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【東北支援】原発事故で避難の福島・楢葉町の学校に“希望の灯り”と“安心の灯り”

ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、J.S.Foundationと協力し、東日本大震災による福島第1原発事故のため、ほぼ全域が避難指示解除準備区域になり、全町避難している福島県楢葉町の2つの校舎に太陽光発電による街灯を設置しました。1つは同町内にある楢葉南小学校、もう一つは同町から同県いわき市に避難している子どもたちが通う楢葉小・中学校中央台仮設校舎(いわき明星大学敷地内)で、楢葉南小の街灯は住民や子どもたちが町を離れている間も灯り続ける“希望の灯り”、仮設校舎の街灯は避難先で、夕暮れ時や日没後に家路に着く子どもたちを照らす“安心の灯り”の意味合いがあります。

ソーラー街灯
夕暮れ、楢葉小・中学校中央台仮設校舎に設置された街灯が灯る

PWJとJ.S.Foundationは、原発事故で町を離れた住民が戻る日まで灯りをともし続けようと、2014年春、同県浪江町の4つの小中学校に太陽光発電による街灯を設置しました。楢葉町の学校でも同様の取り組みを計画したところ、同町教育委員会より、避難先の学校の照明が少なく不安があるため、街灯の設置ができないかとの相談があり、今回の支援になりました。業者の選定や工事費用の交渉に時間はかかったものの、関東以南より一足早い2学期が始まる8月後半、街灯の設置が完了しました。
確認作業のためにPWJスタッフが現地を訪れた9月3日、いわき市から楢葉町に向けて常磐自動車道を走っていると、道路脇の電光掲示板に「2.6マイクロシーベルト」の赤い文字。沿線の複数の観測地点のうち、最も高い放射線量が表示されていました。
はじめに訪れた楢葉南小は、子どもたちがいつ戻ってきてもいいような状態で、きれいに手入れされ、正面の時計は正確な時刻を刻んでいました。ただし、周囲に人の声はなく、セミの声と水路の音、それに時折、通るトラックの音がするだけでした。この校庭内に3本の街灯が設置されていました。放射線量は0.068マイクロシーベルトでした。

ソーラー街灯
設置された街灯が、校舎、遊具とともに子どもたちの帰還を待つ

続いて訪れた楢葉小・中学校中央台仮設校舎。楢葉北小、楢葉南小、楢葉中学校の3校が入り、児童・生徒数は小学生が約80人、中学生が約70人です。いわき市内全域から12コースあるバスに乗り、通学しています。仮設住宅を通るコースは通常のバス車両ですが、それ以外のコースではジャンボタクシー(ワゴン車)が使われています。登校時は各コース1便、下校時は学年や部活動に合わせて各3便が運行され、毎朝・毎夕、各コースの乗車人数を把握・確認しています。
ソーラー街灯ソーラー街灯
写真左:楢葉北小、南小、楢葉中の3つの校名が掲げられた仮設校舎、写真右:コースごとの乗車予定人数を示すスクールバス確認表
部活動を終えた中学生が帰宅のバスに乗り込むのは夕方6時~6時半。訪れた9月初旬でも、ほぼ真っ暗でした。楢葉中学校の伊藤浩樹校長は「1階はすべて小学生が使う教室で、下校後は照明を消しています。そのため、1階から明かりが漏れることもないのです」と話します。
バスやジャンボタクシーが徐々に出発していくと、ヘッドライトの明かりも減り、一方で空はどんどん暗くなります。「これから日が短くなるので、街灯は本当にありがたい」(伊藤校長)。
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写真左:部活動を終えて下校する中学生を照らす灯り、写真右:仮設住宅などを回るバスが次々と出ていく
いわき市内の仮設校舎は、震災から約1年後の2012年4月に同市内の別の場所に開設され、翌2013年1月に市内中心部にある現在地に移転しました。移転当初の児童・生徒数は約100人でしたが、県外に避難していた人が同市内に移るなどしたため、約50人増加しました。2015年春以降、避難指示解除・帰町の方向が示されていますが、町内の学校をいつ再開するか、いわき市内の仮設校舎をいつまで使用するかなどは、保護者の意向や帰還の状況をみながら決められることになります。
仮設校舎に設置した街灯は、仮設校舎の役割が終わった後は、楢葉中学校に移設されて活用される予定で、それまでは避難先で子どもたちを見守ります。
▼関連リンク
住民帰還待つ福島・浪江町の学校に「灯りを」(2014.5.3)
J.S.Foundation

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