ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2007.8.2

村までの困難な道のり

南スーダン 海外人道支援

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が井戸建設などの支援をしている南スーダンは現在、雨期。整備された道路がほとんどない現地では、大型の掘削機を運び込むことが不可能なため、井戸建設などは休止状態ですが、PWJではすでに井戸をつくった村での管理状況の確認などを続けています。とはいえ、少し離れた村への移動にさえ難しさがつきまといます。この日の村行きもアクシデントが続きました。

(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

7月31日、この日はPWJの事務所があるボーからルアリークという村へ行き、井戸管理委員会と話し合いをする約束がありました。約束の時間は午前10時。乾期であれば40~50分で行ける場所ですが、雨期の今は1時間半前後を見込んでいました。しかし朝、強い雨が降ったため、道路の状況を考えるととてもその時間には行けません。当初8時半に予定していた出発を10時に延期しました。
ボー事務所を出てから15分ほど。道路の状況は一変しました。道路というよりは“細長い泥が広がっている”という方が正確。ところによっては“沼地”に近い状態です。深くえぐられた轍(わだち)は、水がたまっているものも多く、運転をさらに困難にします。PWJスタッフを乗せた四輪駆動車(トヨタ・ランドクルーザー)は、時折、泥にタイヤをとられたり、泥ですべったりしながらも、何とか走行を続けます。車は上下に激しく揺れ、左右に大きく傾きます。滞空時間があるほど浮き上がってしまうことさえあります。(雪の上と同様、スリップすると滑った方向にハンドルを切ってコントロールを取り戻す運転方法もあるようです)。
前方に白い車が止まっているのが見えてきました。別の国際NGOの四輪駆動車です。深い沼にはまり込み、立ち往生しています。「スタック」です。このままではPWJの車も先へ進むことができません。

PWJの車の前にスタックしている車が車から降り相談や指示出しをするPWJ西野(中央)

写真左:PWJの車(手前)の前にスタックしている車が
写真右:車から降り相談や指示出しをするPWJ西野(中央)
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

ボー事務所に駐在している西野ゆかりも車から降り、スタックしているNGOのスタッフや通りがかった乗り合いタクシーの運転手らと相談を始めます。長靴は沈みこみ、力を入れないと足を抜くこともできません。足を動かさずに立っていると、粘着質の泥が長靴をからめとろうとします。体にはハエや虫が次々にまとわりつきます。
スタックした車は、別の四輪駆動車にワイヤーを結び、ウインチで巻き上げてもらいながらエンジンをかけていますが、なかなか脱出できません。救出に手を貸したいところですが、下手をすれば、こちらの車もスタックしてしまいます。
やがて、スタックしていた車は脱出! 私たちも村への走行を再開することができました。出発から2時間余り。目的の村を管轄する地域(パヤム)の事務所に到着。代表者を訪ねて井戸管理について情報交換をしたいという希望を伝えた後、目的の村へと向かいました。

管轄するパヤム事務所の前パヤム事務所での代表者との話し合い

写真左:管轄するパヤム事務所の前
写真右:パヤム事務所での代表者との話し合い
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

ルアリーク村に着いてみると、PWJが建設した井戸にはカギのついたチェーンがかけられ、使用できなくなっています。維持管理用の柵をつくるため住民が持ち寄るはずの材料などの集まりが悪いからと、村のチーフがこの日の朝から使用できなくしたとのことです。そのことを知らない住民たちがポリタンクを持って集まってきます。井戸管理委員会のメンバーは少し離れたところに住んでいるため揃わず、別の日にあらためて話し合いをすることにし、住民に委員会メンバーへの連絡を依頼して、この場を離れました。

ルアキーク村でPWJが建設した井戸

ルアキーク村でPWJが建設した井戸
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

しかし、この日最大のトラブルはこの後でした。我々の運転手が急な発熱に襲われ、運転を続けることが難しくなったのです。マラリアにかかってしまったようです。この悪路を安全に運転して帰るには、慣れたドライバーが必要です。至急、代わりの運転手を送ってもらう必要があります。外出時には衛星携帯電話や無線などの装備を持っていますが、このような場所で100%はありません。事務所にいるスタッフとなかなか連絡がつきません。ここにいるスタッフの1人を乗り合いタクシーでボーに送り、運転手を送ってもらう方法を考えましたが、乗り合いタクシーも満員で乗ることができません。
日没までには時間もあるし、持参したビスケットや水、近くの店で買ったコーラなどを飲みながら連絡を取り続けるうち、連絡がつき、代わりの運転手も見通しがつきました。

泥の中を走行してすっかり黒くなった四輪駆動車

泥の中を走行してすっかり黒くなった四輪駆動車
(C)PWJ/Kazuyoshi MISAWA

夕方5時、当初の予定よりかなり遅れてボー事務所に帰着。泥のなかを走り続けた車は真っ黒になっていました。しかし、この日のようなことは珍しいことではありません。必要な人に必要な支援を届けることの現実をかみしめた1日でした。

※当初アップしたレポートの一部を修正しました(2007.08.02)
※PWJのスーダン支援事業は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの協力も得て進めています。

 

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