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私たちの活動

【ミャンマー】水・衛生事業開始から1年

ミャンマーでは1948年の独立直後から60年以上にも渡り、中央政府と複数の少数民族間で武力紛争が続いてきました。そのため、多くの難民が隣国タイに流失し、国内でもたくさんの人々が自宅から離れて避難生活をしてきました。しかしここ数年で部分的な停戦合意が結ばれ、両者は現在さらに全国レベルでの停戦合意について交渉の最終段階に入っています。こうした和平の流れを受け、近い将来難民が故郷に戻った際、必要最低限の生活環境が整っているよう、PWJは2013年9月から少数民族の一つであるカレン族の出身地カレン州(タイ国境付近)にて水・衛生事業を実施してきました。2014年7月末までに同州の15村で24本の井戸を新設または修復し、11村にて手洗いが健康管理にいかに大切かなどを伝える衛生知識向上講習を開きました。
ミャンマー井戸ミャンマー井戸
写真左:完成した井戸の一つ. 写真右:新しい井戸で水を汲む村人たち.
ウドン(U Daung)村の学校に通うナン・チット・テ・アウン(Nan Chit Thet Thet Aung)さん (日本では高校1年生にあたる10年生)はこう話してくれました。
「もともとあった井戸は夏(2月中旬~5月)の間、朝にしか十分な水量がなかったので、私は毎日早起きして水汲みに行かなければなりませんでした。今はPWJが作ってくれた新しい管井戸のおかげで1年中いつでもきれいな水が手に入るようになり嬉しいです。」
ミャンマー井戸ミャンマー井戸
写真左:ウドン村の学校にある水タンク. 写真右:ウドン村の学校の生徒たち.
300人ほどが住むカンナー(Kar Nar)村のドー・ソー・ラ(Daw Saw Hla)さんは次のように語ります。
「村に新しい管井戸ができたことを本当に感謝しています。管井戸ができる前は、(夏になると)川に水汲みに行かなければならなかったのですが、たまに川にごみが浮いていて水はきれいではなかったのです。それに牛や水牛などの動物も同じ川の水を使っていましたから、水質を心配していました。今はPWJのおかげできれいでおいしい井戸水を確保できるようになり、もう心配無用です。」
ミャンマー井戸ミャンマー井戸
写真左:カーナー村で住民とPWJスタッフの話し合いの様子. 写真右:カーナー村の水汲みの様子.
以下、PWJの現地駐在員北原聡子からの報告です。
例年6月頃から10月頃まで雨季の続くミャンマー。連日大雨が続いています。井戸を建設・修繕した村々は僻地が多いので、雨が降ると洪水で道が塞がれ、到達することが出来なくなる場所も多くあります。井戸建設後の確認のため、比較的到達しやすいと言われていたユワカインコン村への道中にも大変なことがありました。
この日も朝から豪雨でしたが、道自体はさほど影響を受けていないようでした。しかし、目の前に川幅が10メートルほどもあるような川が突如として現れました。これは乾季には難なく渡れる小川らしいのです。この川を渡らなければ村に到達できませんが、結構深そうですし、引き返した方が得策と思えました。ただ運転手とスタッフが川に入り自分の体で川の深さを確認し、「大丈夫!」と自信をもって言うので、本当に大丈夫かなと一抹の不安を抱きつつ、先を進んでもらうことにしました。しかしやはり大丈夫ではなかったのです。車は4分の3ほど進んだ川の中で止まってしまいました。いったん止まったエンジンは再び動いてはくれません。運転手がドアを開けて外に出ると、川の水が車の中に入ってきます。幸いなことにユワカインコン村に近かったことと電話が通じたことで、村から応援を呼ぶことができて、何とか皆で車を川から引き出すことが出来ました。
ミャンマー井戸ミャンマー井戸
写真左:大雨の中、川から車を引っ張る村人ら. 写真右:PWJスタッフ北原(中央).
判断力が十分でなかったことは反省ですが、どう対処するかを迅速に考え行動した現地スタッフは頼もしい限りです。誰一人怒ったりパニックになったりすることなく、笑いながら冗談さえ言いながら対処していました。また、雨季の現場訪問の大変さを体験できたことは良い経験だったと言えます。
今後本事業では、来年3月までに更に約20基の給水施設を建設・修復を計画しています。現地のコミュニティの人々との協力体制をより強固なものとしながら、安全な水の供給を続けていきます。皆様の温かいご支援をお待ちしています。
報告:北原聡子、ポーマン真理子(ミャンマー駐在)
※本事業は、皆さまからのご寄付のほか、ジャパン・プラットフォームとJTI Foundationからの助成金により実施しています。
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