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私たちの活動

【東アフリカ干ばつ】地元の資源を生かし、人を育てる支援を

ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)は、ケニアのダダーブ難民キャンプにおいて、2012年に開始した仮設住宅建設事業を継続して行っています。
ケニアでの活動開始から現在までに4,500戸以上の仮設住宅と1,400基のトイレを建設し、ダダーブ難民キャンプで暮らす難民の人々に快適な生活空間を提供してきました。
PWJの活動は決してPWJスタッフだけで実施できるものではありません。
例えば、木材の防腐処理、窓枠やドアづくり、シートの裁断など、建設資材の加工作業は、難民や周辺住民の人々に委託して実施しています。
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写真左:仮設住宅の窓枠を作る作業員たち
写真右:仮設住宅の壁となるシートを裁断する作業員たち
この他、加工した資材一戸分を組み立てて仮設住宅を建設する作業も、住宅の主となる難民世帯との協力のもと、難民や周辺住民の組織に実施してもらっています。さらに、最近になって、資材の輸送にも、地元の人々の力が発揮されるようになりました。
ダダーブでは、荷物の運搬に日常的にロバが利用されるため、周辺住民の多くがロバと荷台を所有しています。PWJは、これを事業実施に活用することを思いつき、作業場から建設予定地への資材の運搬にロバの荷台を利用することになりました。
実際に始めてみると、ロバの荷台を使えば想像以上に効率よく資材運搬を行えることがわかりました。多い日には50~60頭のロバが集まるため、小型トラック一台で数戸分ずつ運ぶより時間もかからず、費用も安く済むのです。
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写真左:資材を積載したロバの荷台を引く男性
写真右:建設予定地へ向け、ロバの荷台が並んで進む
このように、難民や周辺住民の労働力、そしてロバに代表されるような、現地にある資源を活用して支援事業を行うことは、難民や周辺住民に収入を得る機会を与えられるだけではなく、事業運営の観点からも有益な取り組みです。
ダダーブ難民キャンプでは、いかにして難民や周辺住民に支援事業の恩恵を均等に分配できるかが円滑な事業実施の鍵となります。たとえば、支援事業によって難民だけが恩恵を受けていると周辺住民が感じると、その反感が事業への妨害行為となって現れることがあるのです。ですから、難民のみならず周辺住民をも支援事業に巻き込み、収入を得る機会を平等に与えることで、事業への反発を抑制するのです。こうして難民・地域住民双方と良好な関係を築くことで、事業運営を安定させ、長期に渡る支援の基盤を固めるのです。
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写真左:ダダーブ難民キャンプで暮らす子供たち
写真右:ダダーブ難民キャンプで暮らす母子
1991年に開設されたダダーブ難民キャンプでは、現在約35万人の難民が暮らしています。難民の多くは長い難民生活に慣れてしまっており、中にはキャンプで生まれ、キャンプでの生活しか知らない難民も数多くいます。
このような難民がいつかキャンプを離れ、祖国、あるいは再定住先のどこか平和な国で暮らすことになったとき、そこにはキャンプのように無償で提供される住居も、食料も、教育もありません。私たち日本人にとっては当たり前のことですが、彼らは自ら労働し、生活の糧を得なければならないのです。
このような難民が、PWJが行っているような支援事業に一労働者として携わることで、機会を得るには競争があること、労働の成果は質を問われること、そして、自分と異なる社会的背景の人々とうまく折り合って生きていかなければいけないことを身をもって学んでくれれば、それも私たちの支援の大きな成果なのではないかと思います。
PWJは、難民の人々の現在の生活環境を改善するためだけではなく、彼らの将来の生活も見据えて、今後もダダーブ難民キャンプでの支援を続けていきます。
報告:船山静夏(ケニア事業担当)
*本事業は、外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」による資金や、皆さまからのご寄付により実施しています。

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