ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2007.8.23

“住民管理の井戸”めざし続く奔走

南スーダン 海外人道支援

スーダン南部でのピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の井戸建設事業の特徴は、井戸をコミュニティに引き渡した後も、住民による井戸管理委員会が井戸の周囲に柵や排水路を設置しているかを確認するなど、フォローを続けていることです。多くのコミュニティで柵や排水路が完成した現在、訪問先は課題を抱えたコミュニティが中心となっています。

コミュニティによる柵が完成した井戸=ガクヨン村

コミュニティによる柵が完成した井戸=ガクヨン村
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

牛や羊、ヤギなどの家畜が侵入して井戸の周辺が不衛生になったり、子どもたちが井戸や排水溝を壊してしまったりすることを防ぐために、柵は重要です。また、きちんとした排水路をつくらないと、水がたまってしまって蚊などの発生源にもなります。PWJでは、こうした作業は材料費集めも含めてコミュニティから選出された井戸管理委員会が行うことを前提に井戸の建設を進めてきました。
南スーダン・ボーの事務所に駐在するPWJスタッフの西野ゆかりは、「うまくいっているコミュニティの多くでは、リーダーシップをとれる人、責任感の強い人が井戸管理委員になっている」と話し、住民たち自身が学校や教会を建てた前例があったことも、“PWJ方式”が受け入れられた背景にあると指摘します。

柵がないため雑然としている井戸=ボー

柵がないため雑然としている井戸=ボー
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

課題となっているコミュニティをみると、いくつかの原因が浮かんできます。1つは、村長の不在。村落部では、村長が長期間、放牧地に行ったままということがあります。委員会の人選が村の現状を反映していないため、あらためて委員の選出をしてほしいのに、村長が不在のため、それもできないところもありました。
井戸の設置でPWJは、コミュニティの井戸をできるだけ学校の敷地内につくる方針をとり、その場合は学校長にも委員会に加わってもらいました。うまくいっているところが大半なのですが、そうではないところもあります。1つの理由は学校長の交代。新任の学校長が引き継ぎを受けていないケースがあります。もう1つは、コミュニティ側が「学校が維持管理すると思っていた」と解釈しているケースです。
一方、町の中のコミュニティでは、コミュニティのリーダーが商売や仕事で多忙ということもあります。また、かつては村落部同様、コミュニティに奉仕する習慣がありましたが、最近はかなり薄れてしまっています。避難先から新たに帰ってくる人も多いうえ、隣国のウガンダやケニアなどから商売のために来ている人も多く、まとまりができにくい背景もあります。
状況を動かすカギは、とにかく足しげくコミュニティに足を運ぶこと。リーダーがいなければ、委員をつかまえて柵や排水路の大切さを理解してもらい、リーダーと相談するためにまた来ることを伝えます。地域を管轄するパヤムやボマ(いずれも郡と村の間の行政単位)の首長を訪ね、伝言や働き掛けを依頼することもあります。

何度も何度も訪ねてやっと村長に会えた!=ルアリーク村何度も何度も訪ねてやっと村長に会えた!=ルアリーク村

何度も何度も訪ねてやっと村長に会えた!=ルアリーク村
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

「日本人が何度も来たから」と腰を上げてくれるところもあります。「住民たちが柵の材料を買うためのお金が集まった」「土曜日にコミュニティのみんなで作業をするよ」という報告を受けたり、前回まで何もなかったところに柵が完成しているのをみたりすると、ほっとします。地道な活動ですが、成果は着実に形になり、PWJの取り組みは地元の行政や国連機関からも高く評価されています。

子どもたちが井戸の清掃をすることも=ガクヨン村

子どもたちが井戸の清掃をすることも=ガクヨン村
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

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