ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2016.2.11

【ケニア】故郷を追われて生きる―欧州難民危機の裏側で―

ケニア 海外人道支援

みなさま、こんにちは。ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の一員としてケニアに駐在する船山です。PWJは現在、中東・アフリカ地域で難民や国内避難民に対する支援を行っていますが、PWJに入団してからの2年足らずの間に、私は同地域でPWJが活動する10以上の難民・国内避難民キャンプを訪問する機会に恵まれました。

テントを切って作った鮮やかなマントを身に着けた子ども
テントを切って作った鮮やかなマントを身に着けた子どもら

昨年2015年は、世界が難民についてこれまで以上に関心を持たざるを得ない年であったのではないでしょうか。泥沼化するシリア内戦、イスラム国の攻勢、有志連合による空爆、そしてそれらの一切を逃れ、頼りないボートで海を渡って欧州を目指す難民。甲板に人を満載した漁船、防寒用のアルミブランケットにくるまる難民、そして、海岸に打ち上げられた幼児の遺体。こうした映像が世界中のメディアを席巻しました。2015年の1年間だけで、100万人以上の難民ないし移民が欧州へ渡ったとの国連機関の報告があり、これが「欧州難民危機」と大々的に報道されるのもうなずけます。
しかし、同じ機関が昨年12月に公表した報告書によると、世界中で強制的に家を追われた人の数は、2015年に6000万人に達したといいます。これはつまり、世界の122人に1人は難民や国内避難民だということを意味します。欧州に渡る難民は、この6000万人のうちのほんの一部に過ぎないのです。
難民の出身国で一番多いのはシリア、次いでアフガニスタン、ソマリア、南スーダンと続きます。PWJはイラクでシリア難民とイラク国内避難民に対して、ケニアではソマリア難民と南スーダン難民に対して、そして南スーダンでは国内避難民に対して支援を行っています。
私が主担当を務めるケニアのダダーブ難民キャンプは、ソマリアからの難民が人口のほとんどを占める、世界最大の難民キャンプです。このキャンプは1991年に開設されたので、もう四半世紀も難民キャンプとして機能し続けていることになります。対して、南スーダンの首都ジュバにある国連平和維持軍駐屯地は、2013年の終わりに同国で内戦が勃発し、危険を逃れて人々が逃げ込んだことで突然、事実上の国内避難民キャンプになってしまった新しいキャンプです。どちらのキャンプでも、人々は過酷な気候と最低限にも満たない生活環境の中で暮らしています。それでも彼らは、砂漠と海を越えてまだ見ぬ欧州に渡ろうとはしません。それを順応と呼ぶのか、忍耐や諦めと呼ぶのか、私たち支援関係者に語れることは多くありません。
ただ、私が日本の皆さんに知っていただきたいことは、故郷を追われてキャンプでの困難な生活を強いられても、子どもたちは工夫を凝らして身近な物で遊び、無邪気に笑うということです。昨年12月に訪れたジュバのキャンプでは、木の枝に吊るした砂入りのペットボトルを2人交互に器用に蹴ったり、段ボールとペットボトルのふたで作った車を引っ張り回したり、ビニール袋と棒切れと糸で作ったお揃いの凧を揚げたり、日本ならごみにしかならないものを上手に使い、遊び道具にしているたくさんの子どもに出会いました。そして、カメラを向けると子どもたちは競ってレンズの前に回り込み、思い思いにポーズを取るのです。

南スーダン国内避難民キャンプの子どもたち
レンズの前に回り込み、ポーズをとる子どもたち

南スーダン
木の枝に砂を入れたペットボトルを吊るして遊ぶ子どもたち

難民や国内避難民は、可哀想な弱者ではなく、私たちと何も変わらない、創造力と好奇心に満ち尊厳を持った人間であること。命の危険を冒して海を渡らずとも、彼らはもっと多くの世界の関心と支援に値するということ。故郷で暮らすことのできる私たちがそれに気づき少しでも関心を寄せることが、彼らの窮状を変える第一歩になるのではないかと思います。このルポが、少しでもその一助となっていればと願います。
報告:船山静夏(ケニア駐在員)
 

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