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夫を奪われ募る生活苦 北海道新聞掲載「イラクNGO報告」

イラク北部クルド人自治区、スレイマニアから車で約1時間のところに、夫と離ればなれになった女性たちばかりが住んでいた町がある。現在も約850世帯(5000人余り)がこうした家族。この町で、ピースウィンズ・ジャパンは週三回、無料巡回診療を行っている。
結核を患うサザンさん(40代、仮名)は1988年、「アンファル・キャンペーン」といわれるフセイン政権の政策で夫や多くの親せきと別れ、キルクークに近い村からこの町への移動を余儀なくされた。
「4000の村が破壊され、約18万人の男たちが連れ去られた」とクルド人はいう。未亡人たちばかりの町が各地につくられた。他の男たちと同様、夫たちの消息は「まったく分からない」とサザンさんは話す。
卵巣の病気を抱える60代の母と7人の子ども、息子の妻との10人で暮らす。部屋は3つあるが、ストーブは1つ。「毛布だって足りない」という。
家計の支えは、自治政府から支給される月200ディナール(1ディナールは約15円)。野菜は1キロ2~3ディナールだが、その10倍ほどする肉は、ほとんど食べられない。イスラム社会では女性が働くことは難しく、世界食糧計画(WFP)から配給される食糧を売ることもある。
「もちろんサダム(フセイン・イラク大統領)は怖い。戦争で家を失うのではと心配でたまらない」とサザンさん。あきらめの表情に、辛い過去と現在の厳しい境遇が重なってみえる。
(文 三澤一孔)
※北海道新聞(2月7日付朝刊)に掲載された記事を一部、加筆しました。

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