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私たちの活動

【モザンビーク】サイクロンが直撃した日の話

現在、農業コーディネーターとして、ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)と一緒に働いているナルシーゾ・マデイラさんが、サイクロンが直撃した日の話をしてくれました。

サイクロンが直撃した日のことを話すナルシーゾさん

目を覚ますと、水に浮いたベッドの上で寝ていた

3月14日、サイクロンがソファラ州に上陸しました。
当時僕はソファラ州ニャマタンダ郡に住んでいました。天気予報では、サイクロンはソファラ州の北部を通ると言っていたので、あまり深刻にとらえていませんでした。
雨は止むことなく、降り続いていました。
3月16日、朝3時頃に「起きて、ナルシーゾ!」という家族の声で起きました。
ベッドから飛び起きると、家の中に水が浸入しており、水位は膝まできていました。
なんと僕は、水に浮いたベッドの上で寝ていたのです!

家族は「急いで外に避難しよう!」と言いました。
僕は「パソコンはどこ?パソコンを持っていかなければ!」と言いましたが、
「パソコンを探している時間なんてない!置いていきなさい!」と家族に言われ、泣く泣く諦めました。

屋根の上に12時間

急いで、家の屋根に上り、屋根の上で雨が止むのを待ち続けました。屋根の上に上ってから12時間後、ようやく雨が止みました。

しかし、避難しようにも、どこに避難をすれば良いのか全く分かりませんでした。屋根から下りると、水位は僕の肩まできていました。ふと横を見ると、今までに見たことのない大きさのヘビが浮かんでいました。周りの人はヘビを恐れて、一斉に水に潜って隠れていました。

避難と決死の救助

僕たちは家の屋根の上にいましたが、道を挟んだ反対側に、木につかまっている親子が見えました。道は浸水して川のようになり、孤立してしまっていたのです。

流されるのが怖くて、誰も助けに行けませんでした。見るに見かねた僕は、木まで泳いでいきました。
子どもを渡すように言ったのですが、男性は「自分も一緒でなければ子どもを渡せない」と言います。
二人とも助けるからまずは子どもを渡すよう説得し、子どもを連れて行きました。戻ると男性はパニックに陥っており、僕は男性を助けようとしたものの、僕も一緒に溺れそうになりました。僕は男性から離れて、ロープで彼を引っ張って助けました。

そんな時、やっと1台の救命ボートが来ました。

目の前で溺れ、亡くなった子ども

「子どもを優先に!」とのことで、まずは小さな子どもたちをボートに乗せました。定員は25名でした。でも子どもだけで50名はいました。
ボートは子どもで溢れかえっている中、助かりたいという女性5名が無理やりボートに乗りました。ボートは出発したものの、少しして、定員オーバーが原因で転覆しました。女性たちは慌てて、ボートにつかまりました。ただ、ボートの下敷きになった子どもたちは全員亡くなってしまいました。

自分の家から少し歩いたところに幹線道路があるのですが、そこは浸水していなかったので、僕はそこまで行こうと決心しました。
でも、そこまで行くには、洪水で濁流が押し寄せ、川のようになった道を渡らなければなりません。多くの人が、少しでも安全な場所を求めて、高台にある幹線道路に行こうと、川となった道を渡ろうとしています。

僕たちはグループを作って、対岸から降ろされたロープを掴もうとしていました。その時、ある男性が僕に叫んできました。

「子どもを連れて行ってほしい」
と。
急流のようになった道路の水位は、150センチ以上になっていました。僕は身長が高い(180センチ)ので、子どもが助かると男性は思ったようです。
男性と話している最中も、少しずつ水位が上がっていきます。

僕は「とても危険なので、無理だ」と言いました。
しかし、男性が涙を流しながら懇願してきました。
それを見ると僕は断ることができず、子どもを預かりました。なんとか無事に、高いところにある幹線道路にまでたどり着きました。
僕と子どもに続いて、男性もたどり着くことができました。

被災から1週間後もまだ道の水が引かない様子(ニャマタンダ郡)

被災から1か月後、孤立された地域にボートを使ってアクセスする様子

被災者のために、何かしたい
たくさんの人が亡くなり、流されているのを僕は見ました。こんなに悲しい出来事は今までにありません。この経験は一生忘れられません。

その後、僕は被災者のために何かしたいと思い、仕事を辞め、モザンビークキリスト教評議会(CCM:PWJの提携団体)で働くことに決めました。
今、PWJのプロジェクトで被災者の方々のために活動することができ、非常に誇らしく思います。」

ナルシーゾ・マデイラさん(右から3番目)
物資配布をリードするナルシーゾさん

ソファラ州ニャマタンダ郡は、被害が大きかった地域の一つで、多くの地域が浸水しました。

被災地には被災当時のショックで、心に傷を負った人たちが数多くいます。PWJの提携団体スタッフも、被災者です。それでも前向きに、地元を立て直すために行動したいと働く彼らと共に、被災者の方の心に寄り添いながら、PWJは支援を続けていきます。

本事業は、ジャパン・プラットフォームの助成金と皆様からの寄付によって行われています。継続的な支援を実施するために、皆さまからの温かなご支援・ご協力をお願い申し上げます。

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