ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

地域復興・教育

Reconstruction

2013.11.13

気仙沼・唐桑「リアスワールド」終了:交流から生まれるコミュニティの可能性

日本 地域復興・教育

震災後、人口流出と過疎化が一層深刻化している宮城県気仙沼市唐桑町で、住民同士や他地域との交流拡大と地域の魅力の再発見を通じて復興とコミュニティ再生につなげようと、ピースウィンズ・ジャパンが取り組んできた連続イベント「Re;us World(リアスワールド)」が2013年9月までに終了しました。アンケート回答者の6割以上が同町外からの参加者で、交流拡大を通じたコミュニティ再生の可能性がみえる結果となったほか、地域の子どもたちが将来や世界について考える機会となりました。
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▲唐桑のシンボル「折石」に迫った「折石探検隊」
「リアスワールド」は、同町に拠点を置くNPO法人あすわと共同で、世代・業種・地域を超えた交流の機会や、地元の自然や人の魅力を再発見する体験の場をつくることによって、特に子どもや若者が地域に根付いていくきっかけをつくろうと、企画しました。7月27日から8月18日までの間、「遊び」をテーマにした「ドキドキやまがっこ系」(やまがっこは、地元の言葉で、みちくさの意味)や、「体験」を重視した「なるほど体験系」、体を動かす「からだのびのび系」、地元の食の魅力を再発見する「わいわい美味しい系」、じっくり手作業に取り組む「うきうき手作り系」の5つのカテゴリーで、20個のイベントを実施。のべ200人以上の参加がありました。
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▲自然エネルギーについて考えた「ソーラーパネル手作り体験」
参加者を対象にしたアンケートで、参加地域を確認したところ、同町内が30%、同町以外の気仙沼市内が35%、仙台市や登米市、南三陸町など宮城県内の近隣市町村が14%、県外(東京、福岡等)が12%と、6割以上が町外からの参加で、年代層は10代未満から80代まで広がっていました。この結果から、イベントが世代や地域を越えた交流の場としての役割を果たしたことがわかりました。また、「参加者同士で盛り上がったか」という質問に対し「非常にそう思う」あるいは「そう思う」と答えた回答者が90%に上り、参加者同士の交流も活発に行われたことが裏付けられました。
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グラフ:参加者アンケート年代別構成(有効回答者数100名)
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グラフ:参加者アンケート参加地域構成(有効回答者数100名)
※クリックすると拡大します
リアスワールドには、震災復興支援をきっかけに生まれた地域外の支援団体との絆や世界とのつながりを感じてもらうためのプログラムも組み込みました。こうしたつながりが地域を越えた交流の一つの形であるとともに、子どもたちに日本全体や世界という視野も持ってほしいとの願いからです。
ピースウィンズと連携して被災地の子ども支援にかかわってきた、フォーマルウェアに特化したアパレルメーカー、株式会社東京ソワールは、8月17日に「魅惑のデザイナー体験」、翌日に「端切れでコサージュ作り」を開催しました。
「デザイナー体験」では、洋服が店頭に並ぶまでの生産工程の説明があり、同社が製作したドレスやデザイン画などが紹介されました。その後、ファッション雑誌から気に入った洋服や小物などの写真を切り抜き、色鉛筆でデザインを描き加えたり、実際に使いたい生地を選んだりして、思い思いの「デザインマップ」を作りました。「将来デザイナーになるのが夢」という女の子が「今回参加してその気持ちが強まった」と教えてくれたように、子どもたちが夢を考える機会ともなったようでした。
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▲東京ソワールの社員たちと一緒に「魅惑のデザイナー体験」
ピースウィンズは8月9日に「世界の子どもたちに絵のメッセージを送ろう!」を実施し、緊急対応部長の山本理夏が、アフガニスタンや南スーダン、イラク、トルコの暮らしについて写真を使いながら紹介。「水道がないから、子どもたちが毎日、遠くまで水をくみに行かないといけない」「勉強したくても、戦争のせいで学校に行けない子どももたくさんいる」などと説明した後、参加した小学校1年生から4年生までの10人が、トルコの子どもたちの生活を想像しながら、メッセージを作成しました。
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▲世界の子どもたちの暮らしや日本とのつながりについて考えたワークショップ
事業を担当したピースウィンズの奥村真知子は「支援を受ける立場から一歩踏み出し、子どもたちのために、自分たちの手でこれからの町を何とかしていかなければと、立ち上がった人たちの試みを、ピースウィンズが後押しする形で関わることができました。今後もこうした企画が継続的に開催され、まちおこしの輪が広がっていくことを期待しています」と話しています。ピースウィンズは今後も、コミュニティ再生につながる支援を行っていきます。
*リアスワールドの取り組みは、「オンパク型イベント支援事業」として、1993年5月から9月まで実施しました。オンパクとは「温泉博覧会」の略で、観光客の減少に悩んでいた大分県別府市で、小規模の体験交流型のイベントを短い期間に開催したことが発祥。さらに従来の「オンパク手法」に比べ、より地域の「人」に焦点を当てたガイドブックと体験プログラム作りを目指した「みちくさ小道」手法が、経済産業省の協力で東北地方にも広がっています。
関連リンク
◆現地ルポ
夏休み、気仙沼・唐桑で、地元の達人たちと地域の魅力を連続体験
唐桑の魅力を体感するイベント「リアスワールド」にかける思い
◆ピースウィンズ・ジャパン フェイスブックページ
気仙沼・唐桑で東京ソワールと「デザイナー体験」

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