ピースウィンズ・ジャパンは、紛争や災害などの脅威にさらされている人びとに対して国内外問わず支援活動を行うNGOです。

海外人道支援

Overseas

2003.3.12

「冬服を、靴を、子どもたちに」 ~キャンプの風邪を減らしたい

イラク 海外人道支援

2月11日から14日まで、クルド人自治区の多くの人たちは「ジャジュン・コルバー」というイスラム教のお祝いを続けました。アルビル郊外にあるバンスラワ国内避難民キャンプでは、ピースウィンズ ・ジャパンが配布した真新しいコートや靴を初めて手にして、喜んだ子どもたちも多かったはずです。そして、この配布事業は、キャンプの風邪を減らしたいという私たちの挑戦でもありました。
バンスラワキャンプで生活する国内避難民は約300世帯。このうち約125世帯はイラン・イラク戦争(1980-88年)で難民としてイランに逃れた人たちで、帰国した後も元の村が破壊されたり、治安が不安定だったりするため戻る場所がなく、20年もの間、難民・避難民として生活しています。その他、イラク中央政府側のキルクーク周辺から移ってきた人たちやアンファル・キャンペーンで家を失った人たちもいます。
ピースウィンズ ・ジャパンは、2002年10月から週5日、バンスラワで無料診療を実施していますが、02年12月ののべ患者数860人のうち、のべ378人が風邪などの呼吸器系疾患でした。風邪はとくに、5歳以下の乳幼児や就学年齢の子どもの間で広がっていました。
風邪流行の背景に、劣悪な住環境や経済状態の問題があります。住民たちはテントや粗末な家で暮らし、子どもたちはマイナス10度の寒さのなか、薄着・はだしで生活していました。
「ソシオ・メディック」(医療を起点とした社会環境の改善)の視点に立ち、風邪をなくすことをめざして、1歳から15歳までの子ども910人に冬服と靴を届けることにしました。子どもは免疫力が強く、温かくして薬を飲み、ゆっくり休めば回復も早いからです。お祝いの時期に合わせ、プレゼントという気持ちも込めました。
配布当日の1月23日、配布場所には、事前に配った受取書と身分証明書を手にした母親や家族たちが、始まる1時間以上も前から詰めかけました。混乱を避けるため、家族の代表者の名前を1人ずつ読み上げ、順番に手渡していきます。自分の順番を待つ真剣な表情を見れば、配給の意味合いが分かります。
受け取った人に話を聞いてみました。
7人の子どもを抱える40歳の母親は「夫も職がなく、子どもに何も買ってやれない。日本の人たちに感謝します」といい、「ジャジュンまでとっておきます」と話していました。キルクークを離れて3年になるそうです。
88年にイランに逃れた、3人の子どもを持つ男性(37歳)は「ここの人はみんな職がない。本当にうれしい。子どもの靴がないので、すぐに渡します」と言っていました。
この男性のような家族も少なくなかったのでしょう。配布直後にも、キャンプでは、さっそくコートや靴を身につけた子どもたちの姿が見えました。
配布後の1月25日から2月20日まで、無料診療を受けたのべ患者数は427人、そのうち呼吸器系疾患はのべ280人でした。単純な比較はできませんが、風邪の減少を示すデータです。冬服と靴の配布もその一因であったと考え、さらに詳しい分析を進めています。

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