ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2003.3.21

自由のための犠牲になるなら・・・

イラク 海外人道支援

思い出の詰まった街が空爆され、炎が上がっています。バグダッドなどの映像を見ながら複雑な思いを抱くクルド人も少なくありません。
21日夜(日本時間22日未明)、イラクの首都バグダッドが英米軍による大規模な空爆を受けました。空爆の模様を伝える衛星放送が流れる部屋で、そのバグダッドで大学時代を過ごしたピースウィンズ ・ジャパンのクルド人スタッフの1人と話をしました。
35歳の彼は「バグダッドの人たちには、親近感を持っている」といいます。自由が好きで、フランクで、都会的で、アラブ人であるかクルド人かも気にせず、宗教・宗派の違いも受け入れる、そんな人たちだといいます。
「不幸にも、そんな市民たちが空爆にさらされている。そしてもちろん、戦争は嫌いだ」と彼。「けれども市民たちは長い間、日々、犠牲になってきた。終わりのない犠牲が続いてきた」
学生時代、常に光る監視の目をごまかし、密告からも逃れるため、図書館に行ってもあえて風俗的な趣味の本などを手にして、政治的なことに無関心なことを強調。社会改革や革命などに関する本には決して手を伸ばしませんでした。
アラブ人の友人もいて、その1人、南部出身のシーア派の学生とは、フセイン政権に批判的な考えを打ち明け合うこともありました。  しかし、同じクルド人の友人は、1988年のハラブジャに対する化学兵器攻撃に関する文書を所持していたために政府に連行され、やがて裁判も受けないまま処刑されました。遺体を受け取りに行った家族は、処刑に使った銃弾の料金を請求されたそうです。  バグダッド空爆をみつめる彼の願いは、この戦争がなるべく早く終わることと、被害者ができるだけ少ないこと、そして、犠牲を払った結果、イラクに自由な社会がもたらされること、です。「終わりのない犠牲は、なによりも悪い」と彼はいいます。
3月21日の現地
[町]
スレイマニアでは、都市部を離れて村落部の親せき宅などに避難していた住民の一部が街に戻って来ています。なお7-8割の商店は閉まったままですが、前日にはほとんど見られなかった女性や子どもの姿もありました。活気というには、ほど遠い状況ですが、中心部の市場などでは物売りの声や住民同士の会話も聞こえました。
一方でなお、フセイン政権による化学兵器などによる攻撃を不安に思う人もいます。透明のビニールシートを買いに来ていたマールスさん(65歳)は「ずっとスレイマニアにいたし、避難する計画もない。戦争はまだ続いているから、これからこのシートを窓に貼る」と話していました。
アルビルでも一部、避難していた住民に帰還の動きが出ている模様です。
[避難民]
イラク中央政府側とクルド人自治区との間の検問が閉鎖されているため、主要な道路を通って来る避難民はほとんど確認されていません。
一方で、主要な道路以外のところで境界線を越え、自治区内に入ってくる避難民がいる、との情報もあり、状況の確認を進めています。
また、中央政府側の大都市、キルクークやモスルに対して空爆などの軍事作戦が始まったことから、今後、多くの住民が国内避難民となって移動する懸念もあります。
[情勢]
 スレイマニアでは21日、作戦にかかわるとみられる軍事車両や戦闘機などの姿は確認していません。戦闘機の通過音のようなものも確認していません。

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