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ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

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2021.5.25

【ケニア】生理に関する「沈黙を破る」

ケニア 海外人道支援

ピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)は、ケニア北西部のトゥルカナ郡において、女性や女の子たちへの月経衛生啓発活動を行っています。今回は現地で活動しているスタッフから事業の様子を紹介してもらいます。
 
 
ケニア・トゥルカナ西副郡―――37℃を記録したこの日、私たちは再利用可能な生理用ナプキンについて女の子たちとのフォーカスグループディスカッション(少人数のグループで意見交換を行いながら質問を行う。以下、FGD)を行うため、カロベエイ難民居住地区に向かいました。現地で生産された8,000枚もの再利用可能な生理用ナプキン(以下、ナプキン)を9~14歳の女の子と14~50歳の保護者へ配布後、その使用感や月経時の管理の仕方について女の子、女性、男の子、男性からフィードバックを得ることがFGDの目的です。以前から女の子たちは月経の度に、支援団体や周囲の人から提供される使い捨て生理ナプキンに頼らざるを得ませんでした。しかし、ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)が提供したナプキンは、抗菌の乾きやすい素材で生産される「ケリーパッド」という商品で、再利用可能で月経期間中の女の子に安心感と快適さを感じてもらえるものです。今回、「ケリーパッド」の普及をしている社会起業家とPWJは協働し、より多くの女の子が月経期間中、一人の女性として尊厳を持って過ごせるようになることを目指し、2月から12月にかけて実験的にこのプロジェクトを実施しました。この期間中、約4,000人の女の子たちが月経の仕組み、月経中の衛生の保ち方等に関する研修を受講し、このナプキンを受け取りました。
 


ナプキンを配布したときの様子

 
 
配布に先立ち、色々な団体からの協力のもと、学校の月経管理に関するクラブの指導者や関係団体向けに研修が実施されました。カロベエイでは月経についてオープンに話し難い文化的な背景があります。そのため研修では、参加者がまずは月経に関する「沈黙を破る」ための手法や、使い捨て用生理用ナプキンであれば安全に廃棄する方法、月経管理に関する様々な製品(ナプキンや月経カップ等)を理解することに焦点を当てました。参加者から「月経管理に関する研修は参加型で色々な意見が飛び交った。学んだことを更に広めていくことが楽しみだ。」というコメントが聞かれました。なお、学校にある月経衛生に関するクラブでは、この研修後も指導員等を通じて女の子と男の子の両方が、月経という生物学的プロセスを理解しながら関連する知識や情報の普及を続けてくれることが期待されています。
 


女の子たちに月経衛生の話をする筆者

 
ナプキンの製作は、難民キャンプの10人の縫製職人グループが担当しましたが、経験豊富な難民の職人達はマニュアルに従い、パッドが時間内に生産されるように次々と作業をこなし、ナプキンを保管するポーチを4,000個も製作しました。また、職人への研修では、将来的に職人自身が生産販売を行うことを目標に協力団体からの生計向上に関するセッションもありました。職人からは、女の子たちの生活を改善しながら難民である自分自身の生計を向上できる機会に感謝の声が上がりました。カロベエイ難民居住地区在住の職人の1人であるImmaculateさんは、研修を受け、ナプキンの製作に関する新しい知識を身に付けられたことにどれだけ満足しているかを述べてくれました。「私がいた国では、ナプキンはスーパーマーケットでしか販売されておらず、しかも安くはないです。しかし、今は私がナプキンを作ることができるようになりました。女の子がナプキンを使い始めて、気に入ってくれることを願っています」
 
PWJと共に活動する地域のファシリテーター達へ、女の子や保護者にナプキンを配布するにあたっての研修を行い、月経管理や性と性差に基づく暴力等についての研修を実施しました。研修を通じて、女性のファシリテーター達は月経が来たときの最初の恐怖を、「ナプキン等がなかったため、代わりに布を使用した」という経験を述べていました。また、洗い方やナプキンの置き方、4~5時間毎にナプキンを捨てる方法等をアドバイスしてくれた親がいると言う人もいました。実際にナプキンを配布中、女の子たちは最初とても恥ずかしそうな態度を見せ、「生理」という言葉が飛び交うたびにくすくす笑っていました。月経管理に関する「沈黙を破る」ことが大事な研修なので、私は何人の女の子がボランティアで前に来て、下着にナプキンを置く方法を実演するのか、ドキドキしていました。実際に前に出てきてくれたのは十数人中3人で、ナプキンをどのように洗い、乾かしたりするか実演してくれました! また、保護者達は、月経をどのように管理してきたかについて、布を当てたり、砂の上に座ったり、ヤギ皮を使ったりしてきた経験を話しました。私は当初、文化的に彼らは月経管理について話したがらないと思っていましたが、コミュニティからは月経にまつわる色々な話が色々と出てきたのです。つまり彼らは、実際に沈黙を破ったのです。
 


前に出てナプキンの付け方を実演する女の子

 
プロジェクト終了時、配布されたナプキンを使用しているか使い心地等に関する配布後の調査では、674人の女の子と保護者にインタビューし、女の子・男の子・女性・男性毎に8人のFGDを開催しました。多くの男性は、以前は月経が「女性だけの問題」であると感じ、それについて話し合いをすることは彼らの文化に反していると当初答えましたが、ディスカッションの後は、彼らは非常にオープンになり、妻と娘が人として尊厳を持って月経の管理ができるよう支援することを約束しました。「以前は女性特有の問題と思っていましたが、これからは、私は妻と娘たちが月経中にナプキンを用意できているか気にして、サポートしたいと思います」と参加者のLokudaさんは言いました。また、女の子と女性たちは配布されたナプキンに満足しており、調査前に月経があった殆どの人は使用していると述べ、友人にも勧めたいと言いました。配布されたナプキンは再利用可能なため、お金を節約できる点を好意的に述べる人もいました。学校に通うAkiruさんは、「生理用ナプキンがないために学校を欠席する必要はもうこれでなくなったわ。」と嬉しそうに話していました。
 


生理用ナプキンとポーチを受け取った女の子たち集合写真

 
PWJでは、これからも女の子や女性が尊厳を持って安心して生活できる環境づくりを目指して活動してまいります。引き続き、皆さまのあたたかいご支援をお願い致します。
 
在ケニア月経管理担当スタッフMagdalyne Were
 
※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金や個人・法人のみなさまによる寄付金により実施しています。

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