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私たちの活動

傷跡残る村に学校新築の喜び

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、2008年5月のサイクロン「ナルギス」で大きな被害を受けたボガレ地区マグー郡のイェーチョーカ村とダーマラキタ村で学校の修復を続けてきました。ボガレの町から村までの移動は困難を極め、その行程にも村のなかにも傷跡はなお深く刻まれています。しかし、新しい学校は子どもたちと村の人びとに、楽しみと希望を与えています。

明るい表情を見せるようになった子どもたち

明るい表情を見せるようになった子どもたち
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

ボガレの町からこれらの村に行くには、ボガレ川、イラワジ川と、その間を網の目のように縫う小さな川をボートでたどっていきます。この地域は河口に近く、潮の干満の影響を大きく受けるため、水位が低すぎてボートが通れなくなる時間帯があります。潮の干満による水位は、1日のうちでも大きく変動し、また月の満ち欠けによっても微妙に干満の時間帯がずれるので、ボートの持ち主ですら予測が困難なようです。
PWJのスタッフが村に行くときにも、ボートが川底をすってしまい、立ち往生することがしばしばあります。炎天下のある日、この日もボートが川底をすり、潮が満ちて航行できるようになるまで待っていました。しかし、目的地への到着が大幅に遅れそうだったため、船の乗員、スタッフ総出でボートを押し始めた、ちょうどその時でした。竹ざおを使って、船を動かしていた村の協力者の1人が声を上げました。川底に竹ざおを突き刺そうとした時、何かあたったようです。人骨。泥にまみれ、腐食も進んでおり、一目見ただけではわかりにくいですが、小さな腰の骨でした。サイクロンの時に波にさらわれて亡くなった幼い子のものでしょうか。

水位の下がった川を進む

水位の下がった川を進む
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

PWJが建設した小学校を、イェーチョーカ村に引き渡してから1カ月。小学1年生、4年生、5年生の子どもを持つお母さんに話を聞きました。「この村でも、たくさんの子どもたちがサイクロンの時に波に流されて亡くなりました。私の子どもたちは皆無事に元気でいてくれて、大変ありがたいです」との言葉が返ってきました。そして彼女は、両親をサイクロンで亡くした小学4年生になるのおいを引き取って育てていました。
その彼女は新しくできた学校について、さらに続けてこう言いました。
「子どもたちは、新しい学校ができて、毎日学校に行くのが楽しみでたまらないようです。毎日朝4時に起きて学校に行く準備をするようになりました。家に帰ってきても新しい学校の話ばかりしています。私自身は学歴がないので、子どもたちだけにはきちんとした教育を受けさせたいと思っていたのですが、こんな立派な学校が村にできるなんて夢にも思っていませんでした」

新校舎に通学する子供たち

新校舎に通学する子供たち
(C)PWJ/Masaharu SAITO

子どもたちも、数カ月前には見せてくれなかった笑顔で答えます。
「新しい学校ができてどう?」
「うれしい!」
「新しい学校のどこが一番好き?」
「広くて、涼しくて、勉強しやすい。広いから遊べる場所もいっぱいある」
もう1つの村、ダーマラキタ村でもすでに学校校舎が完成し、3月初頭には引渡式を行う予定です。

新しくなった机・イスで授業を受ける子供たち2

新しくなった机・イスで授業を受ける子供たち
(C)PWJ/Hiroko TAKAHASHI

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