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私たちの活動

【ミャンマー】村に適した給水システムを

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)がミャンマーで実施する水・衛生事業では、本格的な乾季が始まる1月から、安全な飲料水を確保するための給水設備の建設や修繕が最盛期を迎えます。事業地であるカレン州では、昨年の雨季が例年より長引きはしましたが、それでも多くの村では水源にしている井戸や川の水が少なくなっています。
<紛争に巻き込まれた国境近くの村>
カレン州パインチョン・サブタウンシップ にあるタカヤ村は、ドナー山脈のふもとにあり、この山脈を越えるとタイとの国境です。長年、この地域は、武装少数民族グループと政府軍による紛争の影響を受けてきました。多くの人は村を逃れ、ミャンマー国内や隣国タイでの避難生活を余儀なくされる中、団結力の強いタカヤ村では、ほとんどの住民が村に留まることを決断しました。
紛争が収束に向かっている現在でも、村での生活環境は依然として改善されていません。タカヤ村では近くの川の水 を飲料水や家庭用水として利用していますが、毎年乾季になると水量は減少し、水も濁ってしまいます。
<村に水がきた >
タカヤ村の近くの山には滝があり、そこの水は一年中涸れることはありません。しかも、水質が非常に良いことも分かりました。そこで、PWJは2014年末から2015年1月にかけて 、井戸を掘るのではなく、滝の水をパイプで村まで送り込む自然流下式の水道設備を建設しました。敷設されたパイプは全長5.7km。滝の位置は村よりも標高が高いので、滝の水は重力により自然に村に流れます。滝の水は、まず村の貯水槽に注ぎこまれ、その後、村内の数か所に設置された蛇口へとさらにパイプで分配されます。
Takayar Hand Washing Student  Takayar School Water Station
写真左:学校に完成した洗面台で手を洗う生徒. 写真右:設置された蛇口からは勢いよく水が出る.
<住民と協力して>
水源から村まで塩化ビニール製のパイプを地中に埋める工事は、全て村人がボランティアとして行いました。乾季の水不足に長年悩まされた村人が主体となり、生活の改善のためにこの大変な作業に積極的に参加した結果、自分たちの村に水を引くことができたのです。「以前は川を何往復もして水汲みをしなければなりませんでしたが、今は水汲みがとても楽になりました。おかげで、水汲みに使っていた時間を使って、畑に行って米作りの手伝いをしたり、家族との時間が多く持ったりすることができるようになりました」と、タカヤ村のナウ・ノー・トゥさんは嬉しそうに語ってくれました。
水道管工事を行う村のボランティアたち  Takayar Village Leader and PWJ Staff
写真左:水道管を地中に埋める工事を行う村のボランティア. 写真右:タカヤ村のリーダーと話し合いをするPWJスタッフ.
<子供たちの衛生教育にも一役>
村にある小学校の手洗い所にも水が引かれました。低学年から高学年の生徒それぞれが使いやすいようにと、蛇口もさまざまな高さで設置されました。小学校の先生は「蛇口をひねるだけで水がでてくる環境を提供してくださり、感謝しています。これで生徒たちはいつも安全な水を飲むことができ、また、手洗いの習慣を教える機会にもなり、衛生環境が改善されました」と話してくれました。

Takayar Students

写真:タカヤ村の生徒たち

環境や地質などによっては、井戸建設が難しい村もあります。また、タカヤ村のように近隣の適当な場所に良い水源があれば、そこから水を引いてくることも可能です。村人との話し合いを重ねて、その村の状況に最も適した給水設備を提供することがとても重要です。
PWJはこれからも村人と話し合いながら、必要とされる支援を行っていきます。引き続き皆様のご支援をよろしくお願いします。

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