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私たちの活動

サイクロンから1年:復興をめざす被災者の強い意志

2008年5月2日から3日にかけてミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」の被害から1年が経ちました。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)が被災直後から行ってきた現地での支援活動のほとんどが完了し、日本人スタッフは帰国しました。現地に駐在して活動しながら、最も強く感じたのは、逆境のなかにあっても自分たちの力で立ち上がろうとする被災者たちの思いでした。

川沿いの集落

  川沿いの集落
  (C)PWJ/Masaharu SAITO

ミャンマーを発つ頃には、PWJが活動していたボガレ地区の中心の町から村へ向かう川沿いにも、新たに整備された船着場や住宅、建設中の学校などがあちこちに見られるようになり、復興が着実に進んできていることがうかがえました。それでも、サイクロン以前のレベルにまで被災地の状況が好転し、より堅牢な公共施設が整えられるまでには、これから少なくとも3年間を要するといわれています。サイクロンで海水が入ってしまった田畑ではこれまで十分な収穫が得られませんでしたが、今後少しずつ改善されていくことが期待されます。
一方、サイクロンで大きな痛手を受けた人びとは、どのような思いでこの1年間を過ごしてきたのでしょう。現地で活動を始めた当初、被災地の人びとの多くは表情に乏しく、子どもたちも、見知らぬ国からやってきた私たちに緊張を隠せない様子でした。その後、人びとの生活に直結する船着場や橋、学校などの村の施設を復旧するため、何度も同じ村に足を運ぶようになると、村人との信頼関係もさらに深まり、子どもたちも少しずつ打ち解けて笑顔を見せてくれるようになりました。

村の子どもたち

村の子どもたち2

村の子どもたち
(C)PWJ/Masaharu SAITO

支援活動を続ける上で特に気を配ったのは、耕す農地を持たない人びとの生活を助けることでした。種もみ、肥料などの支援を受けることのできる農民や、漁船や漁網などの配布を得られる漁民たちと異なり、これまで農繁期の作業に従事して収入を得ていた彼らは、サイクロンにより収穫量が激減したため、働き口をみつけられず、収入を得る機会を失ってしまいました。
村人が参加する形で進めてきた学校などの施設の修復事業は、こうした人びとが少しでも現金収入を得ることを考えたものでしたが、これらの事業が終了した後は、再び収入の道が断たれてしまいます。そのため、子豚を育て、殖やしていくことで、彼らにとって継続的な生計手段のひとつとなるよう、2月に子豚の配布を実施しました。

小屋で飼育される子豚

小屋で飼育される子豚
(C)PWJ/Masaharu SAITO

PWJがこれまでミャンマーで行ってきた活動は、人びとがサイクロンの被害から立ち上がろうとする努力を支えるためのものでした。しかし、これから彼らが生き抜いていく力を取り戻し、将来に明るい希望を持って生活再建を図っていくことができるかどうかは、彼ら自身の強い意志にかかっています。「本当であれば自分たちで頑張らなければならないのに・・・」と、私たちから見れば外部からの支援に頼らざるを得ない被災直後から、生活物資を受け取るのをとても申し訳なさそうにしていた被災地の人たち。彼らができるだけ早く生活を立て直し、地域の人同士が助け合って、やがて真の復興を遂げられるよう、心から願っています。

川面を照らす夕日

川面を照らす夕日
(C)PWJ/Masaharu SAITO

なお、日本人駐在スタッフは帰国しましたが、PWJのミャンマー人スタッフが中心となって、災害時に避難場所としても使用できる僧院の建設工事を継続しています。

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