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私たちの活動

雨期のアーティスト、みつけた

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が活動する南部スーダンでは、もうすぐ雨期が明けます。私たちにとって、来たるべき乾期は事業が忙しくなるシーズンです。井戸の掘削も、学校の建設も、資材を運べる道路が使える期間、すなわち乾期にしか全面展開はできないからです。そのため、雨期の間は、これまでにつくった井戸の見回りをしたり、衛生教育や井戸のメンテナンストレーニングを実施したり、あるいは現地政府や国連、他NGOとの調整会議が頻繁に持たれることになります。そんな雨期の終わり、小さなアーティストに出会いました。

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雨期の様子(左)と乾期
(C)Peace Winds Japan

私たちにとって制約の多い雨期。けれども、住民にとっては、雨期は短いながらも農業ができるシーズンです。水に困らないシーズンでもあります(雨も降りますし、川が氾濫して家が浸水することまでありますから)。熱い太陽がじりじりと照りつけ、すべてが干上がってしまうような乾期と比べたら、大地の色さえ違います。雨期は緑で、乾期は茶色。
「道はすぐに泥だらけになるし、雨は気まぐれのように急に降り注ぐし、やっかいなことも多いけれど、基本的に雨期の方がいい」という声もよく聞きます。

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雨期に見られる草花
(C)Peace Winds Japan

そんな雨期の終盤、井戸の見回りでコミュニティを訪問していると、素敵なものをみつけました。子どもたちが作った泥の動物たちです。
私の目には動物園のように映ったのですが、「何をつくったの?」と聞くと、「牛。」「牛!!!」「…牛…」という子どもたちの声、声、声。そう、PWJが活動するジョングレイ州では角のある大きな牛が名物なのです。

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小さなアーティストたちの作品
(C)Peace Winds Japan

貨幣経済になる前は「牛本位制」とでもいうような状態で、牛がすべての経済単位でした。今でも結納として男性から女性の家族へ牛を数十頭納めることで婚姻が整うという風習は受け継がれています。しかも、牛の模様や色によって名前がすべて異なり、人間の名前が、牛にちなんでつけられることも多いのです。宗教的に崇める対象とはまた別の意味で、牛が生活の中心に君臨しているといえます。
話がそれましたが、雨期の泥遊びの延長としての動物づくりですが、少なくとも私が南スーダンに赴任してからの1年半で見たことはありませんでした。もしかしたら、写真の真ん中の少年のオリジナルなのかもしれませんし、あるいは人心が安定してきたということかもしれません。今さらながらですが、生活の中に美やアートはあるのだなあと思ったひとときでした。

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小さなアーティストたち
(C)Peace Winds Japan

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