくりに対して問題意識を持てるように働きかけました。住民から選んだ感染予防啓発チームメンバーがキャンプ内の各世帯を訪問して感染予防や、正しい水の保管方法、こまめな清掃の大切さなど、衛生知識を伝えています。また人が集まる市場などに設置した手洗い場でも、正しい手洗いの仕方を伝えています。最近では、率先して手洗いをする人々の姿も見られるようになりました。
感染予防啓発チームへの研修
キャンプ内に設置した手洗い場で手洗いする人々
衛生啓発活動の一環でキャンプ内を清掃
雨季真っ只中のアッパーナイル州では、未だに過去の洪水被害からの復旧や、今後起こりうる被害を防ぐ対策は十分ではなく、ふたたび洪水が発生した際はさらなる被害が予想されます。ピースウィンズは、アッパーナイル州の人々と信頼関係を構築し、協力して、少しでも給水衛生面や洪水被害の状況の悪化を防げるよう支援を継続していきます。
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